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ピエモンテ小都市紀行 
15 Aprile 2013

 第2回 サウゼ・ドゥルクス 
中世の村が残るスキーリゾート


  
文・写真/西村清佳 

サウゼ・ドゥルクスは、トリノから真っすぐフランス方面に西へ90kmほど行ったところに位置する、標高1500mのスキーリゾートです。
2006年にトリノで冬季オリンピックが開催された際にはモーグル競技の会場になり、日本女子の上村愛子選手が4位入賞と大健闘した場所でもあります。

アルプスの麓に位置するトリノの周辺には、このオリンピックの会場となったスキーゲレンデが数多くありますが、その中でもトリノから比較的近く、なおかつ戦後にリゾートとして開発されたのではなく、中世から残る村の面影も残した、歴史の古い魅力のあるスキーリゾートが、ここサウゼ・ドゥルクスです。冬になればイタリアだけでなく、トリノ空港とアクセスの良いイギリスからのスキー客で賑わい、街の人口は千人から数万人へと膨れあがります。春から秋にかけては、マウンテンバイクやハイキングを楽しむ人々で賑わいます。

トップ写真: @サン・ジョヴァンニ・バッティスタ教会前の噴水
写真下左:A標高2500mから見下ろしたゲレンデ    写真下右:Bサウゼ・ドゥルクスのちびっ子ゲレンデ


トリノからは電車でフランスとの国境、バルドネッキア行きの電車に乗って1時間ちょっと、ウルクス(Oulx)駅からは更にバスで、15分ほどカーブの続く山道を登ります。バスは早朝から1時間に1本の割合で出ています。街の中は赤、オレンジ、緑、青の運賃無料の巡回バスが、バスの終点の広場から街の中心部やゲレンデのリフト乗り場へほぼ30分おきに運行しています。街の中心はアッシエッタ広場で、レストランやカフェ、スキースクールやレンタルショップが集中していますので、街歩きをするにも、ゲレンデに行くにもまずはそこからスタートすると良いでしょう。
写真下CD:街の中心、アッシエッタ広場 


●街の名の由来とその歴史
元々の名前はサウゼではなくサウザといい、古代ヨーロッパの言語でゴツゴツした岩場を意味する言葉でした。1928年から1947年までイタリアを支配したファシズム体制により、外国語の街名はイタリア語風に変えられ、サーリチェ・ドゥルツィオ(Salice d’Ulzio)と呼ばれるようになりました。今では、サウゼと呼ぶ人、サーリチェと呼ぶ人に分かれているようです。

写真下左:Eスキー用品店のウィンドー   写真下右:F物産品店のウィンドー

その街の起源は大変古くさかのぼり、古代ローマ時代には既に人が住んでいた跡が見られます。その後、ゴート族、ロンゴバルド族、サラセン人などが10世紀までの間に住み着いていました。 1000年から1343年まではフランス南東部の州の一部に組み込まれ、その結果サウゼ・ドゥルシオが今でも使う街の紋章には、イルカ(当時のフランス南東部の州の紋章)と百合(フランス国家の紋章)がデザインされています。

1713年からサヴォイア王家の管轄になり、1747年にはフランスとピエモンテ州の間で起きた戦の舞台となります。その時のフランス軍からの勝利を記念して、街の教会に自由を象徴する木が植樹されたのが、今でも残っています。

●石造りの家の間に噴水が点在するチェントロ
アルプスの麓に点在する村で見られる典型的な家の形式は、バイタ(Baita)と呼ばれる、壁も屋根も石造りで石葺きの家です。サウゼ・ドゥルクスでは、リゾート開発の始まった近代以降、周辺部には大規模なホテルやコンドミニアムなどが数多く建設されましたが、チェントロ・ストリコには、中世の面影を残した街並と、この石造りの家が残っています。

写真下左:Gサン・ジョヴァンニ・バッティスタ教会    写真下右:H石造りの古い家屋と奥に噴水が見える


それは街の中心のアッシエッタ広場から延びるアッシエッタ通りの周辺に見られ、まるでアルプスの村を舞台にした絵本の挿絵のようです。チェントロの所々には中世から残る噴水も見られます。アッシエッタ広場を背にして通りをしばらく行くと右側に曲がるキエーザ通りがあり、その奥に小さな教会が見えます。それが街の聖堂であるサン・ジョヴァンニ・バッティスタ教会です。教会の起源は16世紀、ロマネスク様式の鐘楼が特徴です。

写真下左:Iチェントロ・ストリコの噴水   写真下右:J石造りのコンドミニアムと噴水


●名物お菓子、トルタ・ドゥエミッラ
アッシエッタ広場の一角に、ガッリー(Gally)という製菓店を兼ねた歴史のあるカフェがあります。開店したのは1956年、ガッリーというパティシエがここに店を開いたのが最初でした。ここの名物は、2000という意味のドゥエミッラというケーキで、開店間もない頃、パティシエが孫に「誰もがあっと驚くような、未来のお菓子を作って」とせがまれて作ったレシピで、当時にとっては十分近未来だった西暦2000年を意味して付けられた名前だそうです。

写真下:KL名物お菓子「トルタ・ドゥエミッラ」


それはカカオのきいたスポンジケーキにチョコレートクリームが挟まった上に粉砂糖でデコレーションされたケーキで、前回ご紹介したイヴレアの900ケーキと、比較の対象になることが多いのですが、トリノの人に言わせれば「どちらも美味で、甲乙つけがたい」ものなのだそうです。

●オリンピックも開催されたゲレンデ
サウゼ・ドゥルクスのゲレンデは、ヴィア・ラッテア(Via Lattea)と呼ばれる5つのゲレンデが繋がったうちのひとつで、オリンピックのスキーの花形競技である大回転などが行われたセストリエーレ(Sestriere)のゲレンデとも頂上のフライテーヴェ(Fraiteve)とケーブルカーで繋がっています。

写真下:MNサウゼ・ドゥルクスのゲレンデ


サウゼ・ドゥルクスのリフト総数は11本、標高差は1500mから2700mまで、コースも初心者コースから上級者専用まで、難易度もバラエティーに富んでいます。イタリアでは祝日の12月8日が例年のゲレンデ開きで、通常3月末までオープンしています。標高の高いところは森林限界を超え、広々としたゲレンデはとても開放的です。
点在するレストハウスではパニーノやピッツァ等の軽食から、イタリアならではのポレンタやスペッツァティーノ(牛のトマトソース煮込み)など冬の定番料理を味わう事が出来ます。外が寒い時にはホイップクリームたっぷりのチョコラータ(ドロドロのホットチョコレート)や、薬草の香りのきいたお酒、ジェネピーで体を温めるのもいいでしょう。
是非トリノから日帰りで、オリンピックの開催されたゲレンデでのダイナミックな滑りを実体験してみてはいかがでしょうか。


ピエモンテ小都市紀行  著者プロフィール
西村清佳(にしむら さやか

横浜出身、トリノ在住。東京芸術大学大学院修了。在学中、イタリア政府給費留学生としてジェノヴァ大学建築学部に渡伊。その研究結果の一部を 『イタリア文化事典』(丸善出版 2011年)へ執筆。現在はコーディネーターとして日本のメディアを通してイタリアの魅力を伝える一方、イタリアでは日本をテーマとするイベント企画にも携わっている。

サウゼ・ドゥルクス  Sauze d’Oulx   関連データ

Dati
■標高 1503m 面積 17.10? 人口 1.178(2011年)  トリノ県 

■アクセス情報
トリノから直行電車でバルドネッキア(Bardonecchia)行きに乗り1時間10分、
ウルクス(Oulx)下車
駅からSADEM社運行のバスで15-25分

■バス運行状況
○ウルクス駅-サウゼ・ドゥルクス
http://www.sadem.it/media/6376/000285.pdf
○街中巡回バス
http://www.bellandotours.it

■サウゼ・ドゥルクス観光局
Viale Genevris, 7 ? Sauze d’Oulx
Tel: (+39)0122.858009
Email: info.sauze@turismotorino.org
www.turismotorino.org

■ヴィア・ラッテア Via Lattea ゲレンデ情報
Piazza Agnelli, 4 ? Sestriere
Tel: (+39)0122.799411
Fax: (+39)0122.799460
Email: info.sauze@turismotorino.org
www.vialattea.it

■製菓店 ガッリー Gally
Piazza Assietta, 5
Tel: (+39)0122,8580,28


本連載によせて著者からのメッセージ
北イタリアの山裾に位置するピエモンテ州は、いわゆるイタリア観光の王道路線とも言えるミラノ、ローマ、フィレンツェ、ヴェネツィアの主要幹線からは外れた場所に位置しています。しかし州都トリノではサヴォイア王家の王宮群が世界遺産に指定され、2006年に冬期オリンピックが開催された後は世界中から多くの観光客が集まるようになり、もはや知る人ぞ知る街ではなくなりつつあります。そのトリノ周辺には珠玉の小都市が数多く点在し、そこには重厚な歴史のある大都市とはひと味違う、素朴な魅力があります。この企画では、まだまだ知られざるピエモンテの小都市の魅力をお伝えしていきたいと思います。

今後、掲載予定の都市一覧(順不同)
◎オルタ・サン・ジュリオ ◎ リモーネ・ピエモンテ ◎クーネオ ◎カザーレ・モンフェッラート ◎モンドヴィ ◎サルッツォ ◎サウゼ・ドゥルシオ   

2013年2月
 西村清佳

ピエモンテ小都市紀行  
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