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ピエモンテ小都市紀行 
15 Febbraio 2015

第9回  ブラ 
スローフード発祥の地 


  
文・写真/西村清佳 

今回ご紹介する街ブラはトリノから南へおよそ50kmほど、のんびり各駅停車の電車で南下して1時間の旅です。
前回ご紹介したアルバとは20kmも離れておらず、両方の街を訪れて美食のツアーを楽しむこともできるでしょう。今でこそ日本でもだいぶ定着したスローフードは、実はここブラが発祥の地として知られています。また2年に一度秋にチーズ祭りが開かれ、世界中から訪れるたくさんの美食家達と観光客で賑わいます。

●バロック建築に彩られる歴史的中心地区
ブラの街はピエモンテ州に多く見られるように、1700年代から1800年代にかけて広まったバロック建築が色濃く残っています。街歩きは駅前のローマ広場Piazza Romaから、カヴール通りVia Cavourに入りましょう。マルコーニ通りVia Marconiと直行した後の石畳の歩行者天国からが歴史的中心地区のスタートで、両脇にはブティックのウィンドーやテラス席を出したカフェが並んでいます。

トップ写真:@ ブラの街の遠景
写真下左:A石畳のカブール通り  写真下右:B地元の人でいっぱいのカフェ・コンヴェルソ


カブール通りはヴィットリオエマヌエーレ2世通りVia Vittorio Emanuele IIに突き当たり、左には由緒ある歴史的なカフェ、コンヴェルソConversoがあります。一方、右前方のメンディチタ通りVia Mendicitaを行くとスローフード協会の本部とレストランがあります。スローフードについては後ほど記述します。

メンディチタ通りを進んでガリバルディ通りCorso Garibaldiに突き当たると、右の広場に面して建っているのはサンタ・マリア・デリ・アンジェリ教会Chiesa di Santa Maria degli Angeliです。レンガの曲線的なバロックのファサードと、内部の楕円形の平面が特徴的です。一方、左前方に見えるのは、サンティッシマ・トリニタ教会Chiesa di SS Trinita'で、内部の漆喰装飾が見事です。(現在は一部修復工事中) 

写真下左:Cサンタ・マリア・デリ・アンジェリ教会   写真下右:Dサンティッシマ・トリニティ教会)


ガリバルディ通りを左に行くと、街の中心ともいうべきカドゥーティ・ペル・ラ・リベルタ広場Piazza Caduti per la Liberta'に出ます。ここに街の観光案内所と市役所もあります。

写真下左:Eサンタンドレア教会とサンティッシマ・トリニティ教会   写真下右:Fガリバルディ通りとサンタンドレア教会

広場に面して建っているのがサンタンドレア教会Chiesa di Sant’Andreaで、この街一番の見所です。 当時ローマで一世を風靡していた彫刻家であり建築家でもあるベルニーニBerniniが、サヴォイア家お抱えの建築家、グアリーノ・グアリーニGuarino Guariniの監督のもとで実現しました。 内部はローマのサン・ピエトロ大聖堂を思わせるような、荘厳なフレスコ画がそれは見事です。

写真下左:Gサンタンドレア教会と市役所     写真下右:H荘厳なサンタンドレア教会内部


広場から少し右に入ったところにあるパラッツォ・トラヴェルサPalazzo Traversaは、まるでチェスの駒のルークのような外観が特徴的な15世紀のゴシック建築で、中には考古学歴史美術館が入っています。 

 写真下:I考古学歴史美術館のあるパラッツォ・トラヴェルサ


広場に戻り、サンタンドレア教会の脇のバルバカーナ通りVia Barbacanaをまっすぐ進むと、丸みを帯びた女性的なバロック建築のサンタキアラ教会(1742-1748)が見えてきます。トリノ出身の建築家、ベルナルド・アントニオ・ヴィットーネBernardo Antonio Vittoneによる作品で、先述のグアリーノ・グアリーニやフィリッポ・ユヴァーラFilippo Juvarraと合わせ、ピエモンテ州の街を華々しく作り上げたバロック建築家の一人として知られています。

写真下左:J丸みを帯びたサンタ・キアラ教会  写真下右:Kサンタ・キアラ教会内部


■スローフードの生まれ故郷
イタリアに来たことがある人は気がついたかもしれませんが、世界中に店舗を出しているようなチェーン経営のファストフードのお店が、イタリアでは殆ど見かけることがありません。それは今でこそ日本でも知られるようになったスローフードが大きく関わってきています。 1980年代に、このファストフードに対抗する意味で、スローフードという食文化に対する社会運動とも言える考え方を最初に提唱したのが、ブラ出身のカルロ・ペトリーニ氏Carlo Petriniで、ブラにスローフード協会を創立しました。

写真下左:Lスローフード協会本部のあるメンディチタ通り   


スローフードとは食材の地産地消、伝統食材の保存と継承などを軸にした活動で、昨今の反グローバリゼーションの動きとも相まって、世界的に普及しつつあります。今では日本を始め世界に店舗を増やしつつあるイタリア食材店イータリーEatalyも、もともとはこのスローフードの考えに基づいてピエモンテ州からオープンしました。

写真下:MNトリノにあるイータリー本店

ブラ郊外のポレンツォPollenzoには食科学大学も開校し、スローフードの真髄を学ぶために世界中から学生が集まってきています。

■隔年で開かれるチーズ祭り
ブラの街のチーズ祭り「cheese」は、地元ピエモンテ州だけでなくイタリアの国中、イギリス、オランダ、スイス、ポーランドなどのヨーロッパ諸国、さらにはカナダやオーストラリアなど世界中のチーズが一堂に集まる大規模な国際見本市として知られています。1997年に第一回目が開かれ、その後隔年で開催されています。

お祭りの間は、街の中心が歩行者天国になって道路には屋台が並び、チーズはもちろんワインやサラミ、蜂蜜などの物産を売る店や、チーズを使ったニョッキやリゾットなどの料理を出す店で賑わいます。見本市会場では、ワインとチーズのワークショップや食材のラボラトリーなど、予約制の催し物も開催されます。

■スローフードなレストラン
街歩きを一休みしたら、街のお勧めレストランをご紹介します。 まず1軒目はスローフード協会本部の中にある、まさに協会お膝元のボッコンディヴィーノ Boccondivinoです。スローフード協会お墨付きというだけあって、地元の人もお勧めする有名店で、店はいつも外国から来た客で賑わっています。メニューは前菜からデザートに至るまでピエモンテ郷土料理をメインとし、ブラの名産でもあるサルシッチャ Salsiccia(牛肉の生ソーセージ )を味わうこともできます。

写真下左:Oオリジナル創作料理、ブラ・エッグ  写真下右:Pブラのサルシッチャを使った自家製タリオリーニのパスタ

次にご紹介するのはラ・ボッカ・ブォーナ La Bocca Buonaです。中庭に面した静かでモダンなこのお店では、地元の素材を使ったピエモンテの定番料理から、オリジナルの創作料理まで幅広く味わうことが出来ます。ここの厨房を任されているのはイタリア人ではなく日本人シェフの大橋さんで、オーナーの寄せる絶大な信頼に応え、郷土料理の伝統を守り忠実に再現しています。

■街の物産、サルシッチャ
酪農が盛んなピエモンテでは、どこの街に行っても美味しいチーズやサラミが食べられますが、特にこのブラの街の名産物と言えば、生の牛肉で作られたソーセージ「サルシッチャ 」です。これはもともと、宗教上の理由で豚肉を口にしない近郊に住むユダヤ人のために特別に作られたものだったのですが、豚肉ではないので生で食べられることや、豚に比べて脂肪分が少ないことなどから一般の人々にも知られるようになり、今ではピエモンテ中で食べられるようになりました。

前菜として生で食べたり、パスタやリゾットのソースに使ったり、メイン料理としてグリルして食べたり、トウモロコシ粉粥のポレンタと合わせたり、ワインで煮込んだり、バラエティーに富んだ料理を楽しむことができます。生肉を扱っているので保存や運搬が難しく、ピエモンテまで来ないと食べられない貴重なグルメの一品なのです。

写真下:Qバルバカーナ通り

まだまだ観光地化されていないブラの街は、こぢんまりとしていながらピエモンテの他の街とはまた一味違った趣のある街です。街ごとに少しずつ違う特徴のある見所や名産物を楽しみながら、こういった小都市の魅力を是非それぞれの視点で見つけてみてください。


ピエモンテ小都市紀行  著者プロフィール
西村清佳(にしむら さやか)

横浜出身、トリノ在住。東京芸術大学大学院修了。在学中、イタリア政府給費留学生としてジェノヴァ大学建築学部に渡伊。その研究結果の一部を 『イタリア文化事典』(丸善出版 2011年)へ執筆。現在はコーディネーターとして日本のメディアを通してイタリアの魅力を伝える一方、イタリアでは日本をテーマとするイベント企画にも携わっている。

ブラ Bra 関連データ

Dati
■標高 285m 面積 59,53km2 人口 30,224人(2012年)

■アクセス情報
電車はトリノ・ポルタ・ヌーオヴァTorino Porta NuovaからカルマニョーラCarmagnola乗り換えで1時間。
あるいはトリノ・ポルタ・スーザTorino Porta Susa から直行で1時間弱。 運行頻度は共に1時間に1本。
http://www.trenitalia.com/trenitalia21.html

■ブラ観光局
Ufficio Turismo e Manifestazioni
Piazza Caduti della Liberta 20 12042 Bra(CN)
Tel: (+39) 0172-430185
Fax: (+39) 0172-418601
Email:turismo@comune.bra.cn.it
http://www.turismoinbra.it
8:30?12:30/15:00?18:00(月-金)
9:00-12:00(土-日)

■考古学歴史美術館
Via Parpera 4. 12042 Bra (CN)
Tel : (+39)0172-423880
Fax : (+39)0172-44333
Email : traversa@comune.bra.cn.it

■スローフード協会本部
Via Mendicita Istruita 14, 12042 Bra (CN),
Tel : (+39) 0172-419611
Fax : (+39) 0172-421293
Email : info@slowfood.it
http://www.slowfood.it

■チーズ祭り事務局
2015年の開催期間は9/18-9/21。隔年で開催。
事務局はスローフード協会本部内
http://cheese.slowfood.it

■カフェ・コンヴェルソ Caffe Converso
Via Vittorio Emanuele II, 199 12042 Bra(CN)
Tel : (+39)0172-413626

■レストラン 
オステリア・デル・ボッコンディヴィーノ Osteria del Boccondivino
Via Mendicita Istruita14, 12042 Bra(CN)
Tel : (+39)0172-425674
Email : info@boccondivinoslow.it
http://www.boccondivinoslow.it/boccodivino/ita/osteria.asp
日、月休業
日曜は4-5月ランチのみ営業、10-12月は終日営業

オステリア・ラ・ボッカ・ブォーナ Osteria La Bocca Buona
Via Audisio 22, 12042 Bra(CN)
Tel : (+39)0172-426031
http://www.laboccabuona.it
水曜休業

レストラン・バッタリーノ Ristorante Battaglino
Piazza Roma 18, 12042 Bra(CN)
Tel : (+39)0172-412509
Email: info@ristorantebattaglino.it
日曜、月曜休業

オステリア・ムリヴェッキ Osteria Murivecchi
Via Piumati, 19 12042 Bra (CN)
Tel : (+39)0172-431008
http://www.ristorantebattaglino.it
月曜休業


本連載によせて著者からのメッセージ
北イタリアの山裾に位置するピエモンテ州は、いわゆるイタリア観光の王道路線とも言えるミラノ、ローマ、フィレンツェ、ヴェネツィアの主要幹線からは外れた場所に位置しています。しかし州都トリノではサヴォイア王家の王宮群が世界遺産に指定され、2006年に冬期オリンピックが開催された後は世界中から多くの観光客が集まるようになり、もはや知る人ぞ知る街ではなくなりつつあります。そのトリノ周辺には珠玉の小都市が数多く点在し、そこには重厚な歴史のある大都市とはひと味違う、素朴な魅力があります。この企画では、まだまだ知られざるピエモンテの小都市の魅力をお伝えしていきたいと思います。

今後、掲載予定の都市一覧(順不同)
◎オルタ・サン・ジュリオ ◎ リモーネ・ピエモンテ ◎クーネオ ◎カザーレ・モンフェッラート ◎モンドヴィ ◎サルッツォ ◎サウゼ・ドゥルシオ   

2013年2月
 西村清佳

ピエモンテ小都市紀行  
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