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ピエモンテ小都市紀行 
15 Febbraio 2014

第6回 モンドヴィ 
 丘の上下に広がる立体的中世都市


  
文・写真/西村清佳 

今回も引き続き、クネオ県に属する町をご紹介していきます。モンドヴィはトリノから電車で南におよそ80km移動した街です。通常、イタリア語は後ろから2番目の母音にアクセントがつくのですが、モンドヴィは最後のiにアクセントが付いています。その理由はモンドヴィという町の名前の由来にあり、隣の町ヴィーコフォルテに近い山という意味の「モンテ・ディ・ヴィーコ Monte di Vico」が縮まったものとされています。

トップ写真:@ミシュラン星付きレストラン「バルアルド」のフランスのフォアグラを使ったカボチャのリゾット
写真下左:Aモンドヴィの町のパノラマ    写真下右:B丘の上のピアッツァ地区のケーブルカー乗り場


モンドヴィの町はまず地図を見ると大きな特徴が分かり、川沿いの地区と丘の上の地区に分かれています。川沿いの地区はブレオBreo、丘の上の地区はピアッツァPiazzaと呼ばれ、特にピアッツァ地区にはバロック様式の歴史的建造物など、中世の雰囲気が未だに色濃く残っています。二つの地区の高低差は150mあるためケーブルカーで繋がれていて、それは立体的な町に住む市民の日常生活の足となっています。

●川沿いの地区、ブレオ地区
駅を出たら、左に出て並木道アマンド・ディアス大通りCorso Amando Diazを行くとロータリーに出ます。真正面のリーペ通りVia delle Ripeをしばらく行くと川にぶつかるので橋を渡り、 細い路地のベッカリア通りVia Beccariaを進みましょう。ここがブレオ地区の入り口です。両脇に商店の並ぶ通りを進むと、視界が開けて四角いローマ広場Piazza Romaに出ます。

写真下左:Cサン・ピエトロ教会      写真下右:Dサン・ピエトロ広場にて


広場に面した教会はサン・フィリッポ教会Chiesa di San Filippo(1757年建造)で、地元の建築家フランチェスコ・ガッロFrancesco Galloによって建造され、近代に入って修復されました。そのまま進んでバッティスティ広場Piazza Battistiに出たらメリディアーナ通りVia Meridianaを左に曲がります。すると正面にバロック様式のファサードの美しいサンティ・ピエトロ・パオロ教会Chiesa dei Santi Pietro e Paolo(1489年建造)が見えてきます。

正面の曲線が見事な石階段と大時計が特徴的で、一説によればナポレオンの軍隊は、この大時計の上には戦時に市民へ急を知らせる警報が隠してあると信じ込み、銃で撃ち落としてしまったそうです。丘の上のピアッツァ地区へ上るケーブルカーは、この教会の右後ろから出ています。

写真下左:E歴史あるケーブルカー乗り場   写真下右:Fケーブルカーは最新式  

●ケーブルカーで丘の上のピアッツァ地区へ
ケーブルカーを下りると、丘の上のマッジョーレ広場Piazza Maggioreに出ます。ここはモンドヴィの町で一番美しく、また中心的な広場と言えるでしょう。ピアッツア地区はこの広場を中心として南北に細長く広がり、長辺は1kmにも満たないこぢんまりとした地区です。広場を囲む建物のファサードは14世紀から16世紀のもので、あたかも中世の時代の舞台装置のようで、イタリア国営テレビのロケにも使われたそうです。

写真下左:Gマッジョーレ広場   写真下右:Hマッジョーレ広場のポルティコ


広場に面して建っているバロック様式のミッシオーネ教会Chiesa della Missione(1679年建造)は、内部のヴォールト天井のフレスコ画が素晴らしく、当時イタリア全土で活躍していた画家アンドレア・ポッツォAndrea Pozzoの作品です。その立体的に描かれたフレスコ画を見上げていると、まるで天井に吸い込まれてしまうかのようです。

写真下左:Iマッジョーレ広場の路地   写真下中:J
ミッシオーネ教会内部のフレスコ画   写真下右:K市塔トッレ・チヴィカ


教会を背にしてマッジョーレ広場から細い路地に入ると、モンドヴィの町の大聖堂であるサン・ドナート教会Cattedrale di San Donato(1763年建造)が見えてきます(注:現在、修復中)。大聖堂の裏には見晴台という意味のベルヴェデーレ庭園Giardino di Belvedereが広がり、 そこには13世紀建造のゴシック様式の塔トッレ・チヴィカTorre Civicaが建っています。 高さ29mの展望台からは町を360度一望の元に見渡す事ができるでしょう(注:冬期休業)。

写真下左:Lベルヴェデーレ庭園からの見晴らし   写真下右:Mミゼリコルディア教会


再びマッジョーレ広場に戻ったら、今度はヴィーコ通りVia Vicoを進みましょう。少し行って右に曲がると、ミゼリコルディア教会Chiesa di Misericordia(1717年建造)があります。これも前述の建築家ガッロの作品で、レンガの素朴なファサードは町の色に溶け込んで調和しています。

●ミシュラン星付きレストラン、バルアルド 
そのままヴィーコ通りを進んだら町歩きにちょっと草臥れたところで、町で唯一ミシュランの星を獲得したレストラン、バルアルドIl Baluardoをご紹介します。シェフはフランス生まれのイタリア人で、ピエモンテ郷土料理とフランス料理を見事に融合させた創作料理で、2004年にミシュランのひとつ星に輝きました。

写真下左:N付き出しのフィンガーフード三品   写真下右:Oピエモンテの果実ソース、クニャを添えたフランスの鴨のグリル


メニューを見ると、確かにフランス料理からインスピレーションを得たと思われるホタテ貝やフォアグラ、鴨肉など、イタリアではあまり見かけない素材がピエモンテ郷土料理の中にうまく組み合わされているのに気が付きます。レストランは古い建物をシンプルかつ明るいインテリアに改装し、肩肘張らずに気軽に入れる雰囲気で、シェフとご夫人の気さくな人柄に惹かれ、地元の人々にもこよなく愛されて常連になる人もいると言うのも納得です。

●町はずれにはアウトレットモール、モンドヴィチーノ
町はずれにはアウトレットモール、モンドヴィチーノMondovicinoがあり、イタリアならではのファッションからインテリア、キッチン用品、子供服、化粧品まで幅広く扱っています。どちらかと言えば、簡単には手が届かない一流デザイナーズブランドではなく、割とお手軽に買えるイタリアのブランドが揃っているように思います。行き方は、丘の上のマッジョーレ広場からモンドヴィ駅を経由する3番バスに乗れば終点です。

●地元産のリキュール、ラキコRakiko
町の知られざる物産品に、ラキコRakikoというリキュールがあります。創業1895年から地元で作られている琥珀色のリキュールで、食前酒にも食後酒としても飲まれ、その多種のハーブが配合されたオリジナルな風味とエキゾチックな名前が受けて評判になりました。町歩きの思い出に、一本お土産に買い求めてみるのも良いかもしれません。

写真下右:P. 町の物産リキュール「 ラキコRakiko」

モンドヴィの町には特に美術館や美食の収穫祭がありません。だからこそ、ピエモンテらしい北の山国で厳しい寒さと共存してきた人々の暮らしが息づいている町の風景を、 そこかしこに見ることが出来ることでしょう。本当の町歩きの醍醐味とはこのような歴史ある小さな町で、自分のお気に入りの空間や風景を見つけ出すことではないでしょうか。


ピエモンテ小都市紀行  著者プロフィール
西村清佳(にしむら さやか

横浜出身、トリノ在住。東京芸術大学大学院修了。在学中、イタリア政府給費留学生としてジェノヴァ大学建築学部に渡伊。その研究結果の一部を 『イタリア文化事典』(丸善出版 2011年)へ執筆。現在はコーディネーターとして日本のメディアを通してイタリアの魅力を伝える一方、イタリアでは日本をテーマとするイベント企画にも携わっている。

モンドヴィ Mondovi 関連データ

Dati
■標高 395m 面積 87,25km2 人口 22,177人(2012年)

■アクセス情報
トリノからサヴォナSavona行きの直行電車で1時間、あるいはフォッサーノFossano乗り換えで1時間15分
運行頻度は1時間に1本
http://www.trenitalia.com

■市内交通機関
ケーブルカー
冬期1月-6月/9月-12月:
7:30-19:50(月曜-木曜)7:30-24:00(金曜)7:30-01:00(土曜)10:20-19:00(日曜、祝祭日)
夏期7月-8月:
7:30-19:50(月曜)7:30-24:00(火曜-木曜)7:30-01:00(金曜-土曜)10:20-24:00(日曜、祝祭日) 10分毎に運行
http://www.buscompany.it/sites/default/files/orari/700.pdf

3番バス(マッジョーレ広場-モンドヴィ駅-アウトレット)
http://www.buscompany.it/sites/default/files/orari/706.pdf

■モンドヴィ観光局
Piazza Maggiore 1, - 12084 Mondovi(CN)
Tel: (+39)0174,40389
Email: tristico@comune.mondovi.cn.it
通年
10:00-12:00/15:00-18:00 (火曜-土曜)
10:00-18:00(日曜)
夏期(7月-9月)
10:00-12:00/16:00-19:00 (火曜-土曜)
10:00-19:00(日曜)
http://www.comune.mondovi.cn.it/vivere-la-citta/turismo/ufficio-info-turistiche/

■展望台トッレ・チヴィカTorre Civica
Giardini del Belvedere ? 12084 Mondovi(CN)
Tel: (+39)0174.559271/40389
土日、祝日のみ開業
15:00-18:00 (4月?6月、10月-11月)
16:00-19:00 (7月-8月)
http://www.castelliaperti.com/pagine/ita/scheda.lasso?-id=88

■レストラン イル・バルアルド Il Baluardo
Piazza d’Armi, 2- 12084 Mondovi CN
Tel:0174.330244
月曜昼、火曜全日休業
http://www.marclanteri.it

■アウトレットモール モンドヴィチーノ Mondovicino
Piazza Jemina, 47 -12084 Mondovi(CN)
Tel: (+39)0174.553035
Email: info@mondovicino.it
10:00-20:00
クリスマス、元旦休業
http://outlet.mondovicino.it/en

■リキュール ラキコRakiko
http://rakiko.it


本連載によせて著者からのメッセージ
北イタリアの山裾に位置するピエモンテ州は、いわゆるイタリア観光の王道路線とも言えるミラノ、ローマ、フィレンツェ、ヴェネツィアの主要幹線からは外れた場所に位置しています。しかし州都トリノではサヴォイア王家の王宮群が世界遺産に指定され、2006年に冬期オリンピックが開催された後は世界中から多くの観光客が集まるようになり、もはや知る人ぞ知る街ではなくなりつつあります。そのトリノ周辺には珠玉の小都市が数多く点在し、そこには重厚な歴史のある大都市とはひと味違う、素朴な魅力があります。この企画では、まだまだ知られざるピエモンテの小都市の魅力をお伝えしていきたいと思います。

今後、掲載予定の都市一覧(順不同)
◎オルタ・サン・ジュリオ ◎ リモーネ・ピエモンテ ◎クーネオ ◎カザーレ・モンフェッラート ◎モンドヴィ ◎サルッツォ ◎サウゼ・ドゥルシオ   

2013年2月
 西村清佳

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