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ローマとその周辺の庭園めぐり
15 Luglio 2015

第3回 
ローマ大学付属植物園

  
文・写真/阿部美寿穂 
3000年の歴史を持つ町、ローマ。ローマはローマの歴史地区とヴァティカン市国が世界遺産に登録されていますが、中心部だけでも約一千もの美術館、遺跡や教会などの観光スポットがあります。古代ローマ時代の遺跡やモニュメントが溢れる町を真剣に観光をしていると、一日の終わりにはくたくたになってしまうことも少なくありません。

今回はローマ中心部にある、地元っ子にも人気の緑のオアシス、ローマ大学付属植物園をご紹介します。イタリアでも指折りの重要な植物園には日本庭園もあり、のんびりできる緑のスペースとなっています。美術館などのアカデミックな観光に疲れたら、緑いっぱいの都会のオアシスを是非訪れてみて下さい。

トップ写真:@ローマ大学付属植物園内の「トリトーネの噴水」。

●ローマの下町トラステヴェレ地区にある、緑が溢れる都会のオアシス
ローマ大学付属植物園は、アウレリアヌスの城壁(Mura Aureliane)というアウレリアヌス帝が271-275年にかけてローマの町を取り囲むようにして建てた周囲19kmの防御用の壁の内側にあります。

写真下左:A「ヤシの大通り」。濃い緑が溢れる園内には驚かされる。    写真下右:B:トリトーネの噴水。

「森のように緑溢れる場所」と聞くと、郊外や中心部から離れた場所にある公園を想像してしまいがちですが、12ヘクタール(東京ドーム約2.5個分)あるこの植物園は、アウレリアヌスの城壁の内側、すなわちローマの「市中心部」にあります。この城壁は今日でも立派にローマの町を取り囲んでいて、ローマではタクシー料金の定額料金制ルート(空港−市内線、あるいはその逆)において、出発地/到着地が壁の内側か外側にあるかが料金の基準ともなっている重要な城壁です。

中心部にあり気軽に立ち寄れる植物園は、国立ローマ大学の環境生物学部門が管理していることから、「ローマ大学付属植物園」と呼ばれています。イタリア語で植物園はOrto Botanico(オルト・ボタニコ)といい、この植物園は特にヤシと竹の多くのコレクションを持つことで知られています。

切符を購入して園内に入ると、一番最初に出迎えてくれるのはずらりと並ぶヤシの木が圧巻の「ヤシの大通り」(写真A)です。
植物園の入場口は方角的には東にありますが、西側一帯はセコイア、イチョウなどの裸子植物が植わる森となっており、原生林のような景観を造り出しています。色鮮やかなオキナインコや小鳥達がさえずりながら木から木へ飛び交い、ここがイタリアであることを忘れてしまいそうです。

写真下:Cハアザミの花が並ぶ森の中の散策路。

植物園を訪問した時期が5月下旬だった為、園内にはハアザミ(アカンサス)の花が満開(写真C)でした。ギザギザとした形の美しいハアザミの葉は、古代より建築物などの装飾のモチーフとして用いられています。特にローマでは、遺跡や建築物などに未だ円柱が多く残っていますので、ハアザミはコリント式の柱頭などで皆さんにも既にお馴染みかもしれません。

●興味深い、テーマ別のミニガーデン
園内の散策路の間には、ハーブガーデン、シダの谷、沼地の植物、視覚障害者用のガーデン、薬草園、バラ園などテーマ別に植物がコレクションされたミニガーデンがあります。

写真下:DEハーブガーデン。ハーブの多くが地中海原産の為、日本では栽培が難しい品種のものもここでは特別手を加えなくとも生き生きとしている。

例えば視覚障害者用のガーデン(写真F)では、嗅覚、触覚のみを使って植物を楽しめるように、サルビア・ガラニチカやカレープランツのように香りの強い植物や、シロタエギクのように葉や茎の表面に毛が生えて手触りを感じられるものなどを中心にコレクションしてあります。ハーブーデンや視覚障害者用のガーデンには特別香りの強い植物が植えられていますが、多くの種類の植物が植わる植物園全体には、木々の大変良い香りが漂っています。ただ芝生の上に寝転がったり、ベンチに腰掛けるだけでもリラックスでき、疲れが取れます。

写真下左:F視覚障害者用のガーデン。  写真下右:G薬草園。強心剤、皮膚病、胃腸炎などに使用される薬用植物を展示。写真はジキタリス・プルプレア。  

●高台にありパノラマも楽しめる日本庭園
ローマに二つある日本庭園のうち、一つがここローマ大学付属植物園にあります。(もう一ヶ所は日本文化会館 Istituto Giapponese di Culturaの日本庭園)。造園家中島健氏により設計された日本庭園は、緩やかな自然の傾斜を利用してお庭が造られています。

写真下右:H日本庭園(Il Giardino giapponese)入口。写真下左:I日本庭園は土地段差を利用して滝などが創られている。 
写真上右:J東屋に人懐っこいカモが一匹住んでいて、訪問者が来ると餌をねだる。  写真上左:K池には錦鯉がたくさん。 

その理由は、植物園はジャニコロの丘(ローマに七つある丘の一つで、町の西側に位置する)と接していて、日本庭園はその斜面部分に位置していることからです。よって、植物園の中でも最も高い位置にある日本庭園や「地中海の森」付近からは木々の間からローマ市街のパノラマも楽しめます。

写真下:L日本庭園と竹林周辺からのローマ市街のパノラマ。

日本庭園には東屋、小さな滝と2つの池があり、静かで落ち着いた雰囲気の為、とても人気があります。池を取り囲むようにモミジ、カエデ、ツバキなど日本原産もしくは日本庭園にゆかりのある植物が植えられています。

●見応えある、種類豊富な竹のコレクション
園内に数ある植物のコレクションのうち、大きな面積を占めているものの一つに、竹のコレクションがあります。竹林にはマダケ(真竹)、ヒメハチク(姫淡竹)など日本原産のものも含まれ、ヨーロッパでも有数の竹のコレクションを持つ植物園となっています。幾つかの竹林は竹林の中に小道が作られ歩き廻れるようになっており、ひんやりとした竹林の中を歩くと、爽やかですがすがしい香りがします。

写真下右:Mマダケの竹林。   写真下左:N今の時期、竹林の間には竹の子がにょきにょきと生えユーモラスな印象。

今回はローマ中心部にあり、アクセスが簡単な「ローマ大学付属植物園」をご紹介しました。植物園は自然の中でのんびりと過ごせる都会の緑のオアシスであり、精神的にも肉体的にも疲れてしまった時にお奨めのリラックススポットです。園内には木々が生い茂り、日陰部分も多くある為、嬉しいことに真夏の観光も可能です。 ローマ滞在時には、一日を緑豊かなローマ大学付属植物園で過ごしてみませんか?

著者紹介
阿部美寿穂(あべみずほ)

ローマ県公認観光通訳。ローマ大学卒。地球の歩き方ローマ特派員、公益財団法人日伊協会コラムニスト、たびねすイタリアガイド。植物の専門知識を活かしてイタリアの庭園等も専門的に案内しています。グリーンアドバイザー。

ローマ大学付属植物園Museo Orto Botanico - Sapienza Universita di Roma 関連データ
Dati
■住所
Largo Cristina di Svezia, 24 Roma, Italy

■オープン時間
毎週月-土曜日 9-18:30 (4-10月)、9-17:30(11-3月)。

■入場料
一人 8ユーロ。

■休館日
毎週日曜日及び祝祭日。

■ローマ大学付属植物園ホームページ(ローマ市観光局)
http://www.060608.it/en/cultura-e-svago/verde/giardini-ville-e-parchi-urbani/orto-botanico.html (英語)

■行き方
テルミニ駅から40番のバス(Borgo Sant'Angelo行き)に乗り、停留所Chiesa Nuova (Santa Maria in Vallicella 教会前)で下車し、Giuseppe Mazzini橋を渡る。徒歩約10分。または64番のバスに乗り、Corso Vittorio Emenuele IIの停留所(Tassoniや Acciaioli)で下車しても良い。バス停から徒歩10-15分程度。

■その他
植物園内には飲食ができるレストハウスはありません。必要であれば何か召し上がれるものをご持参下さい。
園内には、水飲み場、トイレが3ヶ所ずつあります。

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