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アスティへようこそ! Benvenuti ad Asti
15 luglio 2014

第6回  近郊編:丘を越えて行こう   


  高梨真江 



連なる丘ごとに景色も吹く風も、方言や料理まで異なると言われるアスティ周辺。今回は近郊編として、丘を越えて訪ねる3つの小さな町(モナーレ、カネッリ、ニッツァ・モンフェッラート)への旅を紹介したいと思います。

1. モナーレ  
●里山の酪農場で味わう、ヤギ乳チーズ

山岳部原産のヤギや牛から各種チーズなどを生産しているカシーナ・アリス Cascina Aris。その酪農場は、アスティを貫くように流れるタナロ川Tanaroの北側、手つかずの自然が多く残るバッソ・モンフェッラート Basso Monferratoの里山広がる、モナーレ Monaleにあります。
 

トップ写真:@カネッリ:こどもたちにも人気の小さな博物館「ラ・ヴィータ・コンタディーナ」
写真下左A干し草置場の下、かつての家畜小屋を改装し、チーズ加工をしている  
写真下右:B飼育・搾乳・チーズ加工・販売までを手掛ける酪農場(写真提供:Cascina Aris)


群れとなって草原を駆けまわる雌ヤギ、反り返るように大きく伸びた2本の角が特徴の雄ヤギ、季節によっては生後間もない子ヤギたちが、アヒル・牛・ロバ・豚・馬と共に暮らしています。フレッシュタイプの「トミーノ Tomino」をはじめ、栗の葉でくるんだ熟成チーズ「カスタニョーロ Castagnolo」など、近郊産のサラミ類やワインと一緒に試食できるのが、この酪農場訪問の醍醐味!季節の香りを感じながら、心地好い時間が過ごせるでしょう。    

写真下左C農場を案内してくれるのは、動物たちと兄弟のように遊びまわるマルタちゃん!  
写真下右Dリコッタチーズの制作風景 (写真提供:Cascina Aris)   


2. カネッリ  
●地下大聖堂で熟成される発泡性ワイン「スプマンテ」

一方、ランゲ Langheと呼ばれるアスティの南側に広がる丘陵地に近いカネッリ Canelliは、白ワイン用ぶどうの栽培が盛んな地域。1865年、カルロ・ガンチャ Carlo Ganciaにより、イタリア初の発泡性ワインが生まれたこの町の中心には、4つの大きなカンティーナ(ワイナリー)があり、それぞれの地下には、まるで巨大な迷路の様に広がる、壮大な貯蔵施設が存在します。

写真下左E通年で12-13度に保たれると言う地下のカンティーナ、上着の用意を忘れずに   
写真下右F各カンティーナで、見学の最後には試飲もできる


Le cattedrali sotterranee (地下大聖堂)と称されるこれらの施設は、アスティ周辺のランゲ・ロエロ・モンフェッラート地域に広がる「葡萄畑の景観」と共に、2014年6月「ピエモンテの葡萄畑の景観:ランゲ・ロエロ・モンフェッラート*」としてユネスコ世界遺産に登録されました。
*「Il paesaggio vitivinicolo del Piemonte: Langhe-Roero e Monferrato」

●発泡性ワイン「スプマンテ」ができるまで
「スプマンテ Spumante」と呼ばれる、発泡性ワインの生産を中心に行っている4つのカンティーナでは、その歴史から製造過程を知る、まるで地下探検のようなガイド付き見学ツアーを行っています。(※写真は、カンティーナ・コントラット Cantina Contratto見学の様子)

写真下左G熱心に質問が飛び交うことも。余裕を持って予定を組もう  
写真下右Hスプマンテ:ボトルを上下逆さまに保存し、少しずつ回転させながら澱(おり)を集める  

通常のワインと異なり、ボトルを上下逆さまのようにして保存しているのは、「メトド・クラッシコ」と呼ばれる、長時間を掛けてボトルの中で2次発酵を進める手法が行われているため。それぞれの工程で詳しい説明がありますが、事前に予習して行くと、より理解が深まるでしょう。

●中世の小道、ステルニア 散策
カンティーナ・コントラット Cantina Contratto
の向かいには観光案内所があり、敷地内にはワイン産業の歴史と発展などを紹介する「ミュザMUSA」、そしてひと昔前の農具や民具を展示した小さな博物館「ラ・ヴィータ・コンタディーナ La vita contadina」も。

写真下左I丘から眺めはバツグン!   写真下中J「アヌンツィアータ 教会」脇から始まる、中世の小道「ステルニア」  
写真下右Kオステリア・ドゥラ・ステルニアにて、郷土料理のひとつ、ピエモンテ牛のたたき「カルネ・クルーダ」  

谷間に広がるカネッリの町。観光案内所の向かいを入った先から始まる坂道は、近くを流れるベルボ(Belbo)川の石を敷いた中世の小道ステルニア Sternia。丘の上へとつづく散策が始まります。(※観光案内所などで配布されている地図には、「Via Villanova」と書かれていることも)。

15分ほど登ると、抜群の景色!丘の裏手に広がる草原は、毎年6月に開かれる中世の戦を再現したアッセディオ Assedioの会場となり、大砲が鳴り響くなか、槍などを手にした人々が「平和のための戦い」を繰り広げます。

写真下左L戦を終え、坂を凱旋(がいせん)する様子も見逃せない  


●一息つくなら・・
坂の途中にはオステリア・ドゥラ・ステルニア Osteria d’la Sternia、観光案内所近くには「気晴らし」を意味するオステリア・スカッチャペンシエリ Osteria Scacciapensieriと言った、地元の人も気軽に通う店が。いずれも郷土料理を軽めにアレンジしたメニューが中心、家族連れも多く、旅行者にも入りやすい雰囲気です。また、郷土菓子や焼き菓子も人気のパスティッチェリア・ボスカ Pasticceria Boscaでは、ガイドブックなども置いてあるので、休憩の合間手に取って見ては。

9月の週末にはワインのイベント、11月の第2日曜には白トリュフの祭りも開かれ、町は多くの観光客でにぎわいます。

3. ニッツァ・モンフェッラート
●赤ワイン:バルベーラとバーニャ・カウダの町

オリーブオイルの中でニンニクとアンチョビーを溶かし込んだ温かなソースに、季節の野菜をくぐらせて味わうバーニャ・カウダ Bagna Caudaは、長く厳しいピエモンテの冬を代表する郷土料理のひとつ。その主役となる野菜とも言えるのが、土をかぶせて白く柔らかく成長させた、ニッツァ特産のカルド・ゴッボ Cardo Gobbo。根元から、茎の部分を頂きます。

第5回で紹介したニッツァ駅前にあるカンティーナベルサーノ Bersano創業者の提唱により、1964年には「バーニャ・カウダ信仰会」も設立され、町を挙げて郷土の風習を受け継いでいます。毎年11月の第3日曜には「バーニャ・カウダ祭り」も開かれ、「みんなで食べれば、こわくない!」とばかりに、ニンニクの良い香りを漂わせながら、会場では大人数でテーブルを囲み楽しみます。

写真下左Mバーニャ・カウダに欠かせない野菜たち(中央:カルド・ゴッボ) (写真提供:Sig. Franco Bello)  
写真下右N趣味で始めたビールづくりが、いつの間にか本業になったと言う  


●ワインの町の、小さなクラフトビール工場
地域を代表する赤ワイン:バルベーラ(Barbera)の産地としても知られるニッツァ・モンフェッラートですが、町の中心には「クラフトビール Birra Altigianale」の生産に取り組む、小さなビール工場ヌォーヴォ・ビッリフィーチョ・ニチェーゼNuovo Birrificio Niceseがあります。なかでも特徴的なのは、カルド・ゴッボを加え、ホップの苦みを丸く包み込むような味わいを持つ「DAFNE」。様々な色や香り、風味を帯びたクラフトビールを、ワインのように、前菜から肉や魚料理、チーズなどと合わせて楽しんでほしい、そんな願いを込めて作っているそう。

●ファリナータも美味しいと評判の町
お隣リグーリア州との交易街道にあるこの町は、エジプト豆を挽いて作る「ファリナータ Farinata」も評判の町。その粉をお土産用にも用意している「リストランティーノ・タンティ Ristorantino Tanti」や、映画館を改装したレストラン、テルツォ・テンポ ? オステリア・モデルナ Terzo Tempo ? Osteria modernaは、郷土料理と地元中心のワインを楽しみにやって来る人でにぎわいます。

写真下左O赤ちゃん用のスタイ、テーブルクロスなど、種類豊富な手刺繍(しゅう)作品
写真下右Pランゲ地方でヤギを飼育する、酪農家の店  


●第3日曜には、アンティーク市や生産者直売市も 毎月第3日曜にはガリバルディ広場 Piazza Garibaldiを埋め尽くすアンティーク市が開かれ、その周辺からVia Carlo Albertoにかけては、生産者による直売市「Mercatino del produttori agricoli」が軒を連ね、季節や土地柄を感じさせるデザインが素敵な手刺繍(ししゅう)の店なども並びます。

毎年5月には赤ワイン:バルベーラの祭りNIZZA e’Barbera、6月には地域対抗のワイン樽転がし祭り Corsa delle Botti、12月にはピエモンテ肥育牛の品評会 Fiera del Bue Grasso e del Manzoなども行われます。

写真下左Q全力で樽を転がし、勝利をめざす地域の有志たち (写真提供:Sig. Constantin Pletosu)   
写真下右R 「バーニャ・カウダ」祭り会場にて。ソースを注ぎ足してまわる、ボランティア・スタッフ  

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「Benvenuti ad Asti ! アスティへようこそ」連載に寄せて


10年前にひと目ぼれしたアスティの町に移り住んで、早2年。この町、そして周辺地域には、「その良さを発見する様々な楽しみ」があり、大好きだったテレビ番組のように、毎日が探検・発見の連続です。



「アスティへようこそ!」−日本・イタリア、両国旗をあしらったこのイラストは、アスティ周辺地域を紹介する私の活動に賛同してくださった、建築家:アントニオ・グアレーネさん Arch. Antonio Guareneが贈ってくださった大切なデザイン。取材を通して、土地の人々とさらに深く知り合うこととなりました。日本からも多くの方がこの地域を訪れてくれることを願って、現在は土地の人と共に「食やワインと自然散策を楽しむ」プランを計画、この秋からお迎えできるように準備しているところです!

アスティへようこそ!   著者プロフィール
高梨真江(Takanashi Masae)

個人旅行手配業を経て、2004年初渡伊。アスティ近郊の Costigliole d'Asti (コスティリオーレ・ド・アスティ) でひと夏を過ごし、ぶどう栽培・ワイン醸造「土地に根差して世界とつながる人々の暮らし」に、ひと目ぼれ。この地をもっと日本に紹介し案内したい夢を抱き、その後介護や通勤の合間を利用してイタリア語を独学。現在はアスティにて「地域振興を目的とした観光の講座」を受講し、その修了論文を書きながら畑を訪ね、土地の人にインタビューを重ねるなど「おもしろ地図」を広げる毎日。ある日突然「ひと目ぼれしました、よろしくお願いします!」とやって来た私を優しく受け入れてくれた地域の人々に感謝しながら、ピエモンテ弁交じりの冗談に笑い転げる今日この頃。 個人ブログ「Asti大好きーぶどうと共にある暮らし」 http://lavitaasti.exblog.jp/

データ

Dati

情報は、2014年6月現在。アスティへのアクセス、観光局(同局ホームページには、アスティや周辺地域のイベント情報満載)、タクシー情報については、このページ最後の「小都市を訪ねる旅 アルキーヴィオへ」から、連載第1回のデータ欄を参照ください。

1. モナーレ Monale
交通アクセス

路線バスは便数が少ないため、アスティからタクシーを利用することをおススメします。約30分。

カシーナ・アリス Cascina Aris
Localita’ Cascina Aris, Via Aris 5, Monale (0141 669 736)、 info@sansalvatorecoop.com
要予約、ひとり20ユーロ。  ※製品は、アスティ駅に近い広場 Piazza Campo del Palioに隣接する直営店でも購入できます。

アグリスペーザ・トレチェントセッサンタ・グラーディ Agrospesa 360°
Piazza Campo del Palio, 8/A−Asti (335 6909 409)、火−土曜9-13、16-19:30、月曜午後のみ19時まで、日・祝日は午前のみ9:30から営業、不定休。

2. カネッリ Canelli
交通アクセス

<路線バス>
ジェローゾバスGeloso Bus社(0141 823 213、月−金曜8−12、14−18。土曜は午前のみ) アスティ駅を出て、2本目の通りを右に入った左側にあるバスターミナル内発着(エスカレーター脇に時刻表と発着ゲート番号の掲示がありますが、事前に電話で確認を。)
「Canelli」または「Cortemilia(コルテミリア)」行で約1時間、「Canelli」終点下車(下車時、運転手さんに帰路のバス停や時刻表を確認するとよいでしょう。)乗車券車内払い。日曜・祝日・夏季運休有。時刻表閲覧:http://www.gelosobus.it 「Orali linee」内、「Cortemilia Canelli Asti」時刻表参照。
※ カネッリのタクシーサービス:ボレッロさん (0141 823 630)。

カネッリ観光案内所IAT (Informazione ed Accoglienza Turistica) 
および、ミュザMUSA (Museo Multimediale del Sud Astigiano)
Via G.B. Giuliani, 29 (0141 820 280)、10-13、15-18、月・土曜の午後と日曜休館
同敷地内にある農具・民具の小さな博物館「ラ・ヴィータ・コンタディーナ (La vita contadina)」は、予約制。フランチェスコ・マッツィーニ さん (0141 824 151)

カンティーナ・コントラット Cantina Contratto
Via G.B. Giuliani, 56 (0141 823 349)  visite@contratto.it 
10:30-12:30、15-17:30、1月1日、8月15日、12月25・26日休み。
見学は2名以上から、1週間以上前までに要予約。約90分(試飲含む)、ひとり25ユーロ、または好みの製品6本以上を購入。複数のグループと合同見学の場合あり。また、予約無しや1名で訪れた場合、他のグループに加わることが出来る場合もありますが、通訳ガイドの言語選択は不可。

カンティーナ・コッポ Cantina Coppo
Via Alba, 68 (0141 823 146)  info@coppo.it
10:30-12:30、15-17:30(入館は16時まで)、1月1日、8月15日、12月25・26日、および不定休あり。見学は1名から、要予約。約90分(試飲含む)、ひとり15ユーロ。

※通常は団体見学のみのボスカ Cantina Bosca、ガンチャ Cantina Ganciaを含む4つのカンティーナでは、季節限定で日曜のみ個人見学も受け入れています(各カンティーナ輪番制)。見学カレンダー、および、各カンティーナの連絡先については、カネッリ役場 http://www.comune.canelli.at.it/ 内、「Cattedrali sotterranee」のページから。詳細・予約は、各カンティーナに直接連絡を。

中世の戦を再現: アッセディオ Assedio di Canelli Anno 1613
通常6月の第3土・日曜開催、他の週末に開催される場合も。
※各種イベント情報は、アスティの観光局(第1回のデータ欄参照)、または、上記のカネッリ役場ホームページから。

オステリア・ドゥラ・ステルニア Osteria d’la Sternia
Via Villanuova, 4/6 (0141 824 963)、10−14、19::30-午前1時、木曜休

オステリア・スカッチャペンシエリ Osteria Scassiapensieri
Via G.B. Giuliani, 10/14 (0141 823 532)、12−15、19−24。週末やイベント時は予約を勧める。
1月1日、パスクエッタ(イースターの翌日の月曜日)、8月15日、10−4月の月曜休。

パスティッチェリア・ボスカ Pasticceria Bosca
Piazza Aosta, 3 (0141 823 329)
火−日7:.30−13、16−19:30、月曜休み.

3.ニッツァ・モンフェッラート Nizza Monferrato
交通アクセス

<電車>
イタリア国鉄「FS-TRENITALIA」のサイトで、時刻表が検索できます。 www.trenitalia.com アスティから、約30分(2014年6月現在、日・祝日運休)。
※2014年8月、アスティとニッツァ・モンフェッラート間(終点:アクイテルメ Acqui Terme)を結ぶ列車は、代行バスで運行予定。乗り場などの情報は、乗車券購入時に駅窓口で確認を。 ※ニッツァでは、駅構内のバールでも切符が購入できます。

観光案内所Ufficio informazioni turistiche Piazza Garibaldi, 80 (0141 72 75 16)
火−金:10-13、土・日・祝日は15-18も開館、月曜休み。
※「バーニャ・カウダ祭り」は、上記案内所まで要予約。各種イベント情報は、アスティの観光局(第1回のデータ欄参照)、または、ニッツァ・モンフェッラート役場ホームページ http://www.comune.nizza.at.it/  「Turismoe Manifestazioni」から

ビール工場「ヌオヴォ・ビリフィッチョ・ニチェーゼ Nuovo Birrificio Nicese」
Via Francesco Cirio 41、(0141 098 036)
見学または購入希望の場合、要事前連絡。月-金8:30−18、 info@nuovobirrificio.com

リストランティーノ・タンティ Ristorantino Tanti (店名は、タン「ティ」にアクセント)
Via Pio Corsi, 18、(0141 727 338)
月-金:19-22、土・日12-14、18:30-22

テルツォ・テンポ −オステリア・モデルナTerzo Tempo ? Osteria moderna
Piazza Garibaldi, 53 (347 4558 270)、月・火: 19 -24、木-日: 12 -15、19 -24

※カネッリとニッツァ・モンフェッラートにある「ピエモンテ州立エノテカ(ワイン展示館) Enoteche Regionali」については、ピエモンテ州政府公式ページ「ワイン Vino」のページで詳しく紹介しています。 http://www.japanitalytravel.com/banner/piemonte/vino.html

※アスティへのアクセスなど一般情報は、第一回のデータ部分をご参照ください。



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