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サルデーニャ「食」の旅
15 ottobre 2010

第7回 知れば知るほど魅力のあるサルデーニャ
― 各地の祭り・豊富な食材・ホスピタリティ溢れる人々―



文・写真/藤田智子 

これまでサルデーニャ島を大きく5つに分けて"食"を中心にご紹介してきました。でもまだまだご紹介しきれていないところがたくさんあるのでここはやっぱりご紹介しておきたいという町村やご紹介したけど忘れていた!ということなどを最後に少々付け加えておきますね。

トップ写真:@ス・ズック祭り:タリアテッレを入れたカゴを運ぶ伝統衣装の女性たち
写真左:A「100歳の道」地域の元気なお年寄り 、右:Bオロッリの町の80歳の現役女性シェフ

1.やっぱり紹介しておきたい町や村
●百歳の道
カリアリ圏でも海から離れ、少し北上した内陸部にはVia dei Centenari -100歳の道-と呼ばれる地域があり、文字通り、100歳前後のお年寄りが幾人か住んでらっしゃいます。去年、何名かの方に機会がありお目にかかったんですが足腰が不自由な方はいらっしゃったものの、みなさんまだまだしっかりしておられ中にはフォークロアダンスクラブに所属し、未だ現役で島中、踊りに行かれているおじいちゃまも!
サルデーニャは沖縄に次いで世界で2番めに長生きの島、だそうですが、それは恵まれた自然に囲まれこれまで述べてきたようなナチュラルな素材の味を生かしたお料理を食べているというのも大きな要因だと思います。そしてみんなのんびりとストレスがなく、生涯現役で働いている方が多いというのも。
(さすがにサルデーニャでも県庁のあるような大きな町ではそうとばかりは言ってられないですが!)

●80歳の女性シェフが活躍するオロッリィの町
そんな100歳の道、の方たちから見ればまだ若い!と言われそうな80歳の女性シェフが現役でバリバリ働いているのがオロッリィ(Orroli)にあるホテル。昔の豪農屋敷を改装し、生活博物館とホテル・郷土料理レストランとして営業、そのオーナーでもあるのが女性シェフ。パンとパスタ作りがお得意で予約すれば料理レッスンもしてくれます。彼女は言います、サルデーニャは島だけど、食材のみならず何でもある、この町になければ隣り町、隣町になければまたその隣町、と探して行けば必ず見つかる・・・と。元々、刺繍を教えていたというオシャレなマンマで生活博物館には彼女が刺繍した作品も飾られています。

写真左右:CDイシリにある銅&織物の博物館

●イシリの銅&織物の博物館
そのオロッリィをもう少し北上したところにある町、イシリ(Isili)には銅&織物の博物館があります。
銅と織物?と思われるかも知れませんが、銅を使った製品-銅鍋や銅の食器、銅を使った家具-の他に銅糸を使った織物がたくさん展示されています。さらに金銀銅の3色の糸を駆使した素晴らしい織物を初めて目にしたときの感動!思わず買うことは出来るのか聞いて、工房に案内してもらい、即注文してしまいました!いわゆる衝動買いにしては高価でしたが、今でもこれは良い買いものをしたと思っています。

●立体的な織物とパン祭の知られるサムゲオ
織物は島のいくつかの町の伝統工芸として知られていますが(それぞれ町によって織り方が異なります) イシリを更に北上し少し西に行ったオリスターノ県のサ
ムゲオ(Samugheo)もその町の中のひとつです。特徴的なのはポコポコっと浮き上がった立体的な織り方。サムゲオには島で唯一の織物博物館があります。この博物館ではサムゲオ以外の町の織物や衣装が展示されており、展示しきれないものもあるので時々模様替えが行われます。詳しく説明しながら案内してくれます。

またサムゲオはパンも有名で毎年秋にはパン祭が行われ、パン生地作りの工程から石釜で焼き上がるところまで見学、試食出来ます。また、希望すれば町外れにある古い粉挽き所へも連れて行ってくれます。このお祭りの日は一日サムゲオにはパンの焼ける良い香りがただよっています。

写真左:Eサムゲオのパン祭のパン、右:Fブサキの伝統料理ス・ズック  

●伝統料理「ス ズック」で有名なブサキ
サムゲオの隣町、ブサキ(Busachi)は細〜いタリアテッレを使った伝統的なお料理、ス・ズック(Su Succu)で有名で、9月には"Su Succu祭(ス・ズック祭り)"が行われます。サフランで色づけした羊・牛・鶏肉などをミックスして取ったブロードにパスタを入れてペコリーノチーズ(フレッシュな酸味のあるものと熟成させたもの両方)をタップリ入れたスープ状(パスタがたっぷりブロードを吸っています)のお料理で、お祭りでは乾燥させたタリアテッレを入れたカゴを伝統衣装を着けた女性たちが頭に乗せて調理するところまで運びます。食べ方は以前ヌオーロでご紹介したパスタ、フィリンデゥと似ていますねー。

●ローマ期のテルメ跡のあるフォルドンジャヌス
ブサキのそのまたお隣はローマ期のテルメ(温泉)跡がある町、フォルドンジャヌス(Fordongianus)。ここでは未だに約54℃の熱い温泉が湧き出ており、その温泉水を汲みに来る人や中には洗濯をする人を見かけることも!すぐそばにはティルソ川が流れていて、その際には温泉を利用した公衆浴場もあります。3つの浴室に分かれ個室のようになっていますが、ガラス張りで外からは丸見え、日本の露天風呂のように真っ裸で入る人は間違ってもいません(笑)さて、前述のサムゲオのパン、ブサキのス ズック同様、これまでいくつか伝統的で独特なパン・パスタで
有名な町村をご紹介してきましたが、うっかり通り過ごした!というところをまとめてお届けします〜。

2.多種多様なパンとパスタ
<パン>
ヴィッラウルバーナ Villaurbana

オリスターノ県の町で代表的なパンは外がパリッ、中がフワッとしたパン、チブラッキュ(Civraxiu)やコッコイ(Coccoi)。ここでも毎年パン祭が行われます。
写真左:Gヴィッラウルバーナのパン、右:Hシニのお菓子パン「パーネ&サバ」  

オジエリ Ozieri
サッサリ県の内陸部の町。代表的なパンは平らで丸いやわらかいスピアナータ(Spianata)。 他の地域で作られるスピアナータと異なるのは"Sa Pintadera"と呼ばれる専用の焼き印で模様をつけます。
シニ Sini
パン、と言っても甘くドルチェの一種のパーネ サバ(Pane e' Saba)ですが・・・。 サバ、と呼ばれるブドウやウチワサボテンの実(フィッコディンディア)の絞り汁ギリギリまで煮詰めて作ったモストコットと木の実、レーズン、スパイスをこねて発酵させて焼き上げた甘酸っぱくどっしりしたお菓子。島中で作られていますが、バルミニに近い       シニでは毎年4月25日にパーネ サバ祭が行われます。

写真:Iサン・ジョバンニのお祭りに奉げられるパン

フォンニ Fonni
ヌオーロ県の町でご紹介済みなのですが、6月24日に行われるフォンニの守護聖人、サン ジョバンニのお祭りに奉られるパン(と呼べるのか???)一種独特なので再びご紹介します。奉納用の小鳥を象って葦の棒に刺した独特のパン、一家族の母〜娘に伝えられたものでその家族以外は作り方も材料も詳しくは教えてもらえないらしいです。 作っている時はそこへは立ち入り禁止とか。小鳥の数は160にものぼり、お祭り終了後には関係者にひとつずつ配られるそう。もちろん食用ではなく、1年に1度しか作られない貴重なパンで何年も保存可能です。もらった人たちは大切に取ってあるそうですよ〜。   

ボロレBorore 
オリスターノに隣接したヌオーロ県のこの町にはパン博物館なるものがあり、それこそ島中のありとあらゆるパンが展示されていて、初めて行ったときにはパン大好きな私は狂喜乱舞しましたね〜。ただすご〜く残念ながら全て本物のパンを展示していたので虫食いにあったりしてただ今、閉館中・・・。早く再開館して欲しいと願っています!

写真左右:JK伝統的パスタ「ロリギッタス(指輪の意味)

<パスタ>
モルゴンジョーリMorgongiori 

オリスターノの南東のに位置するこの町の伝統的なパスタはロリギッタス(Lorighittas)指輪、の意味があり、細くした生地を編み込んで名前のとおり、ひとつひとつ指輪の形に作り上げられた大変手間のかかるパスタです。最近ではスーパーでも扱っているところがありますが太くて無骨・・・。いつも私が買っているところのものとは全く異なるもの。 このパスタのように近頃はこの町独特のパスタ、というのを真似して違う地域で工業的に作られるものが増えています。その方が手軽に安く買えますが、やっぱり本物とは似ても似つかないものですね・・・! 
写真左:Lシッディの生活博物館にある機織機、右:Mシッディのパスタ

シッディSiddi 
モルゴンジョーリからも近い小さな町ですが、そこにある生活博物館はなかなか面白い。古い粉挽きやオリーブから搾油する機械、羊の毛を刈り毛糸にする過程、織り機などが豪農屋敷を改装したところに飾られています。(前述のオロッリィにも生活博物館がありましたが、島にはこのような昔のお屋敷を改装してプライベート博物館にしているところがけっこうあるんですよね。地域地域によって建て方も違っていたり、昔の生活を垣間見られて面白いですよ〜) このシッディの村祭りに行った時に実演していたパスタがポテトチップスのような薄くて丸いパスタ・タッルッザス(Tallutzas)と細〜くのばした生地をクネクネっと曲げたマッラコニスフィラウス(Marraconis Fibaus)-クネクネッと曲げることによって生地の長さが保たれる-の2種。ふたつとも今までに出会ったことがなかったパスタなので即売でお買い上げ〜。(ただまだ食べてませんが・・・汗) 
写真:Nオリエナの穴あきパスタ「マカッロネス・デ・ブザ」をつくる女性

オリエナOliena 
オリエナの食材等はパーネカラザウなどいろいろご紹介したんですが、まだありました〜、忘れていたパスタ、マカッロネス デ ブザ(Macarrones de Busa)!穴あきパスタで、細い鉄製の棒(これがBusaと呼ばれる道具で編み棒のようなもの)に生地を巻き付けてひとつひとつ成形したパスタ。日本で知られているマカロニより細長い形です。

これら以外にもまだまだパンやパスタはたくさんあるんですが、とても書ききれません・・・!パンに至ってはなんせ1,000種類はあるだろうと言われていますし、パスタも然り・・・。

サルデーニャでは美味しい硬質小麦が出来る土壌と気候に恵まれ、貧しい中にあってもパンやパスタは昔から食卓の基本であり、いろいろ創意工夫して様々な形のパン・パスタが生まれてきたんでしょうね。
昔は1週間に一度(保存の効くものは1ヶ月に一度)共同の石釜に持って行き、幾家族かのパンを一緒に焼いており、共同石釜で待つ間、井戸端会議ならぬ石釜端会議が開かれていたそうです(笑)パン作りは大切なコミュニケーションにも役立っていたんですよね。パンやパスタは女性が作り出す芸術品、素晴らしい小麦文化です。サルデーニャの小麦文化を訪ねる旅、なんていうのはいかがでしょう?

3.サルデーニャで是非お会いしましょう!
サルデーニャの食の歴史を振り返ると本当に昔からの伝統的なのは内陸部の羊飼いの料理です。
海に囲まれている島ではあるけど、漁業-魚を捕る-というのはそのもっと後に外国から伝わったものです。

またサルデーニャの料理は他の州、例えばトスカーナやエミリアロマーニャのようにたくさんのメニューはありません。パスタのソースにしても基本はトマトソース、肉や魚はシンプルにそのまま焼くか煮るというものがほとんど。でもそれは言い換えれば素材が良いからこそ、出来ることでしょう。

ご紹介してきたようにサルデーニャには美しい海はもちろんですが、山(トレッキング出来る)あり、歴史的考古学的見どころあり、様々な工芸品・手工芸あり、大小のいろんな博物館あり、一年中どこかでお祭りあり、そして豊富な食材に恵まれたとびっきり美味しいマンマの味と何よりそれらを惜しげもなく振る舞ってくれるホスピタリティ溢れる人々が住んでいます。

せっかくサルデーニャに来られるのなら、いわゆる観光スポットばかりを回る駆け足の旅ではなく、島で実際に暮らすような濃い滞在をしていただきたいなと思います。Delizieではそのお手伝いをしています、ぜひぜひサルデーニャにお越しになりたいな、と言う方はご連絡下さいませ。
サルデーニャ、知れば知るほどその魅力にはまり、私のようにきっとサルデーニャに恋するはず・・・。
長い間、お付き合いいただき、ありがとうございました。"サルデーニャ食を巡る旅"は今回でお終りですが今度はサルデーニャでお目にかかれるのを楽しみにお待ちしています!


サルデーニャ「食」の旅  著者プロフィール
藤田智子 Fujita Tomoko
Delizie d'Italia 代表。 

大阪市内で洋風家庭料理の店を4年ほど営んだ後、2000年よりピエモンテ・アスティ郊外の アグリツーリズモに住み込み厨房を手伝いながら家庭料理を学ぶ。 その後イタリア各地のアグリツーリズモを周り、家庭料理を習得する。2003年 前年に訪れたサルデーニャに魅せられ、ベースをサルデーニャに移す。 その後、サルデーニャと日本を行き来し、サルデーニャ文化を広めるため、 "食"をテーマに現地の料理教室や滞在のアレンジを行う。 また、企業向きの取材コーディネートなども手がけている。「 サルデーニャに興味のある方、お越しになりたい方はぜひご連絡下さい! 」
サイト: http://www.delizie-italia.com
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