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緑満ち心に響くウンブリア
15 Settembre 2015

第8回 

イタリア中部地震概況とウンブリアの被害

  
文と写真  石井直子 
●イタリア中部地震の概況
8月24日未明に起こったイタリア中部地震では、9月1日現在293名の死者数が確認され、今も瓦礫の下からの救出作業が続いています。

写真トップ@野の花に彩られる夏の高原の美しさで知られるピアン・グランデとカステッルッチョ
画像下Aウンブリア州の地図に手を加え、イタリア中部地震の震源と被害が特に大きかった町、州境が分かりやすいようにしてみました。

最初かつ最大規模のマグニチュード6.0の地震が、ラッツィオ州リエーティ県の町、アックーモリ(Accumoli)を襲い、多くの住居や建物が倒壊したのですが、すでにその地震で、ウンブリアのノルチャやマルケなど、近辺の町には倒壊した建物が多くありました。このあとさらに、リエーティ県アマトリ―チェ(Amatrice)をマグニチュード4.44、ウンブリアのノルチャ(Norcia)をマグニチュード5.4、4.3の地震が襲い、打撃を受けていた建築物の多くがさらに崩れたために、震源となったラッツィオ、ウンブリアおよびマルケで大きな被害が出ました。

震源であるアックーモリ、アマトリーチェと並んで、被害と犠牲者が多いのは、隣州マルケ州の2村、アルクワータ(Arquata)、ペスカーラ・デル・トロント(Pescara del Tronto)で、この四つの市町村では、大半の建築物が崩壊し、2千人以上の人が自宅を失い、または危険のために戻ることができず、避難所で生活しています。そのため、イタリアの全国テレビニュースで取り上げられるのは、もっぱらこうした地域の被害と救出状況です。

写真上左Bノルチャ、聖ベネデットの像と聖ベネデット教会   写真上右Cノルチャの城壁と白雪を頂くシビッリーニ山脈

●ウンブリア州の被害
けれども、大きな地震の震源となり、今も余震が続くウンブリア州のノルチャも、過去の地震の経験から、耐震構造のある住宅や建築物を建てたために、倒壊した建築物が少なく、死者は発生しませんでした。しかし、家が居住不可能となったり、倒壊を恐れたりして、自宅に戻れず、避難所や親戚・友人の家に避難する人が数百人いて、近くの村、サン・ペッレグリーノでは大半の住宅が倒壊し、カステッルッチョやカッシャなど、ノルチャの近隣の町でも被害が大きいようです。また、マルケ州でも、ヴィッソ、マンドルラ、トレンティーノなど周辺地域でも、居住や使用が不可能となった建築物はあり、しばしば報道される村以外にも、被害が及んでいます。

●アッペンニーニ山脈の活断層が原因で地震発生
アッペンニーニ山脈はヨーロッパ側、アフリカ側からのプレートがぶつかり合い、隆起してできた山脈で、プレートの移動は今も続き、そのため、山脈沿いにいくつもの活断層ができていて、近年のエミリア地震やラクイラ地震、1997年にウンブリアとマルケを襲った地震も、このアッペンニーニ山脈の活断層が原因で発生しています。今回の地震は、ノルチャからアマトリーチェにかけて、シビッリーニ山脈に沿って、約10q地下に25-30qに伸びる活断層の動きによって起こったもので、この同じ活断層は、古代から大地震が起こり、また余震が長引くことが知られています。

写真上左Dカステッルッチョ・ディ・ノルチャ

当原稿執筆中の9月1日現在も、最初の震源となったラッツィオ、ウンブリアの市町村および近隣のマルケの町を震源とする余震が続いています。避暑や登山を好む人が多く、わたしも夫としばしば訪ねるシビッリーニ山脈は、最近登山禁止となりましたし、アマトリーチェはもちろん、ノルチャやカステッルッチョ、カッシャなども、しばらくは地震の被害を避けるため、また復旧作業に必要な通行を妨げないためにも、訪問を避けた方がいいかと思われます。ペルージャやトーディでは幸い、夫をはじめ、多くの人が揺れで目を覚ましたものの、今のところ被害は出ていないようです。アッシジの大聖堂も被害はありません。

●ノルチャとカステルッチョの町
ノルチャは、西洋の修道会制度の基盤を築いた聖ベネデットの生地であり、また伝統的に豚肉を加工したサラミ類がおいしいことで知られる町です。カステッルッチョ・ディ・ノルチャ(Castelluccio di Norcia)は、シビッリーニ山脈の高みに広がる広大な高原、ピアン・グランデ(Pian Grande)のただ中の小高い丘の上に建つ村です。カステッルッチョは、高原で栽培する上質でおいしいレンズマメの産地、そして、赤いヒナゲシや青いヤグルマギクなど、野の花に彩られる夏の高原の美しさで知られています(写真トップ)。

被災地では、今なお余震が続いています。一刻も早く余震がやみ、瓦礫の下などで救出を待つ人が早急に救い出され、再び地元の人が安心して生活できる日が戻ることを、祈っています。 (2016年9月1日記)

著者紹介
石井直子(Naoko Ishii)

イタリア、ペルージャ在住。日本語教師・通訳・フリーライター。
イタリアに暮らし始めて、今年で14年目になります。自然や登山を愛する夫や友人のおかげで、わたしも山歩きや巡礼が好きになり、よく自然の中を歩くようになりました。
ブログ:http://cuoreverde.exblog.jp/ サイト: http://www.kitsunenomado.com/
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