ペルージャの歴史はとても古く、紀元前4世紀までさかのぼります。古代エトルリア人が形成した12都市の一つPersiaとは、まさしくペルージャのこと。外敵を防ぐため丘に都市を築いたエトルリア人ですが、その礎を現在も街の心臓部に抱きながら、ウンブリアの州都として国際色豊かに発展してきました。
写真トップ@: プリオリ宮
写真左A: 11月4日広場、右B: ペルージャの高台から見える景色
ペルージャは、都市空間が他のウンブリアの小都市とは、ちょっと違ってユニークです。それは空間が横だけでなく縦にも広がりをみせていること。たとえば外国人大学の近くにあるアウグストゥスの門(エトルリア門)は圧倒されるほど大きいし、水道橋が何重にもアーチを描くアッピア通りは、迷路に迷い込んだよう。また眼下に広がるウンブラの丘と町並みが交差する風景が、ダイナミックな空間を作り出しています。なので、半日とはいわず数日滞在して、縦横無尽に街を歩きまわるのも面白いでしょう。
街一番の見所は、街の頂上部分(11月4日広場付近)のヴァンヌッチ広場に集中しています。国鉄のペルージャ駅からは、イタリア広場まで一気にバスで上るのがベスト。時間に余裕があれば、途中のパルティジャーニ広場で下車し、エスカレーター(Scala mobile)でイタリア広場を目指すのもいいですね。エスカレーターはパオリーナ城塞内を通っており、まるで中世にタイムスリップしたみたいです。
写真左C: サン・ドメニコ教会のステンドグラス、右D: お勧めは生クリームのブリオシュ
イタリア広場からはヴァンヌッチ通りを北へ、11月4日広場の噴水目指して歩きます。是非訪れたいのが、プリオーリ宮にある国立ウンブリア美術館。ウンブリア派を代表する画家ピエトロ・ヴァンヌッチことペルジーノやトスカーナのF.アンジェリコ、P.デッラ・フランチェスカの秀作を、たっぷり鑑賞することができます。また、美術館の隣にあるコッレージョ・デル・カンビオ(両替人組合の建物)も必見です。とりわけ『両替審議の広間』は、寄木細工とペルジーノのフレスコ画に埋め尽くされていて、豪華で美しい装飾を間近で見ることができます。そうそう、同じ広間にあるペルジーノの自画像にも注目ですよ。
プリオーリ宮の噴水に面した階段を上がれば『公証人の間』が見学できます。一方、噴水の奥側のドゥオーモも必見。聖堂の階段横のアーチが美しいロッジア(柱廊)はペルージャにおける最初のルネッサンス建築です。
写真左E: ファサードの美しいサン・ベルナルディーノ教会 、右F: 風情のある街並み
ヴァンヌッチ通りから程近い場所には、ラファエロのフレスコ画が残るサン・セヴェーロ(San Severo)教会やエトルリアの井戸(Pozzo Etrusco)などがあります。一方、街の南側には、ペルジーノファン必見のサン・ピエトロ(San Pietro)教会や最近ステンドグラスの修復を終えたばかりのサン・ドメニコ(San Domenico)教会があり、北側には、ペルージャ最古の教会サン・タンジェロ(Sant’Angelo)教会や初期ルネッサンスの美しいファサートが残るサン・ベルナルディーノ(San Bernardino)教会があり、どれも足を運ぶに値します。
さて、ペルージャといえば、バーチ(Baci)というチョコレートが有名ですね。バーチを世に出すペルジーナ社のお膝元だけあってか、チョコレート熱は相当なもの。
毎年10月末(今年は10月15−24日)には、『ユーロチョコレートEurochocolate』がヴァンヌッチ通り周辺にお目見えし、多くの人が詰め掛けます。ちょっと商業的ですが、チョコにまつわる様々な催しもあるので訪れるのも一興でしょう。一方、7月はウンブリアジャズで、街が盛り上がります。
古い町並みとグルメ、そして音楽・・・街巡りをしながら他の趣向も楽しめる、という欲張りな願いも、ペルージャなら叶いますね。