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ローマとその周辺の庭園めぐり
15 Settembre 2016

第7回 
ヴィッラ・トルローニア

  
文・写真/阿部美寿穂 
ローマ市内にある近代イタリアの歴史を刻む代表的な庭園(ヴィッラ)と言えば、ノメンターナ街道沿いにあるヴィッラ・トルローニアVilla Torloniaを抜きに語ることは出来ません。19世紀のヴィッラは「ローマのパトロン(文学者・芸術家の保護)の最後の事業」とも呼ばれ、当時、飛ぶ鳥を落とす勢いであった銀行家ジョヴァンニ・トルローニアにより造られました。

トップ写真:@ノメンターナ街道に面したヴィッラ・トルローニアのメインエントランス。園内には写真中央の古代の神殿前門風の入口より入る。オベリスクは1842年にジョヴァンニ・トルローニアが息子アレッサンドロ・トルローニアより贈られたもの。
写真下左:A白亜の館「カジーノ・ノビレ」 内部は二つの美術館となっている。   写真下右:B豪華な内装に圧倒される「カジーノ・ノビレ」の「舞踏の間」

前回ご紹介したヴィッラ・チェリモンターナVilla Celimontana同様、ヴィッラ・トルローニアは現在は市の管轄となっており、緑多い市民公園として誰でも訪れることが出来ます。広い園内にはトルローニア家の邸宅、劇場、レモン栽培場(カフェ)、フクロウの家などの個性的な建物が点在し、その内の幾つかは市営美術館として一般公開されています。

写真下左:C園内には多くのヤシ科の植物が植栽され、南国風の開放的なムードを醸し出している。   写真下右:D夏には涼しく感じる薄紫色のアガパンサスが迎えてくれた。 

●貴族トルローニア家のユニークなヴィッラ
ヴィッラの歴史は、1797年に銀行家ジョヴァンニ・トルローニアが侯爵の爵位を与えられると同時に、このノメンターナ街道沿いに幾ばくかの農地を購入したことに始まります。1802年になると、ジョヴァンニは当時既に有名だった建築家ジュセッペ・ヴァラディエにヴィッラの設計を依頼します。ジョヴァンニ時代には、ヴァラディエはヴィッラの核となる、カジーノ・ノビレCasino Nobileなどの建築に携わりました。

写真下:Eアレッサンドロ・トルローニア時代に、ジョヴァン・バッティスタ・カレッティにより建てられた「カジーノ・デイ・プリンチーピ」。「カジーノ・ノビレ」とは地下道により結ばれている。

銀行家の彼はローマ貴族に金貸しを行っていたのですが、借り入れた人が期限までに借金の返済が出来ずに彼により没収された絵画・彫像などの美術品は、2年間で8000点以上にものぼったとされます。ビジネスとして成功した男でした。 しかしながら、ジョヴァンニの時代にはまだヴィッラは小規模なものであり、本格的な整備が始まったのはジョヴァンニの三男、アレッサンドロの代からです。ローマ貴族コロンナ家出身のテレザを妻に迎えたアレッサンドロは、ヴィッラを精力的に整備して行きます。アレッサンドロの時代(1832年-)に、現在敷地内で見られる多くの建物が建てられました。

写真下左:F涼しげな噴水。緑溢れる園内では芝生の上に寝そべってくつろぐ人々が沢山いる。    写真下右:G公園内にはツートンカラーのユーモラスなカラスも非常に多く見られる。大きな木の幹はローマのシンボルとも言えるイタリアカサマツ。傘を開いた様な樹形のマツは成長すると8階建ての建物程の大きさ(25メートル)にもなる。

時が流れ、第二次世界大戦が始まると宰相ムッソリーニが1925-1943年までカジーノ・ノビレの建物をファシズム政権の本拠地/司令部として使用していました。地下には爆撃に備える為のシェルターがあり、希望があれば見学することが出来ます。
(シェルターの詳細:http://www.bunkerdiroma.it/villatorlonia/english.html
また、カジーノ・ノビレではムッソリーニの娘が結婚式を挙げたことでも知られています。

写真下左:H巨大なマツの木。その大きさが分かりやすい様に木の前に立ってみる。  写真下右:Iこの写真の松ぼっくりは小さい方だが、大きいものは新生児の頭の大きさ程ある。頭に落ちて来たらかなり危ない。

大戦後はヴィッラは放棄された状態になっていましたが、70年代後半にローマ市が整備に着手し、やがて市民公園として一般開放されるようになりました。

写真下左:Jカフェ・レストランとなっているリモナイア(レモン栽培場)の建物。   写真下右:K1839年にジュセッペ・ヤペッリにより建てられた劇場。

●3つの建物内に2つの美術館、資料館に特別展会場など
ヴィッラ・トルローニアには、特筆すべきものとしては、「カジーノ・ノビレ」、「カジーナ・デッレ・チヴェッテ(フクロウの家)」、「カジーノ・デイ・プリンチピ」の3つの建物があります。
「カジーノ・ノビレ」の中には、「ヴィッラの美術館Villa Torlonia Museum」と 「ローマ派の美術館Museum of the Roman School」の2つの美術館が入っています。前者ではトルローニア家のアントニオ・カノヴァなどの作品のコレクションや、豪華な装飾が施された部屋の数々を楽しむことが出来ます。

写真下左:Lカジーナ・デッレ・チヴェッテ(フクロウの家)。内部のアール・ヌーヴォー調にまとめられたインテリアが素晴らしい。 写真下右Mシンボルの「フクロウ」をモチーフにしたデコレーションが至る所で見られる。

「カジーナ・デッレ・チヴェッテ(フクロウの家)」は、元々の原型は1840年頃にジュセッペ・ヤペッリのデザインによりスイスの山小屋風の建物として建てられたものです。アール・ヌーヴォー調にまとめられたインテリアが美しく、アンティークなステンドグラスなどが展示された美術館として公開されています。

「カジーノ・デイ・プリンチピ」は、内部は「ローマ派の資料館Archive of the Roman School」及び、特別展の展示会場として使用されています。

写真下左:Nたわわに実をつけるシュロ。  写真下右:O竹林に囲まれた“フチノの湖(Lago del Fucino)”。この小さな湖は、トルローニア家がかつてイタリア・アブルッツォ州ラクイラ県アヴェッツァーノにあったフチノの湖の干拓に携わったことを記念して敷地内に再現したもの。

今回は、ローマ中央駅・テルミニ駅からバスで約10分という近さながらも緑が多く自然を感じることが出来る「ヴィッラ・トルローニア」をご紹介しました。 この公園の最大の魅力は自然だけでなく、園内にある美術館等の施設を訪ねられることです。 もしローマ滞在時にオーソドックスな観光コースを周って疲れてしまったら、のんびりと過ごせる都会の緑のオアシス「ヴィッラ・トルローニア」を訪れてみて下さい。 園内には木々が生い茂り、点在する建物に入れば日陰で一息つくことも出来る為、真夏の観光も可能です。

写真下:P庭園内にはオベリスク、円柱、古代の彫像などが配置されている。緑いっぱいの公園は都会のオアシスであり、ジョギングをしたり、読書をしたりする人が多くいる。


著者紹介
阿部美寿穂(あべみずほ)

ローマ県公認観光通訳。ローマ大学卒。地球の歩き方ローマ特派員、公益財団法人日伊協会コラムニスト、たびねすイタリアガイド。植物の専門知識を活かしてイタリアの庭園等も専門的に案内しています。グリーンアドバイザー。

ヴィッラ・トルローニア Villa Torlonia 関連データ
Dati
■住所
Via Nomentana, 70 Roma, Italy

■オープン時間
公園部分
10月1日-3月31日  7:00-19:00
4月1日-9月30日  7:00-20:30

美術館の切符売り場
火-日曜日 9:00-19:00
12月24日、31日 9:00-14:00

* 各美術館の入場券を売る切符売り場は、ノメンターナ街道側の入口にある一ヶ所のみ。切符売り場は少し早めに閉まることもあるので時間に余裕を持って訪れたい。

■入園料
無料(公園部分)

有料(美術館)
* 現在、ヴィッラ・トルローニアでは下記の3種類の美術館が公開されています。

・Casino Nobile カジーノ・ノビレ
-Museo della Villa(Villa Torlonia Museum) (+ 特別展がある場合もあり。特別展の会場はCasino dei Principi)  -Museo della Scuola Romana(Museum of the Roman School)(Casino Nobileの最上階)
・Casina delle Civette (House of the Owl) カジーナ・デッレ・チヴェッテ(フクロウの家)
-Museo delle Vetrate Liberty(House of the Owls Museum) (+ 特別展がある場合もあり) 

* 切符の種類と料金はこちら
http://en.museivillatorlonia.it/informazioni_pratiche/biglietti_e_audioguide)をご覧下さい。                                                   

* 2014年10月5日より、ローマ在住者は毎月第一日曜日は市営の美術館、ギャラリー、博物館、遺跡、遺跡公園などの入場が無料となっています。
■休館日
(公園部分)
1月1日、12月25日。

(美術館)
毎週月曜日。1月1日、5月1日、12月25日。
(これらの美術館は修復等で予告なしに突然閉まることがあります)

■ヴィッラ・トルローニア ホームページ

ローマ市営博物館 (英語)
http://en.museivillatorlonia.it/

ローマ市文化遺産保護局 (イタリア語)
http://www.sovraintendenzaroma.it/i_luoghi/ville_e_parchi_storici/ville_dei_nobili/villa_torlonia

■行き方
ローマ中央駅・テルミニ駅からバス90番(急行)で約10-15分。ヴィッラ最寄りの停留所 「ノメンターナ/レジーナ・マルゲリータNomentana/Regina Margherita」で下車し、ヴィッラ入口まで徒歩600メートル。

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