JAPANITALY Travel On-line

イタリア旅行情報サイトJAPAN-ITALY Travel On-line
ピエモンテ小都市紀行 
15 Aprile 2015


イタリア北部には、湖水地方と呼ばれる自然の美しい地域があります。そこにはアルプスからの澄んだ雪解け水が流れ込む湖と、背景の山々が織りなす素晴らしい景観が広がっています。点在している数ある湖の中でも今回ご紹介するマッジョーレ湖はイタリアでも最も大きな湖のひとつで、美しい島々が湖面にその姿を映し出しています。その島々とのアクセスの拠点になるのがストレーザの街です。トリノからは電車で乗り換え含めて2時間半、ミラノからなら直行で1時間の距離です。

●イタリアで最も美しいマッジョーレ湖
湖水地方の中ではミラノからアクセスも良いコモ湖も有名ですが、湖に浮かぶ島々とあわせた景観の美しさではマッジョーレ湖にかなう湖はないでしょう。湖はピエモンテ州とロンバルディア州にまたがり、 幅3-5キロに対して長さは南北に68キロにも及び、遠い昔はアルプスに続く氷河であったことを思わせます。

トップ写真:@ストレーザの街とマードレ島遠景
写真下左:Aベッラ島  写真下右:Bペスカトーレ島から見たベッラ島のボッローメオ宮殿


湖の観光の中心になるのがピエモンテ州側の西側の湖畔の街ストレーザで、避暑地としてイタリアだけでなくヨーロッパ中で人気のある湖畔のリゾートです。ベストシーズンは春から秋にかけて、澄んだ青い湖と背景に連なる山の緑、湖に浮かぶ島と宮殿の庭に咲く花々の素晴らしい景観を求めて世界中から観光客が訪れます。
ストレーザの街の目の前には3つの島のベッラ島 Isola Bella, ペスカトーリ島 Isola dei Pescatori, マードレ島 Isola Madreが浮かび、かつて15世紀、この地域の貴族ボッロメーオ家が所有していたことにちなんで、ボッローメオ諸島Isole Borromeeと呼ばれています。ボッロメーオ家はマッジョーレ湖周辺に数々の美しいパラッツォを残しました。

●湖畔リゾートを散策
ストレーザの駅からは真っ直ぐ湖畔沿いの遊歩道ウンベルト1世通りCorso Umberto I を目指しましょう。湖畔には1900年代初頭に建てられた数々の美しいヴィラやホテルが並び、湖にはボッローメオ諸島がよく見渡すことができます。
湖畔のホテルの中でもひときわ宮殿のような華やかさを誇っているのが5つ星ホテルのグランド・ホテル・デ・ジル・ボロメGrand Des Iles Borromeesです。開業は1863年と150年以上続く歴史を誇る格式と伝統あるホテルで、ストレーザがマッジョーレ湖のリゾートとして発達するきっかけとなったホテルと言っても良いでしょう。 

写真下左:Cストレーザの湖畔に建つグランドホテル   写真下右:Dグランドホテルのエントランスホール


かつてはヘミングウェイも滞在していたことでも知られ、そのスィートルームは当時の面影を今に伝えます。今でもスィートルームは、世界各国からの王室や首長レベルのVIPをもてなすために使われています。ホテルには他にも結婚披露宴など祝宴の舞台になる宴会場から室内外プールを完備したなスパまで、5つ星ホテルにふさわしい設備は全て整っています。庭園も常に手入れの行き届いた色とりどりの花が咲きほこり、四季折々の美しさを堪能することができます。
そのまま遊歩道を進めば、やがて観光案内所とボッローメオ諸島へのフェリー発着所です。

写真下左:E湖畔の水上タクシーと島へのフェリー発着所   写真下右:Fベッラ島

●ベッラ島と壮大なボッローメオ宮殿
湖に浮かぶ3つの島の中で一番ストレーザに近く、最も見応えがあるのがベッラ島です。ストレーザの桟橋からフェリーで5分の距離で、長さ320m、幅180mほどの島にまるで湖に浮かぶ豪華客船のように建つボッローメオ家の宮殿パラッツォ・ボッローメオPalazzo Borromeoとバロック様式の美しい階段庭園がそれは壮大で、イタリア語の「美しい島」という意味にふさわしい様相です。

写真下左:Gベッラ島のボッローメオ宮殿と階段庭園     写真下右:Hベッラ島の階段庭園


この島は1500年初頭からボッローメオ家の所有になってはいたものの、1630年までは漁師たちが住む小さな集落に過ぎませんでした。それまでは島の名前もインフェリオーレ島(下の島の意味)と呼ばれていたのを、当時のボッローメオ家当主カルロ3世が、愛する妻のイザベラに捧げるために宮殿の建設と、島の名前をベッラ島と変えることを決めたのです。宮殿にはナポレオンやイギリス王女なども訪れ、特にイギリス王女は島を譲って欲しいとボッローメオ家に掛け合ったものの、どうしても譲ってもらえずコモ湖畔の別のヴィラで納得してもらったという逸話があります。

写真下:IJベッラ島の細い小路


階段庭園にはバラやボタンなど季節の花が咲き乱れ、湖の水面と背景の山々の緑を借景にした絵画のような劇的で圧倒される美しさです。

●漁師の島、ペスカトーレ島
ベッラ島の北西に位置するペスカトーレ島は、地図上でベッラ島の上にあるためスーペリオーレ島(上の島の意味)と呼ばれていました。それがイタリア語で通称「漁師の島」を意味する名前でも呼ばれるようになり、その名の通り昔は漁師たちが住んでいた面影を残す、1周30分とかからないこぢんまりとした集落です。

写真下左:Kペスカトーレ島  写真下右:Lペスカトーレ島の湖に張り出したレストランのテラス


ベッラ島に比べると小さな教会の鐘楼以外には目立った建物がない代わりに、レストランやカフェでくつろぐ観光客や、アヒルに餌をやる子供達、日向ぼっこする猫の姿など、時が止まったかのようなのんびりとした光景が広がっています。

写真下:MNペスカトーレ島の小路


●湖に浮かぶ楽園、マードレ島
ボッローメオ諸島で一番大きく、ストレーザから離れているのがマードレ島です。 島の名前は、もともとマッジョーレ湖の一番大きな島なのでマッジョーレ島と呼ばれていたのが、いつしかマードレ島と呼ばれるようになりました。長さ330m、幅220mの島にはボッローメオ家のもうひとつの宮殿と、緑でいっぱいのボタニカルガーデンが島全体を覆い、まるで湖に浮かぶ楽園のようです。

写真下左:Oマードレ島           写真下右:Pマードレ島のボタニカルガーデン 

ストレーザの湖畔の風景は大自然に囲まれ、美しい宮殿や色彩豊かな庭園が点在し、イタリアにいることすら忘れてしまいそうな別世界です。イタリアでは大きな都市も見所がつきませんが、このストレーザのように「ただ佇んでいるだけでその場から離れがたくなる素晴らしい景色に感動できる場所」も数多くあります。あちこちの観光名所を忙しなく駆け回るのではなく、こういう風景を前にそれぞれの思いに耽りながら、ただ時が過ぎるのを楽しめるような旅ができたら素敵ですね。

注:写真FGHOPストレーザ観光局提供

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

本連載 最終回によせて著者からのメッセージ
2年にわたる連載にお付き合い頂き、ありがとうございます。
この連載を始めた目的は、まだまだ伝わってないピエモンテの魅力のPRということもありますが、何より根底にはもうひとつの「ある思い」がありました。
イタリア観光の王道「4都市縦断コース」にピエモンテ州を加えるには、時間に余裕が必要です。しかし、知られざる土地だからこそピエモンテには新たな感動と発見に満ちています。旅の行程を考える時、ただその場所が「有名らしいから行って写真を撮って満足」するのはスタンプラリーと同じです。そうではなく、「自分がピンときたものを見て感動する」感性もまた大切だと思います。それはガイドブックにも載っていない教会かもしれないし、あるいはバスを待つ間に目にした光景かもしれません。そうして出会った風景にシャッターを切るのも忘れて向き合い、次はどこへ行くのかも気にせずしばし過ごす時をもてる心の余裕こそ、旅をさらに豊かなものにしてくれるのではないかと思います。
より多くの人がイタリアの知られざる珠玉の小都市に足を運び、「期待しないで行ったら思いのほか良かった!」と言ってくれるようになれば素晴らしいなと思っています。


ピエモンテ小都市紀行  著者プロフィール
西村清佳(にしむら さやか)

横浜出身、トリノ在住。東京芸術大学大学院修了。在学中、イタリア政府給費留学生としてジェノヴァ大学建築学部に渡伊。その研究結果の一部を 『イタリア文化事典』(丸善出版 2011年)へ執筆。現在はコーディネーターとして日本のメディアを通してイタリアの魅力を伝える一方、イタリアでは日本をテーマとするイベント企画にも携わっている。

ストレーザ Stresa 関連データ

Dati
■標高  200m 面積 35.36 km2 人口5,226人(2010年)

■アクセス情報
<電車>ミラノからは直行で1時間。
トリノからは、いったんミラノまで出て乗り換え込みで約2時間半。
http://www.trenitalia.com


<電車+バス> トリノからノヴァーラNovaraまで電車で1時間、そこからドモドッソラDomodossola行き
バスに乗り換えて1時間半。1日6本運行。
http://www.stnnet.it/novaradomodossola.html

<バス> ミラノマルペンサ空港からヴェルバーニアVerbania行きバスで1時間。1日6本運行。 運行期間4/1-10/31、要予約。
http://www.safduemila.com/alibus-2015-malpensa.lagomaggiore.html

■ストレーザ観光局 Ufficio Turismo “Citta di Stresa”
Piazza Marconi, 16 28838 Stresa(VB)
Tel: (+39)0323-31308/30150
Fax: (+39)0323-32561/32561
Email:info@stresaturismo.it
http://www.stresaturismo.it
10:00-12:30/15:00-18:00
*10月下旬から3月中旬までは土曜午後と休日は休業

■ボッローメオ諸島へのフェリー
http://www.navigazionelaghi.it/
*天候や季節により運行時間は変動するため現地で要確認。

■ボッローメオ諸島 Isole Borrommee
ベッラ島 Isola Bella
Tel: (+39)0323-30556
Fax: (+39)0323-30046
Email:info@borromeoturismo.it
http://www.isoleborromee.it/
9:00-17:30

マードレ島 Isola Madre
Tel: (+39)0323-31261
Fax: (+39)0323-30046
Email: info@borromeoturismo.it
http://www.isoleborromee.it/
9:00-17:30
*ベッラ島、およびマードレ島の宮殿は3月下旬から10月下旬まで公開。

グランド・ホテル・デ・ジル・ボロメ Grand Hotel Des Iles Borromees
C.so Umberto I 67, 28838 Stresa(VB)
Tel: (+39)0323-938938
Fax: (+39)0323-32405
Email:borromees@borromees.it
http://www.borromees.com

ヴィラ・パッラヴィチーノ公園 Parco della Villa Pallavicino
Via Sempione Sud 8, 38838 Stresa(VB)
Tel: (+39)0323-31533
Fax: (+39)0323-31533
Email: direzione@parcozoopallavicino.it
http://www.parcozoopallavicino.it/index.html
9:00-17:00
*3月中旬から10月末まで公開

アルピーナ・ストレーザ植物園 Giardino Alpina Stresa
Viale Mottino 26, 28836 Alpino di Stresa(VB)
Tel: (+39)0323-20163/(+39)348-0133712
Email: giardinoalpiniastresa@gmail.com
http://giardinobotanicoalpinia.altervista.org
9:30-18:00
*4月から10月中旬まで公開


本連載によせて著者からのメッセージ
北イタリアの山裾に位置するピエモンテ州は、いわゆるイタリア観光の王道路線とも言えるミラノ、ローマ、フィレンツェ、ヴェネツィアの主要幹線からは外れた場所に位置しています。しかし州都トリノではサヴォイア王家の王宮群が世界遺産に指定され、2006年に冬期オリンピックが開催された後は世界中から多くの観光客が集まるようになり、もはや知る人ぞ知る街ではなくなりつつあります。そのトリノ周辺には珠玉の小都市が数多く点在し、そこには重厚な歴史のある大都市とはひと味違う、素朴な魅力があります。この企画では、まだまだ知られざるピエモンテの小都市の魅力をお伝えしていきたいと思います。

今後、掲載予定の都市一覧(順不同)
◎オルタ・サン・ジュリオ ◎ リモーネ・ピエモンテ ◎クーネオ ◎カザーレ・モンフェッラート ◎モンドヴィ ◎サルッツォ ◎サウゼ・ドゥルシオ   

2013年2月
 西村清佳

ピエモンテ小都市紀行  
小都市を訪ねる旅 アルキーヴィオへ このページのTOPへ HOME PAGEへ

http://www.japanitalytravel.com
©  JAPAN PLUS ITALY - MILANO 2013 All rights reserved