●聖フランチェスコが考案した「プレゼーベ」
現在ではクリスマスの時期には、イタリア中で飾られるプレゼーペですが、このプレゼーペはウンブリアやアッシジと特に深い関わりがあります。と言うのは、歴史上世界で初めてプレゼーペを考案したのは、アッシジの聖フランチェスコだからです。1223年のクリスマスに、本当の人や動物を用いて、聖フランチェスコが、キリスト生誕の場面を再現したのは、ラッツィオ州リエーティ県のグレッチョでした。
●サンタ・マリーア・デッリ・アンジェリ教会の「プレゼーベ展」
アッシジ郊外にあるサンタ・マリーア・デッリ・アンジェリ教会(Basilica di Santa Maria degli Angeli)では、毎年クリスマスの時期に世界のプレゼーペ展が催され、回廊を中心に世界各地の興味深いプレゼーペを見ることができるのですが、2014年のクリスマスには、こんなふうにグレッチョで世界初のプレゼーペを飾ろうという聖フランチェスコと修道士仲間の様子を描いた模型も、プレゼーペと共に回廊に並んでいました。
写真上左Dサンタ・マリーア・デッリ・アンジェリ教会 写真上右E同教会の回廊に並ぶプレゼーベ
サンタ・マリーア・デッリ・アンジェリ教会はアッシジ中心街から離れた郊外にあり、アッシジ鉄道駅から約1qの位置にあるため、駅から歩いて行くこともできますし、地方バスで、アッシジの中心街や鉄道駅、ペルージャから行くことも可能です。
●聖フランチェスコゆかりの「ポルツィウンコラ」
アッシジ中心街にある聖フランチェスコ大聖堂は、聖人の死後にローマ教皇によって築かれたのであって、実は、このサンタ・マリーア・デッリ・アンジェリ教会こそ、生前の聖フランチェスコが仲間たちと自らの手で建て、最も心にかけ、長く修道生活を送った小さな教会、「ポルツィウンコラ(Porziuncola)」を包み込むように建てられた教会であり、聖フランチェスコが亡くなったのもここなのです。
写真上F聖フランチェスコが長く修道生活を送った小さな教会「ポルツィウンコラ」
教会の聖壇近くにあるポルツィウンコラの実物は、現在撮影が禁止されているため、上の写真は、このポルツィウンコラをきわめて正確に再現し、その中に聖家族と聖フランチェスコを配置したプレゼーペを写したものです。
●世界の様々なプレゼーベを一堂に
教会では、世界のさまざまなプレゼーペを見ながら、回廊を歩いて回ることができます。下の写真はモザンビークのプレゼーペで、アフリカのプレゼーペにはこんなふうに、木を用いて細身の人物像が並んでいる場合が多くあります。
写真上Gモザンビークのプレゼーペ
フランスのプロヴァンス地方のプレゼーペには、赤屋根の石造りの建物やオリーブの木、キルギスのプレゼーペには移動式住居ユルトが見え、住宅や衣装、動物たちや作るのに用いる材料が、国や地方によってさまざまなのも、同じ場面を描きながら多種多様な文化を反映していて、とても興味深いです。
写真上左Hフランスのプロヴァンス地方のプレゼーペ 写真上右Iキルギスのプレゼーペ
サンタ・マリーア・デッリ・アンジェリ教会の世界のプレゼーペ展は、例年12月8日から1月6日まで開催されています。この時期にウンブリアを訪ねる方は、ぜひ足を運んでみてください。