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15 Maggio 2018

第1回  〜 香りの記憶 〜

吉田希世美




みなさま、こんにちは。『EnotecaWine(エノテカ・ワイン)』のオーナー・ソムリエ吉田希世美です。共同経営者で、やはりソムリエのSebastiano(セバスティアーノ)と、ミラノの中心地に小さなワイン・ショップを開いてから3年半。ふたりで厳選した小さな生産者のワインを集めて販売しています。最近は、それを求めて、だんだんとお客様が来て下さるようになりました。お店はドゥオーモやお城のすぐ近くにありますが、大通りから1本入った落ち着いた場所なので、静かで隠れ家のようなリラックス・スペースになっています。

2003年にソムリエになって以来15年、今日に至るまで毎日毎日ワインといっしょに生活しているのですが、まだまだいろいろと「学ぶこと」や「気づき」があることを実感しています。そんなことをこれからお伝えしていけたら、と思っています。

エノテカのオープン以来、ずっと続けている人気イベントのひとつに、毎月第2週目の土曜日開催「EnotecaWine, SaturdayWine!(ブラインド・ティスティング!)」があります。「なんの情報にも左右されず、目の前のグラスに入っているワインについておしゃべりして、気軽にワイン話を楽しもう」というシンプルな企画から生まれたこのイベント。参加費はフリーで予約の必要もないので、どなたでもお時間が合えば、3種類のワインを試飲することができます。

日本からの旅行者の方も、たまたまこの日に当たって参加されたことも。時間は11〜15時ですが、ワインがなくなったら終了です。イベント終了後、なにを飲んだのかフェースブック上で発表するので、みんなそれまでヤキモキ。

さて、ワインを試飲し始めると、それぞれなんのワインを飲んでいるのか、その謎を解くために、みんながさまざまな印象を語り出します。ソムリエも、そうでない人も、自分の経験の記憶のなかから細い糸をたぐりよせるようにして、このワインはなんの品種なのか、どこの産地なのか、若いのか古いのか・・・なんとか当てようと試行錯誤。会話がはずんで楽しんでいます。私はたまに間に入って舵取りしたりもしますが、初対面であっても、お客様同士でちゃんと会話が成り立つ、というところがワインのステキなところだな〜と思うのです。

聞いていると、子どものころに培った経験、育った環境というものがとてもよく影響しているのがよくわかります。成長してから加わった経験も当然たくさんありますが、子どものころによく嗅いでいたものは、いつ、どこで嗅いでも、すぐに「ピン!」ときますよね。友人のワイン生産者は、白ワインを嗅ぐやいなや「あ、これは子どものころ、ブドウ畑で親を手伝って枝をサーリチェ(柳)で結んでいるときの匂いだ。ドライなサーリチェのニオイがする!」。あるワイン・テイスターは「ピン!」と来過ぎて? 赤ワインの香りの表現のいちばんはじめが、いつも「チリエージャ(サクランボ)」でした。

ピエモンテ州の友人は、あるとき白ワインのグラスに鼻を近づけるなり、「毎回夏休みに、河に泳ぎに行っていたときの陽にじりじり焼けた石の匂いがする」と言いました。ほほ〜。しかし、私は夏は「河」、ではなく「海」派だったので、同じ夏の焼けた石でも、海はもっと干上がった海藻などでより生臭いかな・・・と想像するのでした。

私もじつは、すぐに「ピン!」と来る香りがあります。それは金木犀の香りです。アルトアディジェ州のアロマティックな品種の白ワインのグラスに鼻を近づけたとき、香りのなかに金木犀を見つけました。私は子供のころ、庭にあった大きな金木犀が大好きで、それが咲くと、いつも頭から花をどっさりかけて、お姫様気分を味わいながら夢心地で遊んでいました。山吹色の2ミリほどの小さな花ですが、カタチもかわいらしく、その魅力的な香りが庭中に漂っていました。イタリアでもときどき咲いていて、たまにどこからか金木犀が香ってくると、すぐに立ち止まり、まわりを見回すとマンションの中庭や壁の上から金木犀が覗いているのを発見するのでした。こちらではほぼ白なので、ギンモクセイなのでしょうか。

最後にもうひとつ、私が甘い「ペドロ・ヒメネス」というシェリーを試飲するときによく思いだす食べ物があります。それは、子どものころ白いご飯に乗せてよく食べていた「ごはん***」。つまり海苔の佃煮です。

みなさんも、ワインを飲むとき、目をつぶって香りに意識を集中させてみると、遠く忘れていた香りの記憶が蘇るかもしれませんよ。

(写真:ミラノのEntoecaWineで実施している「SaturdayWine!(ブラインド・テイスティング!)」に登場するマスクを被った3本のワインたち)

EnotecaWine エノテカワイン
住所:Via Giuseppe Brentano(番号なし)20121 Milano
最寄駅:メトロM1線Cairoli駅(ドゥオーモとお城の中間あたり)
Tel:02-36514771  
info@enotecawine.it
http://www.enotecawine.it/


著者プロフィール
吉田希世美(よしだ・きよみ) プロフィール
日本の雑誌社で女性誌編集者として10年間働き、ワインや料理、ファッションなどを手掛ける。その後イタリアに渡り、2003年A.I.S.(イタリア・ソムリエ協会)ソムリエ資格を取得、その後プロ・ソムリエに。星付きレストラン『Aimo e Nadia』などのレストランやエノテカで勤務。『Excelsior Enoteca Eat’s Milano』の店長を経て、2014年12月、ミラノで日本人初のエノテカのオーナー・ソムリエとして、同僚のソムリエ公式テイスターのSebastiano Baldinuとともに『EnotecaWine(エノテカ・ワイン)』をオープン。


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