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読み物・エッセイ  イタリア 音楽の旅
 
15 aprile 2005

第26回 プッチーニの愛したティロルの劇場 メラーノ

メラーノ - アルト・アディジェ州

Merano − Alto Adige



牧野 宣彦





オーストリアとイタリアの国境に近い南ティロルに宝石の様に美しい保養地があるが、それがメラーノMeranoだ。ここに行くにはボルツァーノBolzanoから支線に乗り替え約30分汽車に乗る。
メラーノが歴史的文献に記載されるのは3世紀頃、その後9世紀の中世の時代の書物にこの街は「Meirania」という名前で再び登場する。12世紀になるとヴェノスタ伯爵が支配するようになり、ティローロ城(Castello Tirolo)を建設し、その名が州の名前ティロル州になった。メラーノはその後ハプスブルク家の支配下に入り、15、16世紀に起こった洪水、山崩れ、農民戦争などで一時衰退したが、ナポレオン戦争の頃は、バイエルンの傘下に入っていた。ナポレオンが失脚した1814年から1918年まではオーストリア政府が支配し、多額の投資が行われ、温泉で有名な国際的な保養地になった。第一次大戦でハプススブルク帝国は崩壊し、1918年以降はイタリア政府がそれを継承した。
美しい緑に囲まれ、谷あいに位置するメラーノは街の中心をアディジェ川Adigeの支流のパッシリオ川Passirioの清流が流れている。古い教会と街の至る所に咲いている花などの織りなす景観は美しく、イタリアでありながらオーストリアのリゾート地の雰囲気のする街であり、言葉もイタリア語、ドイツ語両方が使われている。チェコの作家、フランツ・カフカ、オーストリアの作家シュニッツラー、作曲家のバルトーク、オペレッタ作曲家のフランツ・レハールなども訪れた文化的な街である。

●テアトロ・ジャコモ・プッチーニ Teatro Giacomo Puccini
ティロル地方には劇場を愛する長い伝統があり、15世紀頃から公演は祭で行われていた。19世紀後半にメラーノでは新しい劇場を建設する機運が生れた。その後現代的で、規定以上の美しい劇場の建設が望まれた。そして若い無名のドイツ人の建築家マルティン・デュルファアMartin Duerferがこの劇場を建設した。仕事を始めてから一年後に完成し、1900年12月1日に開場した。 劇場の正面は優雅な大理石で造られ、内部は大理石、金やクリスタルグラス、赤いビロードなどをふんだんに使って装飾され、ミュンヘンのアール・ヌーヴォの様式で造られている。この劇場は19世紀末の最も豪華な建築と言われている。 劇場が開場した頃は主にオペレッタの上演が多く行われた。その後ファシストが占領した時代もあったが、1937年より劇場の名前はジャコモ・プッチーニ劇場Teatro Giacomo Pucciniと呼ばれるようになった。というのはプッチーニは亡くなる一年前の1923年にメラーノを訪れ、それに因んで名づけられたわけだ。1970年には改修が行われ、最初のオリジナルな形に修復された。 現在は8月末から9月にかけて行われるメラーノ国際音楽祭の会場のひとつになっている。

♪♪チケット Biglietti♪♪
Teatro Giacomo Puccini
Piazza Teatro 2 - in Centro
Tel:0473 23 34 22
E-mail:info@meraninfo.it
http://www.meraninfo.it


☆メラーノ国際音楽フェスティバル☆
Merano Musicwochen International Music Festival
メラーノでは毎年8月25日頃から約1ヶ月メラーノ国際音楽祭が開催される。ヨーロッパでも有数といわれるこの音楽祭が始まったのは1986年、温泉の街としてメラーノが開発された150周年を記念して始まった。演奏されるのはオーケストラ、室内楽などのコンサートでクールザール、ティロル城、プッチーニ劇場などで開催される。今年参加するオーケストラには、ロイヤル・フィルハーモニー・オーケストラ・ロンドン、ブルックナー・オーケストラ・リンツ、ロシア・ナショナル・オーケストラ、デンマーク・ナショナル・オーケストラなどの一流オーケストラがあり、クラシック音楽の愛好家が興味をそそられるプログラムになっている。詳細はWebを参照。

♪♪チケット Biglietti♪♪
Spett.le Associazione
Settimane Musicali Meranese
Corso Liberta 45 1-39012 Merano
Tel:0473 212370 Fax:0473 239043
E-mail:meranofestivalo.com
http://www.meranofestival.com

写真下左:プッチーニ劇場外観、右:劇場内部

●ドゥオーモ Duomo
14世紀から15世紀にかけて聖ニコラウスを祭る為にゴシック様式で建てられた教会で、街の守護聖人聖ニコラスに捧げられた。前面には狭間のある切り妻を持った美しいファサードがある。80メートル以上ある力強いドイツ風の塔が聳える。内部には「聖クリストフォロス」を描いた巨大なフレスコ画があり、その他14、15世紀に描かれたフレスコ画が見られる。他にリブのある美しいゴシック様式のボールトで覆われ、ここに彫刻を施された2つの15世紀に製作された多翼祭壇画(ポリプティック)が保存されている。

●リベルタ大通り Corso Liberta
メラーノの中心の通りで、鉄道の駅からレーナ広場Piazza Renaまで続いている。この通りには、街の代表的な建築で、文化的催事などが行われるパビリオンPavillon des Fleursや、1914年に建設された療養サロンで、カジノなどが行われるクールザールKursaalなどの主要な建物が並んでいる。

●時代を通してみる女性と服飾の博物館
Museo dell’abito e della donna attraverso il tempo
ティロル地方の1870年代から1970年ごろまでの民族的な衣装、婦人服、アクセサリー、ヘアピン、ボタンなどが展示されている。ハプスブルク帝国時代の優雅な衣装を見る事ができる。

●バッシリオ河畔散歩道 Passegiata Lungo Passirio
メラーノの街は中央にパッシリオ川が流れ、その右の川沿いに沿って散歩道が広がっている。この道をテアトロ橋から下流に歩くとリド・ディ・メラーノLido di Meranoに着く。夏は樹木の茂った涼しげな小道が続く。

●エスターテ散歩道 Passeggiata d’Estate
パッシリオ川左岸の散歩道で、1483年に建設されたサン・スピリト教会のあるポスタ橋から続き、パッシリオ橋までつづく。ポスタ橋の近くに公園があり、ここにドイツ人の彫刻家へルマン・クローツHerman Klotzによって1903年に製作されたオーストリア皇妃エリザベートの優雅な坐像がある。

●タッぺイナー散歩道 Passeggiata Tappeiner
ガリレイ通りから始まり4キロも蛇行しながら続く。緑の葡萄園、雪をかぶったアルプスの山々など素晴らしいパノラマが楽しめる。

●ティローロ城 Castel Tirolo
メラーノの郊外にあるティローロ城は標高647メートルにあり、岩山の上に建っている。12世紀に建設が始まり、1363年にハプスブルク家の所有になった。以前はここに県立考古学博物館があったが、ボルツァーノに移転した。美しいロマネスク様式の礼拝堂があり、ゴシック様式初期のフレスコ画などもある。

●トラウトマンズドルフ城 Castello Trautmannsdorf
1850年ごろトラウトマンズドルフ伯爵が古い中世の建物を修復し、その後ハプスブルク家の手に渡った。19世紀エリザベート皇妃は生涯に4度メラーノを訪れたが、そのうちの3回はこの城に泊っている。現在内部はティロル地方200年の歴史を展示する博物館になっている。エリザベートの使用した食器、彼女の肖像画が飾られたバスルームなどがある。また広大な庭があり、世界各地から集めた植物園になっている。

写真下左:クールザール、右:エリザベートの坐像


◆メラーノの歴史的場所
メラーノはイタリアでも珍しい歴史的レストランとホテルがあり、この街を訪れたら是非訪問することをお薦めします。

◇Ristorante Museumstube Bani Egarto Onkel Taa
Via Stazione Toell 17 Toell Parcines
Tel:0473 967342 Fax:0473 967771
イタリアで一番ユニークなレストランは何処ですか?と問われたら間違いなく私は、バーニ・エガルト・オンケル・ターと答えるであろう。メラーノから5キロ位郊外にあるこのレストランは、1430年に創業された。JITRAのサイトで紹介された世界で最も古い湿ったミイラ、アイスマンが発見されたのもこのレストランの近くで、レストランの庭にはそのミイラのコピーが展示されている。またここではイタリア一のかたつむり料理が食べられる。
内部の奥の部屋にはハプスブルク家の人たち、エリザベート皇妃、フランツ・ヨーゼフ皇帝、皇太子ルドルフなどの肖像画を集めたギャラリーがあり、壁一面に絵画が展示されている。アルプスの雪溶け水を利用して淡水の海老の養殖も行われ、ワインのラベルにはハプスブルク家の人達の肖像画が張られている。料理はオーストリア的な料理とイタリア的料理の両方が味わえる。このレストランにはフランツ・ヨーゼフ皇帝夫妻なども訪れている。

◇Hotel Schloss Labers
Via Lbers 25 39012 Merano
Tel:0473 234484 Fax:0472 234146
シュロッスラベルスはメラーノ郊外の葡萄畑の中にある城で、起源は11世紀に遡る。この城は19世紀に改造され、3ツ星のホテルになった。このホテルもユニークな歴史があり、エリザベート皇妃がここに宿泊している。他にディーゼル機関を発明したディーゼル、]線を発見したレントゲンなどが宿泊している。また、第2次大戦中はこのホテルの地下でポンドとドルの偽札を作っていたという歴史がある。庭のテラスからは素晴らしいメラーノのパノラマが楽しめる。

◇Palace Hotel & Schloss Maur
Via Cavour 2/4 39012 Merano
Tel:0473 27100 Fax:0473 271181 http://www.palace.it
1906年に建設された5ツ星ホテルで、温泉治療などの設備がある。庭にはプールがあり、アルプスの山々を見ながらのパノラマは素晴らしい。このホテルにはチェコの作家で、ノーベル文学賞を受賞したフランツ・カフカが宿泊し、恋人ミレーナに沢山の恋文を書き送った。また名歌手ルチアーノ・パバロッティもここに滞在していた。

◇Caffe Koenig
ウィーンのデーメル、ゲルストナーなどの有名パスティチェリアをモデルにして1893年に出来たカフェで、オーストリア風のケーキ、チョコレートなどが味わえる。内部もエレガントで沢山のチョコレート、クッキー、ケーキなどが展示されている。ここにはモナコの王女カオリーナ、元イタリア首相アンドレオッティなどが訪れている。

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◆◇グルメ小説「ミシュランに騙されるな」のご案内◆◇
ミシュランの3ツ星レストランといえば、最高の料理と最高のサービスが受けられると私は信じていた。しかし数年前フランスのミシュランの3ツ星レストランを全部食べて見てこれが如何に間違いであるかわかった。日本のマスコミはいつも賞賛するだけだし、料理専門家も真実は言わない。私はこれを小説仕立てにして本当のミシュランのレストランの姿を書いたつもりです。現在インターネットで公開しています。長いので読むのは骨が折れるかも知れませんが、時間のある方は是非お読み下さい。料理を勉強される方は特に参考になると思います。(http://www.geocities.jp/joschuajp

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メラーノデータ

お薦めホテル
☆Park Hotel Mignon 街の中心にある4ツ星ホテル、パノラマが美しい。
Via Gramayer 5 Merano
Tel:0473 230353 Fax:0473 230644
info@hotelmignon.com

☆Meranerhof パッシリオ川沿いにある4ツ星ホテル、街の中心にある。
Via Manzoni 1 Merano
Tel:0473 230230 Fax:0473 233312
info@meranerhof.com

☆Bavaria 街の中心に近い便利な4ツ星ホテル
Via salita all Chiesa 15 Merano
Tel:0473 236375 Fax:0473 236371
bavaria@dnet.it

お薦めレストラン
(リゾート地であるメラ―ノはホテルが多い。そして殆どのホテルはレストランを持っているので市内ではレストランはそれ程多くはないが数軒紹介します。)

★Sissi エリザベート皇妃の写真が飾られている優雅なレストラン、料理も洗練されている。
Via Galilei 44 Merano
Tel:0473 231062

★Aurora パッシリオ川沿いにあるホテル、レストラン、川を見ながら野外で食事ができる。
Passegiata Lungo Passirio 38 Merano
Tel:0473 211800
info@hotel-meran.com

★La Veneta 市の中心から5分くらいの場所にあるレストラン、オーストリア風の伝統料理
Via Monastero 2 39012 Merano
Tel/Fax:0473 220257



著者プロフィール

牧野宣彦(まきののぶひこ)


早大卒。1974年、旅行会社にて日本初のニューイヤー、スカラ座オペラツァーを企画。その後コンピュータ会社を経て、1998年よりイタリアに住み、現在ボローニャ在住。フリーのトラベルライターとして、イタリアの旅行、音楽、グルメ関係の執筆、写真撮影を行う。
著書
「イタリアのべストラン」(透土社):トスカーナとイタリアのベストレストラン、ワイナリーなどを紹介。イタリア料理の人気の秘密をフランス料理と比較して解説。「イタリア歴史的ホテル・レストラン・カフェ」(三修社):イタリア各地の歴史的な面白い場所を203箇所紹介。イタリアで一番面白いガイドブック。「イタリアオペラツァー」(あんず堂):イタリア30都市でのオペラ体験紀行。音楽史跡、劇場、博物館、オペラを聞くために便利なホテル、レストランなど面白い情報を紹介。
 





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