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ピエモンテ小都市紀行 
15 Aprile 2014

第7回 リモーネ・ピエモンテ 
 フランスに近い小さな山村リゾート


  
文・写真/西村清佳 

今回はいよいよピエモンテ州最南端の町です。クネオ県にあるリモーネ・ピエモンテは、トリノから南におよそ120km移動した町で、約2時間の電車旅になります。途中で電車を乗り換えた後の、テンダ線と呼ばれる3両編成のローカル線は、車窓風景が風光明媚なことでも知られ、アルプス山脈の最南端部を通り抜けながら山間部の小さな村や渓谷を流れる川などを眺めることができ、そのまま地中海へと繋がっています。路線の一部はフランスにまたがっていて、リモーネ・ピエモンテはフランス国境前にある最後のイタリアの駅になります。

トップ写真:@石造りの素朴なサン・ピエトロ教会
写真下左:Aリモーネの町、雪景色のパノラマ(リモーネ観光局提供)   写真下右:B石の壁と煙突が特徴的


語尾にピエモンテがつくのは、ロンバルディア州にもある別のリモーネという町と区別するためです。町の名前のリモーネとはイタリア語でレモンのことで、確かに町の紋章にもデザインされています。実のところはレモンと町に直接の関係はなく、この地方に沢山自生するニレの木を意味するオルモOlmoが、ここの方言でリーモLimoと呼ばれたのが名前の由来という説があります。1290年の文献には既に、ラテン語でリモヌスLimonusと町の名前が登記されています。ここではピエモンテを省略して、単にリモーネと呼ぶ事にします。

写真下:CDリモーネ、町中の風景


●フランスとイタリアの狭間のリゾート
フランス国境に近いリモーネの町は、1275年から1581年までは隣国フランスの伯爵領の一部でしたが、その後ピエモンテ地方を治めていたサヴォイア家の支配下になりました。この町が大きく発展するのは1800年代後半からで、当時からヨーロッパ人がバカンスを過ごすのに人気のあった海のリゾート、ニースやサンレモ、モナコのある地中海沿岸まで70kmほどと近いことから、内陸の山の避暑地として観光客が流れて来るようになりました。                                 

写真下:Eリモーネのゲレンデ (リモーネ観光局提供) 

1900年代に入ってからは前述の電車が敷かれ、この時代にはまだ珍しかったスキー場が早くも開設しました。地中海から湿った空気が流れ込むため冬は積雪量も多い事で知られ、今ではリフトやゴンドラも完備され、1000mもの高低差を利用した初心者から上級者まで楽しめる緩急さまざまなレベルのゲレンデが広がるスキー場になっています。また春から夏にかけては、ここを拠点にアルプスのハイキングを楽しむ人が集まってきます。

●小さな山村の歴史的中心地区
駅を出たら、そのまま左前方の階段を下りるとロータリーにでます。町歩きはここからスタートです。そのままロータリーの反対側に渡り歩行者天国のローマ通りVia Romaを進みましょう。ここが町のメインストリートで、左右にはアルプスの山村のイメージそのままのチロル風の建物が並んでいます。左右に並ぶショーウィンドーを眺めながら進むとやがて道が膨らんで広場のようになり、そのまま緩やかに左にカーブします。

写真下左:Fリモーネ駅にとまるローカル線   写真下右:Gサン・ピエトロ教会(リモーネ観光局提供) 


この広場が町の中心で市庁舎と観光案内所があり、またカフェも集まっているので気持ちのいい週末の昼下がりなら、ベンチで日向ぼっこしている地元の人も見かけることでしょう。左に建つ石造りの素朴な教会はサン・ピエトロ教会(1363年建造)で、ロマネスク様式の古い鐘楼が町のシンボルにもなっています。

写真下左:Hローマ通りとサン・ピエトロ教会  写真下右:I人が行き交うローマ通り


●モナコ大公の別荘を改装したリゾートホテル
ローマ通りでもひときわ異彩を放っているのが入り口に建っているチロル風の大きな建物で、四つ星ホテル、グラン・パラス・エクセルシオールGrand Palas Excelsiorです。元々は1900年代初頭にモナコ大公が山の別荘として建てられたものを、現在では改装してホテルとして使われています。その建物の優雅さと気品は、何より貴族の別荘としてのかつての記憶を物語っているようです。

写真下左:Jローマ通りの入り口に建つグラン・パラス・エクセルシオール   
写真下右:K見事な藤の木のある家(リモーネ観光局提供) 


●野趣あふれる山のオステリア
町の中にある、典型的な山村のオステリア、イル・バガット Il Bagattoをご紹介します。ローマ通りと直行するヴェンティ・セッテンブレ通りVia XX Settembreを入ったところにあり、少々入り口も分かりにくく、まさに隠れ家レストランと呼ぶにふさわしいところです。

写真下左:Lオステリア イル・バガットの内観
写真下右:M牛頬肉のワイン煮込み、ジャガイモピューレとほうれん草を添えて


木を基調にした田舎のぬくもりを感じるインテリアに、野趣あふれるシカの角など、随所にアルプスの山村の雰囲気が感じられます。ここの自慢はボッリート(肉の煮込み料理)など、肉をメインにした地元の素材を生かした山の幸で、パスタも全て自家製です。メニューは季節ごとに入れ替わり、それぞれの季節の旬のものを提供できるように心がけています。

●隣町には地元の自家製ビール工房も 
イタリアを代表するお酒と言えばワインですが、実はここ数年でじわじわと自家製ビールを醸造する工房が増えて来ています。ピエモンテにも、アルプスから流れこむ澄んだ美味しい水がふんだんにあるお陰で、数多くのビール工房があり、そのうちの一つがリモーネの隣町ベルナンテVernanteにあるトロールTrollです。リモーネからは車で15分はかからない距離で、3月まではバスも出ています。

写真下左:Nビール工房トロールの自家製ビール  写真下右:Oビール工房トロールの内観

ここの工房では、黄金色でさっぱりした口当たりのものから、白濁した柔らかくフルーティなもの、さらに琥珀色のスパイシーな喉越しのものまで、季節に合わせて10種類以上のビールを醸造しています。ビールに合わせる料理にも自前のビールが材料として使われており、マスや豚ヒレ肉のビールマリネ炭火焼、ビール酵母で発酵させた揚げパンなど、オリジナルのレシピを日々開発しています。

写真下:Pストゥーラ川と昔の水車小屋

リモーネの町はすぐ近くにストゥーラ川が流れていて、アルプスからの雪解け水が流れ込む春先には、勢いよく流れる音が聞こえてきます。また朝晩の冷え込む時期には、暖炉で燃える薪の匂いが町中にたちこめています。たまには都会の喧噪を離れ、こんな典型的なアルプスの山村で地元の人たちと時を忘れてスローライフな週末を過ごしてみるのも素敵です。  


ピエモンテ小都市紀行  著者プロフィール
西村清佳(にしむら さやか

横浜出身、トリノ在住。東京芸術大学大学院修了。在学中、イタリア政府給費留学生としてジェノヴァ大学建築学部に渡伊。その研究結果の一部を 『イタリア文化事典』(丸善出版 2011年)へ執筆。現在はコーディネーターとして日本のメディアを通してイタリアの魅力を伝える一方、イタリアでは日本をテーマとするイベント企画にも携わっている。

リモーネ・ピエモンテ Limone Piemonte 関連データ

Dati
■標高 1009m 面積 71,23km2 人口 1,513人(2011年)

■アクセス情報
トリノからフォッサーノFossanoあるいはクネオCuneo乗り換えで2時間
運行頻度は1時間に1本
http://www.trenitalia.com

■リモーネ・ピエモンテ観光局
Via Roma, 32 - 12015 Limone Piemonte(CN)
Tel: (+39)0171,925281
Fax: (+39)0171,925289
Email: iat@limonepiemonte.it
9:00-12:30/15:30-19:00
http://www.limonepiemonte.it/turistico2/index.php

■オステリア イル・バガット Il Bagatto
Via XX Settembre,16 - 12015 Limone Piemonte(CN)
Tel:0171,927543
Email: info@osteriailbagatto.it
水曜休業
http://www.osteriailbagatto.it/home.php

■グランド・パラス・エクセルシオール Grand Palais Excelsior
Largo Roma, 9 -12015 Limone Piemonte(CN)
Tel: (+39)0171,929002
Fax: (+39)0171,426960
Email: info@grandexcelsior.com
http://www.grandexcelsior.com/it/index.php

■ビール工房 トロールTroll
Via Valle Grande, 15 -12019 Vernante
Tel: (+39)0171,920143
birratroll@yahoo.it
18:00-02:00 (月曜/水曜-土曜)
12:30-02:00 (日曜)
火曜休業
http://www.birratroll.it


本連載によせて著者からのメッセージ
北イタリアの山裾に位置するピエモンテ州は、いわゆるイタリア観光の王道路線とも言えるミラノ、ローマ、フィレンツェ、ヴェネツィアの主要幹線からは外れた場所に位置しています。しかし州都トリノではサヴォイア王家の王宮群が世界遺産に指定され、2006年に冬期オリンピックが開催された後は世界中から多くの観光客が集まるようになり、もはや知る人ぞ知る街ではなくなりつつあります。そのトリノ周辺には珠玉の小都市が数多く点在し、そこには重厚な歴史のある大都市とはひと味違う、素朴な魅力があります。この企画では、まだまだ知られざるピエモンテの小都市の魅力をお伝えしていきたいと思います。

今後、掲載予定の都市一覧(順不同)
◎オルタ・サン・ジュリオ ◎ リモーネ・ピエモンテ ◎クーネオ ◎カザーレ・モンフェッラート ◎モンドヴィ ◎サルッツォ ◎サウゼ・ドゥルシオ   

2013年2月
 西村清佳

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