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ピエモンテ小都市紀行 
15 Giugno 2013

第3回 オルタ・サン・ジュリオ
湖畔にたたずむ世界遺産のふもと


  
文・写真/西村清佳 

イタリアの湖水地方と呼ばれるミラノから北80kmの地域は、コモ湖、マジョーレ湖など中世からリゾートとして人々を惹きつけてきた美しい湖が点在しています。 その中でピエモンテ州東側に位置する、まだまだ知られざるオルタ湖の畔の街、オルタ・サン・ジュリオをご紹介します。

トップ写真: @サクロ・モンテから見下ろしたオルタ湖のサン・ジュリオ島
写真下左:Aモッタ広場からのサン・ジュリオ島の眺め    写真下右:Bオルタ湖畔のたたずまい


オルタ・サンジュリオへは、トリノから国鉄でミラノ方面に1時間10分のノヴァーラNovaraから、ドモドッソラDomodossola行きのローカル線に乗り換えて、さらに40分ほどのオルタ・ミアシーノOrta Miasino駅下車、歩いて20分ほどです。少々距離がありますが、最後の10分は起伏のない道で、その後も湖畔の美しい景色を眺めながら歩くとほどなく着いてしまいます。駅から5分くらい歩いたところにある宮殿のようなホテル、ヴィッラ・クレスピのそばにインフォメーションがあり、そこから有料ミニ観光列車に乗っても街の中心部、モッタ広場に着くことが出来ます。

●緑に包まれた宝石、オルタ湖
オルタ湖は、南北10km、幅2km、アルプスの山々に囲まれてたたずむ姿から「緑に包まれた小さな宝石」と呼ばれ、各国から多くの観光客が訪れる景勝地として知られています。訪れるシーズンは初夏から秋までがベストでしょう。その中心地であるオルタ・サン・ジュリオは、「イタリアの最も美しい村 Borghi piu belli d’Italia」の1つに認定されています。 街はオルタ湖の東岸から湖に突き出た岬の先端に築かれ、その先には、サン・ジュリオ島の小島が浮かんでいます。

写真下C:丘の上からオルタ湖のサン・ジュリオ島を見下ろす


今でこそ風光明媚な美しい湖ではありますが、20世紀後半、湖は付近の工場からの排水で水質が汚染し、隣のマジョーレ湖まで被害が広がると心配されるほどに深刻な問題となりました。湖を見下ろすサクロ・モンテを世界遺産の候補として推薦することを見越して、国立水質調査研究所の協力のもとで工場排水の規制とともに水質の改善をはかった結果、2000年までに湖水は浄化されて湖に再び生物が戻り、今でも湖は常に澄んだ綺麗な水を維持しています。ここまで環境を改善した実績は、地元の誇りのひとつになっています。

●世界遺産、サクロ・モンテ
街の中心にあるモッタ広場Piazza Mottaから歩いて15分ほど、高さ400メートルの丘を上ったところに、オルタ湖のサクロ・モンテSacro Monte di Ortaがあります。サクロ・モンテとは、「聖なる山」の意味で、山の中に複数の聖堂や祠が建造され、聖書や聖人の物語を絵や彫刻で順に再現し、これを順に巡ることで、より信心を深めるという目的があります。昔からキリスト教の巡礼の場であり、日本のお遍路巡りと似ています。 ここオルタ湖のサクロ・モンテは、湖水地方に点在する他の8ヶ所のサクロ・モンテも含めて「ピエモンテとロンバルディアのサクリ・モンティ」として2003年にユネスコ世界遺産に登録されました。

写真下:DEサクロ・モンテの聖堂

オルタ湖のサクロ・モンテは、イタリアの第2守護聖人である聖フランチェスコの生涯が、フレスコ画やテラコッタの陶器の人形で表現されていて、キリストや聖母マリアの物語を描いている他のサクロ・モンテとは趣が違います。1583年から建設が始められ、1788年までに21の礼拝堂が建てられました。
初期のものはルネサンス後期のマニエリスム様式で、17世紀後半からバロック様式等となっています。テラコッタやフレスコ画の保存状態は良好で、木陰の多い緑の中に配置されています。

写真下左:Fサクロ・モンテの第3聖堂、 ローマ法王との面会、写真下右:G第20聖堂(1591-1670年建造)、聖フランチェスコの列聖式


サクロ・モンテの丘から、湖に浮かぶサン・ジュリオ島が良く見えます。その風景の美しさは、息をのむほどです。丘の斜面には豪奢なヴィラがいくつも立ち並び、小道は街の中心にあるモッタ広場まで続きます。モッタ広場はサン・ジュリオ島を正面にして、ホテルやカフェ、レストランに囲まれていて、広場の中央に建つフレスコ画の描かれている昔の市庁舎が、この広場のアクセントになっています。広場のカフェに座って正面のサン・ジュリオ島を眺めると、まるで時が止まってしまうかのようです。

写真下左:Hモッタ広場と、観光用ミニ列車   写真下右:Iモッタ広場と旧市庁舎


●街の広場と、丘の上の教会
広場には、1582年に建築された旧市庁舎パラッツォットPalazzottoが建っています。外壁にはフレスコ画で、この地を治めた歴代のノヴァラ司教の顔や、サクロ・モンテが描かれています。外階段から2階の大ホールにつながっています。

写真下左:J広場は絵になる風景   写真下右:K土産物屋には近くの木工房で作られるピノキオが並ぶ


旧市庁舎から延びる坂の上には、サンタ・マリア・アッスンタ教会Chiesa di Santa Maria Assuntaがあります。1485年に建造され、18世紀に改築されて今の姿になっています。花や動物が彫刻された柱のある入口が美しく、内部には、16-18世紀の絵画などが見られます。教会前の広場からは湖と島が一望でき、週末なら結婚式を見かけることも多いでしょう。

写真下左:L丘の上のアッシエッタ教会   写真下右:Mアッシエッタ教会へ続く坂道から湖を見下ろす


●湖に浮かぶ島、サン・ジュリオ島
オルタ湖に浮かぶサン・ジュリオ島Isola San Giulioは、南北275m、東西140m、周囲650mの小さな島に鐘楼がそびえています。モッタ広場から頻繁に船も出ているので、是非、足を延ばしてみて下さい。10分足らずで島の波止場に到着です。

写真下左:Nモッタ広場からのサン・ジュリオ島の眺め   写真下右:O船から見たサン・ジュリオ教会 

波止場の横に建つサン・ジュリオ教会は、伝説によれば390年にこの地に辿り着いた聖ジュリオが、ローマ帝国によるキリスト教への弾圧を逃れて建立しました。現存する建物は12世紀に建て直された窓の少ないロマネスク様式教会で、中には豪華なバロック装飾が施されています。
教会の地下には、聖ジュリオの亡骸が安置されています。

1844年には島に神学校が創立され、今では女子修道院となり、そこでは石鹸やレースの刺繍を作って、島に唯一ある店や対岸のオルタ・サン・ジュリオの土産物屋で販売しています。
歩いて廻っても10分足らずの小さな島で、島にはフレスコ画が残る富裕層の邸宅が密集し、 車がない中に中世の面影が色濃く残され、あたかも絵画のような風景です。

写真下:P街の入り口に建つホテル、ヴィッラ・クレスピ

最初に紹介した街の入り口にある宮殿のようなホテル、ヴィッラ・クレスピにはミシュラン2つ星に認定されている美食家たち羨望のレストランが入っています。オルタ湖を訪れる際には、是非時間に余裕を持って1泊し、湖水地方の豊かな自然とともに、イタリア人シェフの素晴らしい創作料理を堪能してみるのはいかがでしょう。


ピエモンテ小都市紀行  著者プロフィール
西村清佳(にしむら さやか

横浜出身、トリノ在住。東京芸術大学大学院修了。在学中、イタリア政府給費留学生としてジェノヴァ大学建築学部に渡伊。その研究結果の一部を 『イタリア文化事典』(丸善出版 2011年)へ執筆。現在はコーディネーターとして日本のメディアを通してイタリアの魅力を伝える一方、イタリアでは日本をテーマとするイベント企画にも携わっている。

オルタ・サン・ジュリオ Orta San Giulio  関連データ

Dati
■標高 294m 面積 6,81km2 人口 1.167(2010年)  ノヴァーラ県 

■アクセス情報
<電車>
トリノからミラノ方面行きの電車に乗って1時間10分、ノヴァラ Novara下車
そこからドモドッソラDomodossola行きに乗り換えて約40分
*ノヴァラ - ドモドッソラ間は、1日5本のローカル線なので要注意
www.trenitalia.com

<バス>
マジョーレ湖からバスでもアクセスできます。(注:季節により運行スケジュールが異なります)
〇マジョーレ湖畔アローナAronaより
バス会社:AUTOSERVIZI COMAZZI
路線: ARONA - BORGOMANERO - OMEGNA
www.comazzibus.com

〇マジョーレ湖畔ストレーザStresaより
バス会社:S.A.F. SOCIETA’ AUTOSERVIZI FONTANETO
路線: STRESA - GIGNESE ? ORTA
時刻表: http://www.safduemila.com/files/2013.6.16-9.15-stresa-gignese-orta--2013.5.14-.pdf
注: 運行シーズンは6/15-9/15のみ
EMail: info@safduemila.com
www.safduemila.com

■オルタ・サン・ジュリオ観光事務局(市役所内)
Via Bossi, 11 - 28016 Orta San Giulio
Tel: (+39)0322.911972 (内線. 108)
Fax: (+39)0322.90133
Email: turismo.orta.san.giulio@reteunitaria.piemonte.it

■オルタ湖周遊船
Piazza Motta, 1 - 28016 Orta San Giulio
Tel: (+39)333.6050288 Email: info@motoscafisti.com
www.motoscafipubbliciorta.it

■ホテル情報
ヴィッラ・クレスピ  Villa Crespi
Via G.Fava, 18 - 28016 Orta San Giulio
Tel : (+39)0322.911902
Fax : (+39)0322.911919
Mobile : (+39)334.6052912
Email: info@villacrespi.it
www.hotelvillacrespi.it

ホテル・サン・ロッコ  Hotel San Rocco
Via Gippini, 11 - 28016 Orta San Giulio
Tel: (+39) 0322 91.1977
Fax: (+39) 0322 91.1964
Mail: info@HotelSanRocco.it
www.hotelsanrocco.it


本連載によせて著者からのメッセージ
北イタリアの山裾に位置するピエモンテ州は、いわゆるイタリア観光の王道路線とも言えるミラノ、ローマ、フィレンツェ、ヴェネツィアの主要幹線からは外れた場所に位置しています。しかし州都トリノではサヴォイア王家の王宮群が世界遺産に指定され、2006年に冬期オリンピックが開催された後は世界中から多くの観光客が集まるようになり、もはや知る人ぞ知る街ではなくなりつつあります。そのトリノ周辺には珠玉の小都市が数多く点在し、そこには重厚な歴史のある大都市とはひと味違う、素朴な魅力があります。この企画では、まだまだ知られざるピエモンテの小都市の魅力をお伝えしていきたいと思います。

今後、掲載予定の都市一覧(順不同)
◎オルタ・サン・ジュリオ ◎ リモーネ・ピエモンテ ◎クーネオ ◎カザーレ・モンフェッラート ◎モンドヴィ ◎サルッツォ ◎サウゼ・ドゥルシオ   

2013年2月
 西村清佳

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