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ローマとその周辺の庭園めぐり
15 Maggio 2015

第2回 
世界遺産 ヴィッラ・デエステの庭園

  
文・写真/阿部美寿穂 
ローマは5月に入り気温がぐんぐん上がり始め、一足お先に夏の様相を見せています。
当連載の第2回目は、今の季節から夏にかけての訪問が特にお奨めの世界遺産ヴィッラ・デエステ(Villa d'Este エステ家の別荘)をご紹介します。後期ルネッサンス期の庭園を持つエステ家の別荘は2001年に世界遺産に登録され、今日ではイタリアで最も美しい噴水庭園の一つとなっています。

トップ写真:@奥に見えるのは庭園の目玉の一つ、オルガンの噴水。演奏は10時30分から2時間おきに行われる。
写真下左:A眼下にはティヴォリの町の美しいパノラマが広がる。 写真下右:Bドラゴンの噴水。

●涼やかなしぶきを放つ、数百の噴水の競演!
ローマから北東に約31kmのティヴォリ(Tivoli)という町にあるヴィッラ・デエステは、ローマからバスで約50分と近く、日帰りでも行ける観光スポットです。
ティヴォリはヴィッラ・デエステとヴィッラ・アドリアーナ(Villa Adriana ハドリアヌス帝の別荘)の二つの世界遺産があることで有名ですが、ヴィッラ・アドリアーナが郊外に位置するのに対し、ヴィッラ・デエステはティヴォリの町の中心部にある為、アクセスも容易です。

ヴィッラ・デエステはエステ家の枢機卿イッポリート2世(1509-1572 父はアルフォンソ1世、母はルクレツィア・ボルジア)により整備されました。イッポリートはローマ教皇の座を手に入れようと北イタリアからローマにやってくるのですが、一度も選出されることはありませんでした。教皇の座を巡る争いに敗れたイッポリートは、教皇に選出されたユリウス3世から代わりに「ティヴォリの町の総督」という位を与えられます。
ところが、総督の住居として与えられたのは古びて大変勝手の悪いベネディクト派の修道院でした。 イッポリートは愕然とします。

写真下:CD庭園のシダと苔に覆われた「百の噴水の小道」。夏は涼やかな水しぶきが心地良い。

初めこそは意気消沈していたのですが、修道院をきれいに改装し直し別荘を素晴らしいものにして、「ここにて第二のローマの到来なり!」と世間にいわせてやろうという気持ちが彼の心の中でむくむくと湧き上がって来ました。これは復讐に似た感情といってもいいかもしれません。イッポリートには再度、皆の注目を集め、見返してやりたいという強い気持ちがあったのです。
その遺志を継ぎ、ヴィッラ・デステはイッポリートの息子の代になっても手が加えられ続け、500以上の噴水を持つ美しい噴水庭園となりました。

庭園は、当時の有名な植物学者、造園家、芸術家などを文字通り総動員して造っています。設計はヴァティカン市国の庭園などでも活躍した建築家ピーロ・リゴリオの主導で、まずは1565年頃に丘の斜面を均し、その後、町の端を流れるアニエーネ川に地下水道を通し別荘内に引き込む工事を行いました。 ルネサンスを代表する庭園芸術、ヴィッラ・デエステの自然と芸術との美しい融合例は、その後のヨーロッパの庭園建築にも大きな影響を与えました。

●飽きることのない趣向を凝らした噴水の数々
ヴィッラ・デエステの総面積は約4万5000u(ほぼ東京ドーム一個分)とそれ程大きくはないのですが、敷地内の至る所に散りばめられた趣向を凝らした噴水の数々が、もしかすると庭園をより大きく見せてくれるかもしれません。噴水の中には、ギリシャやローマの神話を題材としたものから、バロック美術の巨匠ベルニーニがデザインした噴水(ビッキェローネの噴水等)、水力を利用して演奏をするオルガンの噴水などがあり、形態も様々で飽きることがありません。

写真下左:E激しく噴き上げる水しぶきからマイナスイオン波が出ていそうなネプチューンの噴水。 写真下右:Fドラゴンの噴水。
写真上GHローマの噴水(ロメッタの噴水)。テヴェレ川をイメージした噴水にはローマのシンボルアニマル、雌オオカミ像が見える。

当時のヴィッラの訪問者を驚愕させたというオルガンの噴水は、高い位置に溜めた水をパイプの中を通して下部に落とすことによって出来た水と空気の圧力により、無人で甘いメロディーを奏でるオルガンです。

写真下:I演奏予定時間になると中央のテンピエット(小さな神殿形のもの)の中の扉が開き、オルガン演奏が始まります。 

土地の高低差を活かして造られた庭園をお庭の最も高い位置から見ると、バックにはティヴォリの美しい自然が広がり素晴らしい眺めを見せてくれます。1500年代の別荘建設当時には存在していなかったものといえば、後になって植えられ、今日では庭園内に生い茂る糸杉でしょうか。

写真下:JK眼下にはティヴォリの町の美しいパノラマが広がる。 

●フレスコ画で飾られた別荘内で夢見心地
このエステ家の別荘は庭園が有名ですが、敷地内の建物にあるお部屋は後期マニエリスム様式のフレスコ画で覆われており、見学は自由です。建物は高台にある為、窓からは素晴らしいパノラマが楽しめますので、是非覗いてみて下さい。

写真下左:L「噴水の間」はイッポリートが迎賓用に使用していた部屋。大きなお部屋は別荘内でもいち早くデコレーションが開始された。 写真下左:M「ノアの間」
写真上:N別荘内のお部屋からの眺め

今回は、ローマ近郊にありながらもアクセスが簡単な世界遺産、ヴィッラ・デステ(エステ家の別荘)の庭園をご紹介させていただきました。庭園内は噴水が多くある為、清涼感に溢れており、また木陰も多いので夏の訪問にはお奨めです。特に春から秋にかけては、ツゲなどを刈り込んで形作った緑一色の幾何学式庭園、イタリア式庭園の緑色がより美しくなる季節です。

夏の一日を緑豊かなヴィッラ・デエステで過ごしてみませんか?

著者紹介
阿部美寿穂(あべみずほ)

ローマ県公認観光通訳。ローマ大学卒。地球の歩き方ローマ特派員、公益財団法人日伊協会コラムニスト、たびねすイタリアガイド。植物の専門知識を活かしてイタリアの庭園等も専門的に案内しています。グリーンアドバイザー。

ヴィッラ・デエステ(エステ家の別荘)Villa d'Este 関連データ
Dati
■住所
Piazza Trento, 5 Tivoli, Italy

■オープン時間
1月    8:30-17:00 
2月    8:30-17:30
3月    8:30-18:15
4月    8:30-19:30
5-8月   8:30-19:45
9月    8:30-19:15
10月   8:30-18:30
11-12月 8:30-17:00
* 切符売り場は閉館の1時間前に閉まります。


■入場料
8ユーロ。
* イタリアは2014年7月1日より、毎月第一日曜日は国営の美術館、ギャラリー、博物館、遺跡、遺跡公園などの入場が無料となっています。

■休館日
毎週月曜日。1月1日、5月1日、12月25日。 * 大雨などによる天候の悪化に伴い突然休館する場合もあります。その場合は、公式ホームページの”NEWS”のページにてお知らせします。ご訪問の前にチェックしていただくと安心です。

■ヴィッラ・デエステ(エステ家の別荘)公式ホームページ
http://www.villadestetivoli.info/indexe.htm  (英語)
NEWSのページ(最新情報等をお知らせするページ)
http://www.villadestetivoli.info/newse.htm

■行き方
ローマの地下鉄B線のPonte Mammolo(ポンテ マンモーロ)駅から出ているCOTRAL社の青いプルマンで所要約50分。
月-土曜日は午前6時10分から約10分おきに1本ある。日・祝日でも1日64便運行。ヴィッラへは終点より一つ手前のLargo Nazioni Unite というバス停で降りる。
運転手にヴィッラ・デエステを訪れたいと伝えて停留所を教えてもらうと良い。

■その他
「チィヴェッタの噴水」は現在故障しております。




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