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ローマとその周辺の庭園めぐり
15 Maggio 2016

第6回 
ヴィッラ・チェリモンターナ  

  
文・写真/阿部美寿穂 
ローマには北から時計回りに、クイリナーレの丘、ヴィミナーレの丘、エスクイリーノの丘、チェリオの丘、アヴェンティーノの丘、パラティーノの丘、カンピドーリオの丘の七つの丘があります。今回は、コロッセオのほぼ南に位置するチェリオの丘の上に建つ、ヴィッラ・チェリモンターナVilla Celimontanaについてご紹介したいと思います。

ヴィッラは現在はローマ市の管轄となっており、緑多い市民公園として誰でも訪れることが出来ます。ここから徒歩10分のところに年間655万人(2015年)の入場者を数える一大観光スポット、コロッセオがありますが、コロッセオ前でお客さんを下車させた大型観光バスはヴィッラの入口前でお客さんの帰りを待つことが良くあります。よって、最近ではコロッセオ観光後にこの公園を訪れ、短い時間ながらも緑の中での散策をお客さんにお薦めしているツアーオペレーターも多くなっています。

トップ写真:@緑あふれる「ヴィッラ・チェリモンターナ」のたたずまい
写真下左:Aヴィッラ・チェリモンターナの入口    写真下右:Bパラッツオ・マッティ(内部はイタリア地理研究所) 

●庭園は美術史、植物学などの観点から学者達の研究対象
今では市民公園となったヴィッラ・チェリモンターナですが、その設立は1553年まで遡るローマでも大変歴史のあるヴィッラの一つで、特にその庭園は美術史、植物学などの観点から学者達の研究対象になっています。

写真Aはナヴィチェッラ通りVia della Navicella に面したヴィッラ・チェリモンターナの入口です。今日では入口は3ヶ所ありますが、建設当初に設けられたオリジナルな入口は、ヴィッラの北西側に建つサンティ・ジョヴァンニ・エ・パオロ聖堂広場前の入口でした。美しいカリアティードの装飾を持つ扉口(門)は、1931年にエスクイリーノ地区で土地区画整備が行われた際に取り壊される予定のメルラーナ通り(Via Merulana)にあった、ヴィッラ・ジュスティニアーニ・マッシモ Villa Gistiniani-Massimoより運ばれて来たものです。

一方、ヴィッラ・チェリモンターナの公園の入口を入って真っ直ぐ進むと突き当りにパラッツオ・マッティ Palazzo Matteiが見えます。現在、内部はイタリア地理研究所として使用されています。(写真B)

写真下:CDヴィッラ・チェリモンターナの敷地内

●チェリオの丘に建つ小さなヴィッラ
ヴィッラの歴史は、ローマ貴族であり美術品の収集家でもあったジャコモ・マッティが、1553年にこのチェリオの丘の上にブドウ畑と幾つかの建物を購入したことから始まります。当時も今も、ローマにはまだまだおびただしい数の価値ある遺構が地面の下に眠っており、目利きのコレクターにはとても魅力的な場所でした。しかし、この場所の本格的な整備を始めたのは、もう少し後の婿のチリアコの時代でした。チリアコは周辺の更なる土地の購入を進め、1580年代に入ると、核となる建物(パラッツオ・デル・ジャルディーノ)を中心に美しい庭園が形をとり始めます。

写真下左:E「オベリスクの広場」。オベリスクは古代のオリジナルのもの(先端部分のみ)。出所はおそらくイシスの神殿(カンポ・マルツィオもしくはカンピドーリオの丘のイシスの神殿)からと推測される。1582年に議員よりチリアコに贈られ、1817年にこの場所に立て直された。  写真下右:Fヒルガオの一種。イタリア国内では主に暖かいローマ以南に自生する。)

その後、その他の多くのヴィッラの運命と同様に、このヴィッラ・チェリモンターナも幾度となく所有者が変わります。そして、遂に第一次世界大戦後にヴィッラはイタリア政府のものとなります。何故なら、一番最後のオーナー男爵リチャ―ド・フォン・ホフマンが敵対国のドイツ出身であったからです。その後、1925年にローマ市に譲渡され、私達も入場できる市民公園として一般開放されるようになったのは1931年のことです。

写真下左:G公園内には、鮮やかなグリーンの羽を持つオキナインコが多く生息している。訪問時にはシュロの木にせっせと巣を作っていた。   写真下右:H芝生の上に広がるローマンカモミール。フルーティな甘いリンゴの香りを辺りに漂わせている。

●丘を利用した起伏ある庭園
ヴィッラ・チェリモンターナの庭園の特徴は、チェリオの丘の斜面を利用している為、緩やかな起伏があります。庭園の形もイレギュラーで迷いそうになりますが、園内はさほど広くはないので心配はいりません。緑が濃いので夏も涼しく、ジョキングなどを行う人も多い公園です。また、録音テープを流しているのかと思ってしまう程、園内では様々な種類の鳥のさえずりを聞くことが出来ます。

写真下左:I庭園内には彫像などが配置されている。 写真下右J写真中央(奥)のアーチは紀元前4世紀のセルウィウス城壁に開かれたチェリモンターナ門を10年に二人の執政官(Dolabella、Silano)が再建したもの。古代の遺跡が背景に見えるのはローマならでは。

このヴィッラの庭園は所々に彫像や古代の円柱などが配置され、まるで古代と現代がミックスしてしまったかのような不思議な空間を作り出しているのですが、内部だけではありません。チェリオの丘自体が、未だに古代の遺構が多く残り、容易に私達の視界に飛び込んでくるゾーンです。ヴィッラの敷地内から外に出ても現在ではないような不思議な感覚は残ります。 

写真下左:K「ヤシの大通り」にある噴水。園内にはたくさんの形の噴水が設置されている。  写真下右L噴水の周りでのんびり日光浴する亀達。

今回は、コロッセオ近くの緑豊かな庭園を持つ「ヴィッラ・チェリモンターナ」をご紹介しました。チェリオの丘は長さ約2km、幅400-500m程の細長い小さな丘ですが、ヴィッラ・チェリモンターナの周囲には多くの魅力的な見所(浴場や神殿などの古代の遺跡、大聖堂、教会など)がぎっしり詰まっています。お時間がありましたら、是非チェリオの丘まで足を伸ばしてみて下さい。

写真下左:M「ヤシの大通り」に植栽されているバイカウツギの一種。オレンジの花に良く似た素晴らしい香りがする。イタリアでは「天使の花」、「聖母マリアのジャスミン」などと呼ばれる。  写真下右:N:木陰で読書をしたり勉強をしたりする人、目を閉じてリラックスする人が多くいる。


著者紹介
阿部美寿穂(あべみずほ)

ローマ県公認観光通訳。ローマ大学卒。地球の歩き方ローマ特派員、公益財団法人日伊協会コラムニスト、たびねすイタリアガイド。植物の専門知識を活かしてイタリアの庭園等も専門的に案内しています。グリーンアドバイザー。

ヴィッラ・チェリモンターナ Villa Celimontana 関連データ
Dati
■住所
Via della Navicella, 12 Roma, Italy

■オープン時間
毎日。7時から日没まで。

■入園料
無料

■ヴィッラ・チェリモンターナ ホームページ
ローマ市によるヴィッラ・チェリモンターナの観光ガイド「歴史と植物」 (イタリア語/PDFダウンロード可)
https://www.comune.roma.it/PCR/resources/cms/documents/VillaCelimontana.pdf

ローマ市文化遺産保護局 (イタリア語)
http://www.sovraintendenzaroma.it/i_luoghi/ville_e_parchi_storici/ville_dei_nobili/villa_celimontana

ローマ市観光局 (英語)
http://www.060608.it/en/cultura-e-svago/verde/giardini-ville-e-parchi-urbani/villa-celimontana.html

■行き方
地下鉄B線コロッセオ駅(Colosseo)で下車し徒歩10分。またはA線サン・ジョヴァンニ駅(San Giovanni)から徒歩約15分。
バスなら81番、673番がヴィッラ入口前の停留所 ”ナヴィチェッラ/ヴィッラ・チェリモンターナ”(Navicella/Villa Celimontana)に停車。

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