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15 gennaio 2005

第23回 名指揮者カルロス・クライバーが最後に指揮した劇場 カリアリ

カリアリ−サルデーニャ州

Cagliari - Sardegna



牧野 宣彦





サルデー二ア島の最大の都市であるカリアリはカルボナーラ岬capo Carbonaraとスパルティベント岬capo Spartiventoの間に開けた湾岸の中央にあり、スペインの城とピサの塔が存立する街といわれリグーリアやピエモンテに似た街並みが広がっている。歴史を辿るとこの街は紀元前238年以前のローマ人が侵入する前にフェニキア人が支配し、発達した街カラリスKaralisに由来する。その後この街をカルタゴ人、ローマ人、ヴァンダル族、長期間ビザンチンなどが支配し、12世紀になるとピサの勢力範囲に組み込まれた。以後1326年スペインのアラゴン王国が城を占拠しスペインの支配が4世紀続いた。1720年にピエモンテのサヴォイア家が島を統治するようになり、このサヴォイア家がイタリア統一の基になった。1858年の第一次都市調整計画により古い城壁が取り壊され、3本の主要道路レジーナ・マルゲリータ通り、ローマ通り、カルロ・フェリーチェ広場などの主要な道路が開通した。


第2次大戦後港の付近は都市が拡大し、産業地帯になった。そのためカリアリを形成していた美しい特徴ある景観は喪失した。この島に最も近いイタリア半島の都市はナポリで290海里離れた距離にあり、シチリア島のトラパニTrapaniまでの距離は190海里ある。毎年5月1日は聖エフィジオ祭が開かれ、華やかな歴史的衣装をまとった人たちや400頭の馬の行進を見る事ができる。また、サルデー二アは海岸線の至る所で世界一美しい海が見られる。

★テアトロ・リリコ・ディ・カリアリ Teatro Lirico di Cagliari
カリアリには第2次世界大戦前にはポリテアマ・レジーナ・マルゲリータPoliteama Regina Margherita とデル・チヴィコDel Civico の2つの劇場がチェントロ・ストリコにあったが、1942年と1943年に相次いで破壊された。それ以後数10年間もコンサートやオペラの公演はあいている場所で行われていたが、1964年に新しい建物の建設が宣言され、3年後ベルガモの建築家ジノールハイクGinoulhaicとガルモッツィGalmozziが計画に携る事が承認され、その4年後に工事が開始された。内装はモダンな造りで1600の座席がある。


開場以来リッカルド・ムーティ指揮のスカラ座オーケストラ、ショルティ指揮のロンドンフィルハーモニーオーケストラ、ズビン・メータ指揮のウィーンフィルハーモニーなどの一流オーケストラが客演に来ている。名指揮者カルロス・クライバーは昨年の7月に惜しまれつつ世を去ったが、その彼が最後に指揮したのがこの劇場であった。彼は1999年1月バイエルン放送交響楽団と最期の演奏旅行に出発した。スペイン領カナリア諸島のラスパルマス、バレンシアなどで公演し,同じ年の2月24日,26日にカリアリに来て、テアトロ・リリコでベートーベンの4番、6番、7番などを演奏した。私は生前彼の指揮したオペラを数回スカラ座で聞いている。最初に聞いたのが1976年の年末に聞いた「オテッロ」だった。その後同じ演目を1980年にスカラ座で聞いた。この時のキャストはドミンゴ、フレーニ、カップチッリ、ギャ−ロフというドリームキャストで、演出はゼッフィレッリだった。あの時の彼の踊るようなエネルギッシュな指揮が忘れられない。JITRAの読者の方から私が昨年の夏イタリアにいた時、カルロス・クライバーの追悼番組がライ3であることを教えられた。クライバーの指揮を映像で見ると改めてその輝かしい活力溢れる指揮に魂が熱く揺すぶられた。カリアリの音楽ファンはクライバーの指揮を見た最後の聴衆だと思われる。私はその頃ボローニャに住んでいて、初めてボローニャのアシネッリの塔に登った。その時出会った2人連れの日本人の母と娘の親子がクライバーの指揮を聞きにカリアリに行くと語っていたのが心に残っている。


このオペラハウスのシーズンは、1月から8月初旬頃までで数本のオペラ公演がある。今シーズンのオペラプログラムが既に発表されているので紹介します。
☆モーツァルト作曲「ドン・ジョヴァンニDon Giovanni」 2/25,27,28,3/3,4,6,9
☆ヴェルディ作曲「シモン・ボッカネグラSimon Boccanegra」 6/3,5,7,8,10,11,12
☆ビゼー作曲「カルメンCarmen」 7/20,22,24,26,28,30, 8/2

♪♪チケットオフィス Biglietteria♪♪
Teatro Lirico
Via Sant'Alenixedda 09128 Cagliari
Tel:070 4082230 4082249 Fax:070 4520033
info@teatroliricodicagliari.it
www.teatroliricodicagliari.it


★大聖堂 Cattedrale
13世紀に建設されたピサ様式の建物で、17世紀に改築された聖堂内にはグリエルモ・ダ・ピサ(1162年)による素晴らしい説教壇が2つある。壇の表面には、キリストの生涯の木像が施してあり、見事である。右第2礼拝堂に金箔を塗った木製の聖母マリア像があり、右翼廊に「教皇クレメンス7世の三幅対祭壇画」がある。内陣の右側にある小さな扉を開いて階段を下りると、サントゥアリオSantuarioが見られる。ここには17世紀に製作されたクリプトがあり、多数の聖者の遺骨が納められている。右の扉を開くとサルデー二ア王の妹でフランスのルイ18世の妃になったマリー・ルイーズ・ド・サヴォアの墓を祭ったチャペルがある。

★国立考古学博物館 Museo Archeologico Nazionale
サルデー二アの各地の発掘現場からの出土品が収集してあり、サルデー二アの紀元前6000年頃から中世期初期頃までの人々の生活、文化を理解する上に貴重な資料になっている。サルデー二アの特徴を示すヌラーゲ、穴式の墓、巨石の墓、多様な装飾が施された陶器、フェニキア人、古代カルタゴ人、古代ローマ人などの遺品がある。

★国立絵画館 Pinacoteca Nazionale
15世紀から18世紀までのカンバス画、レタブロ、紋章、調度品などを展示している。中にはピエトロ・カヴァッロPietro Cavaro、ミケーレ・カヴァッロMichele Cavaroなどの絵画や15世紀から18世紀に活躍したサルデー二アの画家達の作品が見られる。また19世紀以後の現代的絵画のコレクションもある。

★古代ローマ円形闘技場 Anfiteatro Romano
サルデー二アにおける最も重要な古代ローマの遺跡で紀元2世紀ごろ皇帝アドリアーノによって建設された。ここは2万人の人を収容する事が出来、それは、ローマのコロッセオ、ヴェローナのアレーナに次いでイタリア第3位の規模を誇る。野獣用の囲い、3列の観客席が保存されている。2000年の夏からオペラ、コンサート、ダンスなどの公演が行われている。

★サン・レミ城塞 Bastione di Saint Remy
スペイン軍の城塞の上に、19世紀に建設された見晴台で、コスティトゥツィオーネ広場Piazza Costituzioneへ行く階段が続いている。スペイン風の展望台ウンベルト1世のテラスTerazza di Umberto 1 からは港から海までの美しいパノラマが楽しめる。

★サンタゴスティーノ教会 S.Agostino
1577年にスイス人の建築家ジョルジョ・パレアーロによって設計されたサルデー二アでは数少ないルネッサンス様式の建築。地元で発見された考古学の遺品などが展示されている。

??アンティコ・カフェ Antico Caffe??
2001年の春カリアリの聖エフィジオ祭を撮影しに初めてカリアリを訪れた。その時ホテルに行く途中にタクシーの窓からアンティコ・カフェの看板が見えた。ホテルの近くだったので寄って見ると内部には、マルゲリータ王妃などの肖像画が飾ってあった。英国の作家D・H・ロレンスは「サルデー二アの海」という本を書いているので、もしかしたらこのカフェにロレンスが訪れていないかと思って尋ねてみた。するとアンティコ・カフェは1855年の創業で、別名詩人達のカフェといわれ、ロレンス、ノーベル文学賞を受賞したシチリアの女流作家で名作「コジマ」を書いたグラツィア・デレッダ、その他にもサルヴァト―レ・クワジモド、ガブリエーレ・ダヌンツィオなどの詩人、サヴォイア家のエレナ王妃、歌手のベンジャミ―ノ・ジーリなどが訪れた歴史的なカフェだった。飲み物、パニーノ、ドルチェ、アイスクリームなどが味わう事が出来、内部も鏡を使ったクラッシックなインテリアで心地よい空間があった。  


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★☆「イタリア大紀行 第2部」のお知らせ★☆  
10月から3回にわたり、新宿の産経学園でゲーテの「イタリア紀行」の講座を開催しました。
今年は以下のような日程で、19世紀最大の美女とうたわれたハプスブルクのエリザベート皇妃、天才モーツァルトの3度のイタリア紀行についての講座を行います。 ヴェネツィア、トリエステ、メラーノ、マントヴァ、ナポリ、ローマ、ボローニャ、ウィーンなどの街をスライドを使ってご案内します。どうか奮ってご参加下さい。尚JITRA読者の方は特典として入学金が免除になります。

講座名:イタリア大紀行
場所:新宿産経学園(小田急ハルク7F)
日時:2005年1月29日(土)、2/5(土)、3/5(土) 14:00~16:00
費用:8,820円、資料代315円(3ヶ月分)
施設維持費:472円
詳細は www.sankeigakuen.co.jp./sinjuku.htm
Tel:03 (3343 )2703 Fax:03 (3343 )5877

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◆◇グルメ小説「ミシュランに騙されるな」のご案内◆◇
ミシュランの3ツ星レストランといえば、最高の料理と最高のサービスが受けられると私は信じていた。しかし数年前フランスのミシュランの3ツ星レストランを全部食べて見てこれが如何に間違いであるかわかった。日本のマスコミはいつも賞賛するだけだし、料理専門家も真実は言わない。私はこれを小説仕立てにして本当のミシュランのレストランの姿を書いたつもりです。現在インターネットで公開しています。長いので読むのは骨が折れるかも知れませんが、時間のある方は是非お読み下さい。料理を勉強される方は特に参考になると思います。(http://www.geocities.jp/joschuajp
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カリアリデータ

お薦めホテル
☆Regina Margherita 街の中心にある4ツ星ホテル、清潔で快適。
Viale Regina Margherita 44
Tel:070 670342 Fax:070 668325
htlrm@hotelreginamargherita.com

☆Caesar's チェントロストリコ、海などへも近く、車で5分位、レストランもある4ツ星ホテル
Via Darwin 2/4
Tel:070 340750 Fax:070 340755
caesarshotel@tiscalinet.it

☆Mediterraneo 海に面した140室もある巨大な4ツ星ホテル
Viale A.Diaz 149
Tel:070 301271 Fax:070 301274
info@hotelmediterraneo.net

☆Panorama 景色のよい4ツ星ホテル
Via A.Diaz 231
Tel:070 307691 Fax:070 305413
info@hotelpanorama.it

☆Sardegna 近代的な設備を備えた4ツ星ホテル
Via Lunigiana 50
Tel:070 286245 Fax:070 290469
sardegnahotel@shg.it

お薦めレストラン
*Dal Corsaro チェントロにある優雅なレストラン、食事も美味しい
Viale Regina Margherita 28
Tel:070 664318

*Antica Hostaria チェントロストリコにあり、この地方の料理が味わえる
Via Cavour 60
Tel:070 665870

*Al Porto この地方の魚介料理が味わえる。チェントロストリコにある
Via Sardegna 44
Tel:070 663131

*Il Molo 港の近くにあり、魚介料理が味わえる大衆的な店
Calata dei Trinitari
Tel:070 308959

*Lillicu 1957年創業のトラットリアで家庭的なサービスと魚介料理
Via Sardegna 78
Tel:070 652970



著者プロフィール

牧野宣彦(まきののぶひこ)


早大卒。1974年、旅行会社にて日本初のニューイヤー、スカラ座オペラツァーを企画。その後コンピュータ会社を経て、1998年よりイタリアに住み、現在ボローニャ在住。フリーのトラベルライターとして、イタリアの旅行、音楽、グルメ関係の執筆、写真撮影を行う。
著書
「イタリアのべストラン」(透土社):トスカーナとイタリアのベストレストラン、ワイナリーなどを紹介。イタリア料理の人気の秘密をフランス料理と比較して解説。「イタリア歴史的ホテル・レストラン・カフェ」(三修社):イタリア各地の歴史的な面白い場所を203箇所紹介。イタリアで一番面白いガイドブック。「イタリアオペラツァー」(あんず堂):イタリア30都市でのオペラ体験紀行。音楽史跡、劇場、博物館、オペラを聞くために便利なホテル、レストランなど面白い情報を紹介。
 





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