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15 aprile 2008
ヴィッラ・ロマーナ・デル・カサーレ
La Villa Romana del Casale di Piazza Armerina
シチリア州 Sicilia
ピアッツァ・アルメリーナ Piazza Armerina
エンナ県 Enna
登録年 1997年
登録基準 文化遺産(i)(ii)(iii)
文・写真 牧野宣彦
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シチリア中部の町ピアッツァ・アルメリーナにあるヴィッラ・ロマーナ・デル・カサーレ。古代ローマ時代に制作されたモザイクが残るこの邸宅は、1997年に世界遺産に登録された。
●マクシミアヌス帝の邸宅
このヴィッラは、ローマ帝政末期に皇帝となったマクシミアヌス帝(250〜310)とその家族のための狩の宮殿として建設された。
西暦285年、当時の皇帝ディオクレティアヌスは、広大なローマ帝国を一人で支配するのは困難と考え、マクシミアヌスを副帝として西側の統治者にした。翌年マクシミアヌスは、ディオクレティアヌスと並ぶ正帝になった。その後、四分統治制度の正帝の一人としてローマ帝国の西半分を統治していたが、コンスタンティウス帝の時代になり退位を余儀なくされた。彼はその後、2度皇帝に復活するが、最後は義理の息子であるコンスタンティヌスに包囲され、非業の死を遂げた。
ヴィッラ・ロマーナ・デル・カサーレは、一部既にあった建物の上に293年以降に建設された。マクシミアヌス帝は、彼が帝位から退いた10年後にここに住んだといわれている。
豪華な邸宅には彼の死後も人が住んだようで、6〜7世紀ごろと思われる改築の痕跡がある。シチリアにアラブ人が到来した頃この宮殿は放置されるが、1000年を境にノルマン人が移住してきた。建物にはその頃の改築の跡も残っている。
この建物が決定的に荒廃したのは、悪名高きグリエルモ王に反逆したロンゴバルト軍の乱の時。起こった火災が引き金になった。
写真トップ:"偉大なる狩の廊下"内のモザイク
下:ヴィッラ・ロマーナ・デル・カサーレ内部
●ビキニの女性もモザイクに
建物の面積は、3500平方メートル。ここには、古代ローマ時代の最も美しいモザイクの一つといわれる舗床モザイクが今も残っている。それは北アフリカの舗床を連想させるもので、アフリカの職人が制作した事はまちがいない。12世紀に土砂に埋もれたまま忘れられていたが、1929年に発掘開始。その後1950年に大掛かりな発掘調査が実施された。
私はこのモザイクを見学するため、2002年と2006年にヴィッラを訪れた。最初はラグーサからタクシーで、2度目はカルジローネからバスでピアッツァ・アルメリーナまで行ったが、まだそこから4キロ以上あり、結局タクシーを利用した。
入場料を払ってメインの展示室に行くと、そこは温室のようなガラスばりの建物で、光が充分に入るようになっていた。
"体育場"という所では、4頭の馬車レースを引く馬が実にリアルに躍動感を表現していた。
"キューピッドの漁師の間"は、魚の豊富な海と4隻の小船で漁をするキューピッドの様子が可愛いらしい。
"偉大なる狩の廊下"には、ローマ帝国の僻地における動物の捕獲の様子、猛獣をローマへ輸送する様子、アフリカの5地方での狩のシーン、槍と楯で武装した男達と猛獣などが描かれている。恐らくアフリカ地方の日常の様子を描いたものだと思われるが、当時の人々の生の生活が伝わってくる迫力あるモザイクだった。
有名な"ビキニの少女の部屋"では、10人のビキニ姿の女性がボールを投げたり、鉄アレイを持ってトレーニングしたりしている様子がとても楽しそうであった。
写真下:ヴィッラ内のモザイクの数々
●ギリシャ神話の見事な描写
12メートル四方の"大食堂の間"のモザイクは、この宮殿で最も複雑かつ豊かなものだ。それはギリシャ神話のヘラクレス伝説で、エウリュステウスにより課された12の功業をヘラクレスが果たす有様が描かれている。ライオンを素手で退治する様子、クレタ島の牡牛を捕らえて生きたまま肩に担ぎ、エウリュステウスの元に届ける話などが劇的に表現されていた。
その中でも私が一番美しいと思ったのは、アンブロジア殺害を企むクルゴという作品で、豹に乗った半裸の女性が槍を投げようとするシーンがドラマティックに描かれていた。
"アリオーンの間"では、レスポス島の詩人、音楽家であるアリオーンの伝説を大掛かりに描いている。ヘラに恋したラピテス人の王イクシオンが交わり生まれる。これらの人物の脇にはおびただしい海の生物(タコ、蛇、海老、魚)、動物(イルカ、ライオン、豹、狼、鹿、牛など)、伝説の動物などが描かれていて壮観である。
また"ユリシーズとポリュぺモスの控えの間"は、ホメロスのオデュセア第9話のエピソードが忠実に再現されている。最後はユリシーズが巨人の目を潰した後、羊の腹にしがみついて洞窟から逃れ出る様や、ユリシーズと仲間のエピソードで終わっている。
これらは、単に当時の人の生活を表現したものと違い、ギリシャの哲学や神話の内容にまで踏み込んで描いているのが素晴らしい。それ故ここのモザイクは、一級の芸術作品だと実感した。
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