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シチリアの祭りを訪ねる旅
15 Novembre 2016

第 7 回
ノートの花祭り「インフィオラータ」 
「花の絨毯」がバロックの町を埋め尽くす   



  文と写真  桜田香織 


●5月の第3週週末の有名な「花祭り」
花咲き乱れる5月、シチリアには毎年第3週の週末に行われる有名な「花祭り」があります。島の南東、シラクーサから約32Kmの所に位置するノートがその舞台、年々日本人観光客も増えてきている町です。島の東部のほとんどの町と同様ノートも1693年の大地震で崩壊し、約10Km離れた所に新しく町を立て直しました。  

写真トップ@ノートの花祭りの「花の絨毯」
写真下左Aユネスコ世界遺産ノートの大聖堂、落ち着きのある雰囲気と、バロックの華やかさが同居する 
写真下右B花の絨毯の敷かれるニコラーチ通りには貴族の館が並ぶ。 そのバルコニーの見事な事!これぞまさにバロックという感じで、このバルコニーを見るためにやって来る観光客が1年中跡を絶たない。

領土はシラクーサ県の約1/4を占めますが平地は少なく、町自体は決して大きくありません。しかしこの花祭りの週末、人口2万3000人のこの町にヨーロッパ中、いえいえ世界中から10万人もの観光客が訪れるのです。 

●「花の絨毯」 今年のテーマは「国際性」
イタリア語でInfiorata(インフィオラータ)と呼ばれているこの花祭り、「花の絨毯」という意味通り旧市街の道が花で埋まります。毎年テーマが設けられ、参加者(参加団体)はそのテーマに合った模様を花で作ります。今年のテーマは「国際性」という事で、世界各国より38団体の参加があり、日本人も参加しています。    

  写真下CD花の絨毯。メインストリートから伸びている細い道に美しい花の絨毯が敷き詰められる。ゆるやかな坂を登りながら堪能する。
  写真上左E日本人グループの作品。花歌舞伎という題名だった。  写真上右F韓国グループの作品、猫。子供達にはいたく好評だった。

●お祭りはコンクール形式で競い合い」
アーティストがそれぞれ模様を考え、グループや団体組織が協力して作り上げていきますが、まずは道に下絵を描き、木曜日には花を切り、花びらを取り出す作業が行われ、下絵の上に乗せていくのです。この作業は金曜日の午後まで続き、やっと完成するというなんとも忍耐力を必要とする仕事ですが、お祭りはコンクール形式になっているので、参加者側は真剣です。  

写真下GH花の絨毯を近くで見るとこんな感じ、花びらを使うもの、花自体を使うものと、色々。全てアーティストの感性で。

   
●道の真ん中にずらりと並ぶ作品
ノートの銀座通りのど真ん中から横に出ているニコラーチ通りが会場となりますが、今年は参加者が多かったため、もう一本ガリレオ・ガリレイ通りにも花の絨毯が敷かれました。道の真ん中に作品がずらっと並び、見学者は道の両側を歩きながら進みます。立ち止まって写真をとるのが難しいほどの混雑、その中ベビーバギーを押しながら歩く家族連れも多く大騒ぎです。真夜中まで人が途切れることがなく、長い行列が出来ていました。

  写真下IJK道の真ん中にずらりと並ぶ作品

●暗くなっても家族中で楽しむ見物客
特に夕方から夜中にかけてはものすごい人出、町のあちこちに大道芸人が出たりミニコンサートが行われるので、普通の道でも歩くのが困難なほどです。お祭り好き、そして夜中まで遊ぶのが大好きなシチリア人ですから、こういうイベント時に家にいるなんて考えられないのです。「一応観たからもういいよね、帰りましょうか」とならないのが彼ら。   

写真上左L夜が更けてもすごい人出。    写真上右M乳飲み子連れでもバギーを押しながらでも、そのくらいの事でこの楽しみを奪う事はできない。参加する方もパワフルである。
写真上N途中で一休みする家族連れ

よそから来た人たちはもちろんですが、地元の人も外でパニーノを食べたり、一度帰宅して食事を済ませてから、また町へ舞い戻って遅くまでブラブラするのが普通です。若い子達ならばともかく、乳飲み子を連れている夫婦も「満喫しなければ」という思いは捨てられないようですね。ということで狙い目は早朝、10時位までは嘘のように静かでゆっくりと見学することができます。

●町一杯に花のオブジェや色とりどりの鉢植え
後期バロック建築の町、薄茶色の凝灰岩を使った建物が並ぶ中、花の絨毯のみならず町のあちこちに花のオブジェが置かれたり、臨時花屋が出たりと、とにかく花だらけでカラフルこの上なし。レストランやバールのテラスにも色とりどりの鉢植えが置かれています。   

写真上OP町中が花で埋もれる3日間、町のあちこちにオブジェが置かれていてた。   

2002年にユネスコ世界遺産に指定されているだけあって、小さいながらも堂々とした佇まいの町、そこに花が溢れるのですから一見の価値は大ありです。更に中世の衣装をまとっての行進あり、日曜日の夜には野外でオーケストラ演奏までありと、労力もお金もふんだんに使ったお祭りと思われます。  

  写真上左Q中世の衣装をまとった行進。シチリアのお祭り時にはよく登場するが、ここは見学者の数がすごかった。どこもかしこも人、人、人。   写真上右R日曜日の夜に行われた野外コンサート。フルオーケストラでオペラのアリアから、モリ・コーネなどのシチリアに馴染んだ曲が演奏された。 ここもすごい人出であった。

唯一残念だったのは、今年のこの週末連日強風であったことでしょうか。花、花びらは薄い接着剤の上に乗せてあるとは言うものの、強風でどんどん飛び散ってしまったのです。大傑作が日曜日のお昼頃にはかなり悲惨な姿となってしまいました。出展者達にとってはとてもつらいことだったと思います。  

写真上左S残念な事に今年は金曜日から週末ずっと強風に見舞われた為、置かれた花がどんどんと飛び散ってしまった。上から水をかけて押さえたり、更にゆるい接着剤を乗せたりしたが、この有様。  
写真上右(21)優勝作品、メキシコ。スマホのアプリをダウンロードして、一般市民が投票する形式。結果が分かるのは週明けなので、お祭り開催期間中はまだ判明していなかった。

●今年はスマホのアプリで人気投票
通常は審査員が賞を決めるのですが、今年はやり方を変えて一般の人がスマホのアプリで投票するという形になり、結果はメキシコが一番だったそうです。このお祭りはお花代だけでもかなりの金額になるそうで、たくさんのスポンサー、文化団体、住民の協力によって作られます。  

写真下(22)(23) 花で溢れるノートの町

●旅行客をもてなす優しい心遣いが一杯
農業(ブドウ、アーモンド)と旅行業で成り立っている町だけあって、ツーリストを優しくもてなす心遣いが見受けられます。伝統重視、あまり変化を好まないシチリアの中で、びっくりするようなモダンなカフェがあったりパスタを出さないレストランがあったりと、「変わる」事を恐れない精神を垣間見る事ができ、毎年の花祭りもそして町自体も、これからますます発展していくのだろうと思われました。


著者プロフィール
桜田香織(Sakurada Kaori)

東京都出身。日本航空の国際線客室乗務員として勤務していた頃からイタリアに魅せられ、「いつかイタリアへ・・・」と夢見ながらイタリア語を学ぶ。休職して渡伊、フィレンツェに8年住んだ後縁があってシチリア島へ移り、パレルモ在住。通訳、TVコーディネーターをするかたわら趣味の写真にも力を入れ、2013年にはパレルモ市のイベントで写真展を実現。夫と連名で出版した「Settimana Santa in Sicilia-Cerca di Collesano」(シチリアのイースター週間・コッレザーノの聖金曜日)でも写真を手掛ける。シチリアの料理に深い関心を持ち、レシピだけではなくその歴史のリサーチを続けている。2014年度、NHK TVイタリア語テキストに連載を持ち、シチリアの魅力を伝えている。

シチリアの祭りを訪ねる旅 データ
Dati
■ノート 
 (シラクーサ県 ノート町 Comune di Noto)

ノートの「インフィオラータ」  INFIORATA di Noto
http://www.infioratadinoto.it/
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