郊外のサンクチュアリへは、公共交通機関を使っていく場合の行き方は二パターンありますが、218番のバスを利用する方法が一番簡単です。特筆すべきは、有名な聖地であることから年間を通じて多くの訪問者がある為、訪れるのが初めての方でもご心配はいりません。バスの所要時間は時間帯によっても違いますが、この路線を利用した場合、ローマのサン・ジョヴァンニから20分程です。行き方の詳細はこの記事の下部に記しますのでご覧下さい。
聖地の中には草原や林が一面広がります。特に今の時期は野生のヒナギク(デージー)やポピーが咲き乱れ、サンクチュアリ内はお花畑になっています。素晴らしい景色が楽しめます!
写真下:CDワイルドフラワーが咲き乱れるお花畑
●長い歴史のあるローマっ子の聖地
良く管理されたサンクチュアリの広大な敷地には草花が樹木が植栽され、その間に聖堂、洞窟、オーディトリアム、お食事処などが点在しています。自然の中に散らばる施設は1-31番(地図参照)まであり見所も沢山です。当然ながら見学料はかかりません。世界中から巡礼者が訪れる為、ホテル(地図上12番) もあり、泊まり掛けで滞在することも可能です。
イタリア語では、ディヴィーノ・アモーレの「ディヴィーノ(Divino)」は「神の」、「アモーレ (Amore)」は「愛」という意味です。聖地と名付けていられる様に、神の愛がギュッと詰まっています。
写真下左:写真E:野生のポピーで埋め尽くされている丘 写真F:水色のお花がかわいい野生のボリジ。
サンクチュアリの歴史は昔に遡ります。1740年、バチカン市国のサン・ピエトロ大聖堂に巡礼に向かっていた一人の巡礼者が、この付近の草むらで道に迷ってしまいます。すると、道端にたむろしていた腹を空かせた凶暴な野良犬達に襲われてしまいます。その時、ふと目に入った道端にあった塔に幼子イエス・キリストを抱く聖母マリア様の絵があることに気付き、マリア様に必死で命を助けてくれる様にお祈りをします。すると、すぐに野良犬達は何事もなかったかの様に立ち去ったのでした。そして、このマリア様の奇跡が世に広く知られることとなり、少しずつ巡礼者がこの塔のマリア様のイコンにお祈りをしにやって来る様になりました。
●新旧二つの教会
サンクチュアリには2つの教会がありますが、丘の上にある小さな古い方の教会(写真参照)は、この奇跡のすぐ後の1744年にこの塔にあった聖母マリア様の絵を迎え入れる目的で建てられました。幼子イエス・キリストを抱く聖母マリア様は14世紀に描かれたフレスコ画と分かっています。
写真下左:Gサンクチュアリの地図。 写真下右:H古い聖堂。地図上では1番の位置にある。
一方、1999年に建てられた新しい方の教会は、ローマの住民が第二次世界大戦中(1944年6月4日)にローマを戦火から守ってくれるようにマリア様に祈りを捧げたことに由来しています。見事に願いは届き、ローマを守ってくれたマリア様に感謝の気持ちを込めて2つ目の教会を捧げました。大きなモダンな聖堂です。
写真下:IJ新しい聖堂。地図上では7番。すぐ隣にはお食事も出来るバールがある。
●心が癒される絵葉書の様な風景
サンクチュアリ内には小川も流れ、遠くにはカステッリ・ロマーニ(ローマ南西の避暑地)の丘陵地帯が見えます。筆者が訪れた春の一日(2017年4月29日)は、野生のポピーが草原いっぱいに咲き乱れ、さながら絨毯の様でした。草花やハーブがお好きな方はびっくりされると思いますが、こちらでは野生のボリジ(ムラサキ科)やカレープラント(キク科)などが生えています。
写真下左:K預言者エリヤの洞窟前はカレープラントの放つカレーのスパイシーな香りが漂っていた。
写真下右:L新しい方の教会の近くに、ウサギの様な大きなふわふわの耳を持つかわいいロバがいた。
今回はローマっ子の聖地「ディヴィーノ・アモーレ」をご紹介しました。草原に寝転がって昼寝をする人や読書をする人も多く見られるサンクチュアリは、ローマ市内で自然の中でのんびりとしたい方にはお奨めのスポットです!
ローマでは毎週土曜日に、カペーナ門(Porta Capena)前からディヴィーノ・アモーレまで歩くイベント「巡礼ウォーキング」が開催されています。ウォーキングは、深夜0時にカペーナ門を出発し、夜通し歩いて早朝5時位にサンクチュアリに到着します。(列には救急車が同伴するので安心です)
「巡礼ウォーキング」は復活祭の次の土曜日から10月最終週の土曜日まで行われています。どなたでも参加が出来るので、ご興味のある方はどうぞ。
* カペーナ門は地下鉄B線 チルコ・マッシモ駅の国連(国際連合食糧農業機関 FAO - Food and Agriculture Organization )側の出口横にあります。