今回ご紹介するのは、ウンブリア随一のワイン処・モンテファルコです。土着のブドウ品種サグランティーノを100%使った「サグランティーノ」(DOCG)や、サンジョベーゼを主体にサグランティーノとメルローなどをバランスよく配合した「モンテファルコ・ロッソ」(DOC)は是非味わって欲しいもの。ビロードのような滑らかで深いルビー色。タンニンのきっちり効いた力強いボディは、地元の滋味深いサラミや生ハム、トリュフ料理との相性バッチリですよ。
写真トップ@: コムーネ広場での夏のパレード
写真左A: モンテファルコのブドウ畑、中B:サグランティーノ、右C: カンティーナでブドウの仕分け作業
この町がコッコローネという愛らしい名前で呼ばれだしたのはローマ時代のこと。フラミニア街道を利用した交通網を発展させ、人や物資の往来も盛んだったよう。それが13世紀半ばに鷹狩を愛する神聖ローマ皇帝のフリードリヒII世が滞在して、モンテファルコ(鷹の山)という名前に変わりました。鷹狩で得た獲物が多くて上機嫌だった、という皇帝のエピソードが伝えられています。
「ウンブリアの手すり」と愛でられたモンテファルコの街ですが、ウンブロの谷を見渡せる丘の上に立ちます。小さな街に魅力がギュッと詰まっており、半日もあれば閑かな街並みをゆっくりと散策できるでしょう。
写真左D: コムーネ広場の老人、右E: 収穫祭では広場で無料でワインを振舞う
街で一番高いところにあるのがコムーネ広場です。ここを起点に道が四方に伸びて町の隅々にたどり着くのが分かります。広場は15〜16世紀の建物に囲まれていて、小さな教会内部(Santa Maria de platea )にはペルジーノ風の美しいフレスコ画が奥座に眠っています。ここにはエノテカや特産のリネンなどの織物の店があり、お気に入りの味やお土産を、あれこれ探すのも楽しいもの。
史跡の見所としては、もっとも重要なのは旧聖フランチェスコ教会でしょう。現在、市立美術館になっていて、内部のB.ゴッツォリ作の「聖フランチェスコの生涯」Storia di S.Francescoやペルジーノの「キリスト降誕」Presepioのフレスコ画を間近に見ることができ、圧巻です。また町の中心から10分ほど歩いた聖キアーラ教会の近くには、聖イルミナータ教会Santa illuminataがあり、内部には地元画家によるフレスコ画の傑作が鮮やかな色を今に伝えています。
写真左F: サンタ・イルミナータ教会内部のフレスコ画
写真中G: チェントロの入り口、サント・アゴスティーニ門、右H: モンテファルコ郊外に広がるヒマワリ
さて、さきほどの旧フランチェスコ教会沿いの道(Via Ringhiera)を下っていくと、アッシジやペルージャまでが見渡せる見張り台があります。その穏やかな丘陵と大小の街並み・・・まさに「ウンブリアの手すり」そのものの美しい景色に出会えます。
9月の半ばには、ワイン祭りもあります。詳しくはこちらへwww.stradadelsagrantino.it