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5 April 2001
12.キャンティからの便り その2
大澤 祐子
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仕事の合い間のホッとするひととき |

早いもので、キャンティChianti(トスカーナ州Toscanaフィレンツェ郡Firenze)のレストランでの8ヶ月は文字どおりあっという間に過ぎました。はじめて担当したプリミPrimi(パスタ料理など)は、だんだんと鍋を振るう手つきがさまになり、しかしその一方で焦がした鍋は数知れず。同僚たちとのチームワークも、小さないざこざを重ねながら良くなっていきました。
キャンティという素晴らしいロケーションでの夢のようなスタートは、正直言って、シーズン営業のレストランのハードワークという現実を知って、甘い期待を裏切られた部分もありました。でも、このパンツァーノPanzanoという小さな村での生活の中で、別の意味で私の探していたものに出会うことができました。
レストランで借りてくれていたアパートの庭続きの隣人は、生まれも育ちもこの村というレナートとアドリアーナの老夫婦。働いていた工場を数年前に定年退職したレナートは、自家用の葡萄やオリーブの畑仕事に明け暮れ、アドリアーナは毎日のように遊びに来る孫達の世話に追われています。そんな彼らと庭で交わすちょっとした会話は、レストランでの長時間にわたる仕事の合い間のホッとするひとときでした。それが、庭の花の生育についてであったり、村での出来事であったり、ほんのたわいのないものであっても。そんなある日彼らが夕食に呼んでくれました。
特別な食事ではなく、ふだんの夕食にお邪魔したのです。畑から取ってきたトマトや野菜を使った、いたってシンプルなパッパ・アル・ポモドーロPappa al pomodoro(トマト入りパンのスープ)、自家製のオリーブオイルをたっぷり使って焼いた目玉焼き、厚切りにした地元のプロシュートProsciuto(生ハム)。なんてシンプルで、なんておいしい食事。これこそ本来のイタリア家庭料理!素材の味を十分に生かしたシンプルな食事のなかに、イタリアの大地の滋味がギュッと詰まった、そんな夕食だったのです。
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著者プロフィール
大澤 祐子(おおさわ ゆうこ) 小田原出身。食品製造会社に勤務。98年7月よりイタリアに渡る。語学学校、料理学校を経て、グッビオGubbio,キャンティChiantiのレストランで料理修行を積む。
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