
4月になるとペーザロ夏の音楽祭のチケット申し込みが始まる。毎年ペーザロは夏の音楽祭の案内で演目の上演だけ少し触れるだけなので、今回はこれからペーザロの音楽祭のチケット、ホテルの予約やレストランで食事をする人の為に役に立つ最新の情報をお届けします。またペーザロには長く逗留する人も多いので郊外の町も紹介します。
アドリア海の沿岸にあるペーザロはリミニ、リッチョーネなどと並ぶ海水浴場として夏には多くの人が訪れる。フォリア川の河口に位置し、葡萄園、オリーブの木がある丘陵などが見える。
紀元前184年ローマ人がこの地に入植してきた頃この地はピサルムPisarumと呼ばれていた。15世紀にはマラテスタ家の支配になり、その後デッレ・ロベーレ家がこの地を支配し、1631年(1516~1519年はメディチ家の支配)までこの地を所有した。この時代がペーザロの芸術、文化の黄金時代といわれ、公共事業なども盛んに行われ街は発展し、16世紀にはハープシコードの生産地として知られていた。大作曲家ジョアッキ―ノ・ロッシーニGiacchino
Rossini (1792~1868)は1792年に生まれ、また戦後カラスと並ぶ大ソプラノ歌手として活躍したレナータ・テバルディRenata
Tebaldiもこの街で生れている。1980年からはロッシーニ音楽祭が始まり、毎年素晴らしい公演が行われ、日本人の観光客も多い。
※ロッシーニ・オペラ・フェスティバル※
最近あまりにも有名になってしまったロッシーニ・オペラ・フェスティバルは、1980年から開催されている。1981年にはマウリッツィオ・ポリーニ指揮の「湖上の美人」、1984年には20世紀初のクラウディオ・アッバード指揮「ランスの旅」などを上演し、注目を集め、最近は演出、歌手なども充実し、イタリアで最も評判の高い音楽祭になった。毎年素晴らしい上演が行われているが、今年のプログラムが発表され、一般の人は4月26日から郵便、ファックス、電子メールなどで予約が出来る。(170Euro
を払ってこの音楽祭の会員になるとそれ以前にチケットを申し込める。)
ペーザロでは3つのロッシーニのオペラが上演される。他には若い人の演奏する公演、ブッファの上演、コンサートなどがある。
タンクレーディTancrediは演出がピッツィ、指揮がヴィクトル・パブロ・ペレス、パトリツィア・チオフィ、カサロヴァなどが出演する。数年前に上演された時は、バルチェローナの名唱が凄かったが、今年はパラフェスティバルの会場でピッツィがどんな演出をするのか見ものだ。エリザベッタ、イギリス女王Elisabetta,Regina
di'Inghilterraは指揮がレナート・パルンボ、マリオラ・カンタレッロ、ソニア・ガナッシ、アントニオ・シラクーザなどが出演し、演出はダニエーレ・アッバード。マティルデ・ディ・シャブランMatide
di Shabranは、指揮がリッカルド・フリッツァ、演出がマリオ・マルトーネ、ジュアン・ディエゴ・フローレスなどの名歌手が出演する。新演出なので注目される舞台だ。
★タンクレーディ Tancredi 8/6,9,12,15,18 Palafestival 開始時間:20:00
★エリザベッタ、イギリス女王 Elisabetta,Regina D'Inghilterra Auditorium Pedrotti
開始時間:20:00 8/7,10,13,16,19
★マティルデ・ディ・シャブランMatilde di Shabran 8/8,11,14,17,20 Teatro Rossini
開始時間:20:00
★Pettite Messe Solennelle 8/9 開始時間:17:00 Teatro Rossini
★IL Vero Omaggio 8/18 開始時間:17:00 Teatro Rossini
★IL Mond delle Farse 8/7,10 開始時間:12:00 Teatro Sperimentale
★Festival Giovane 7/26 開始時間:20:30 Teatro Sperimentale
★IL viaggio a Reims 8/11,14 開始時間:11:00 Palafestival
♪♪チケットオフィス♪♪
* チケットは郵便、ファックス、E-mailなどで申し込める。一人一公演4枚まで。
* 支払いはVisa、Mastercard,Dinersなどクレジットカードで出来る。
上記は4月26日から。電話予約は7月1日から23日まで。(Tel:0721 3800243)
Biglietteria del Festival:Servizio Prenotazioni
Via Rossini 24 I-61100 Pesaro Fax:0721 3800220
E-mail:boxoffice@rossinioperafestival.it
Internet:www.rossinioperafestival.it
● テアトロ・ロッシーニ Teatro Rossini
ペーザロでは17世紀中ごろからオペラは上演されていた。現在のロッシーニ劇場は1758年から1760年にかけて、アンブロジョ・ぺトロッキAmbrogio
Petrocchiによって、建築が始まり、ボローニャのテアトロ・コムナーレを建設したアントニオ・ガッリ・ビビエナAntonio
Galli Bibienaが完成した。開場したのは1759年8月、フィスキッティD・Fischittiの"Il Mercati
Malmantile"が上演された。1814年から1840年にかけて、ロッシーニの作品が数多く演奏されている。内部のフレスコ画や装飾を手がけたのは、1819年リンドロ・マルコーニLeandro
Marconiで、この劇場がロッシーニ劇場と呼ばれるようになったのは1859年からだった。その後はベッリーニ、ヴェルディ、プッチーニの作品もレパートリーを飾った。1900年にはワーグナーの「ローエングリンLohengrin」が上演され、1902年にはアルトゥーロ・トスカニーニが「アイーダAida」を上演している。一時映画館として利用されたが、1984年から1986年にかけて修復され、その後はオペラハウスに戻った。
●ロッシーニの生家 Casa Natale di G.Rossini
イタリアオペラの歴史に輝かしい功績を残したジョアッキ―ノ・ロッシーニは1792年2月29日にペーザロで生れた。彼の父ジュゼッペはトランペット奏者で、堵殺場監督、母アンナ(ソプラノ歌手だった)との間に生れた。彼の生家は、現在公開され博物館になっていて、家族の肖像画、楽譜などが展示されている。彼は生涯に約40曲あまりのオペラを作曲したが、38歳の時作曲した「グリエルモ・テルGuglielmo
Tell」を最後に作曲を止め、パリやボローニャで77歳まで生活した。
●市立美術館 Musei Civici
絵画館と陶芸博物館からなり、ピナコテカはプリミティブ芸術やヴェネツィア、トスカーナ美術、ボローニャ美術からなる。この美術館の最大傑作はジョヴァンニ・ベッリー二の「聖母の戴冠」、他にマルコ・ゾッポ、ジョヴァンニ・フランチェスコ。ダ・リミニなどの絵画が収められている。陶芸博物館Museo
delle ceramicheは、イタリア有数のもので、ウルビ―ノ、ファエンツァ、グッビオなどの名高い工房で製作された名品が展示されている。
●ロッシーニ音楽院 Conservatorio di Musica Rossini
1882年にロッシーニの残した遺産を基に創立された音楽院。初代学長はカルロ・ぺドロッティ、2代目は作曲家のマスカー二、彼は1895年から1902年の在職中に「イリスIris」、「仮面Le
Maschere」などを作曲した。正面入り口にロッシーニの坐像がある。また、オーディトリウム・ぺドロッティはロッシーニ音楽祭の劇場として使用されている。
●市立墓地 Cimitero Civico
街の中心から少し離れている東の方角に市立墓地がある。20世紀を代表するテノール歌手として一世を風靡したマリオ・デル・モナコ(1915~1982)は、ロッシーニ音楽院で声楽の勉強をした。彼の声は黄金のトランペットといわれ、特にヴェルディの「オテッロ」の解釈では20世紀最高といわれた。彼は67歳メストレで亡くなったが彼のお墓がここにある。
ウルビーノ Urbino
ペーザロからバスで40分位の場所にウルビーノがある。行き方はフェロヴィエ・ペーザロ駅の脇にあるバス停留所からバスに乗る。日帰りで戻れるので夜ペーザロでオペラを見る事に支障はない。この街は、ルネッサンスの3大画家の一人ラファエッロRaffaello、建築家のブラマンテBramanteの生れた街であり、ヨーロッパの行儀作法の発祥地と言われる程宮廷文化が栄えた。
●大公宮殿 Palazzo Ducale
15世紀にウルビ―ノを支配していたフェデリコ公の命により、ダルマチア人の建築家ルチアーノ・ラウラーナが1444年から1472年にかけて建設し、その後シェナのフランチェスコ・ディ・ジョルジョ・マルティーニが完成した。ルネッサンス時代の代表的な建築。
●マルケ国立美術館 Galleria Nazionale delle Marche
ドカーレ宮殿の中にあり、沢山の傑作がある。その中ではパオロ・ウッチェルロの「プレデルラ・ホスチアの涜聖」、ピエロ・デッラ・フランチェスカの「セニガリアのマドンナ」「キリスト苔刑図」、ラファエッロの肖像画「黙っている女」などがある。フェデリコ公が引きこもって読書した部屋ストゥディオロStudioloはボッティチェルリのデザインを基にして製作された。素晴らしい寄木細工の壁板が見られる。
●ラファエッロの家 Casa di Raffaello
ラファエッロが14歳まで住んでいた家、彼はルネッサンスの3大画家の一人で、彼の版画、複製画、若き日の作品といわれるフレスコ画「聖母子」、ラファエッロの父ジョヴァンニ・サンティ、ジュリオ・ロマーノなどの作品がある。
〜〜素晴らしいオペラファンとの出会い〜〜
私は1974年日本で最初にウィーンのニューイヤー・コンサートとスカラ座オペラツァーを企画した。私のツァーが最高の内容を誇った時代がスカラ座200年祭の1978年だった。
丁度その頃ウィーンではヘルベルト・フォン・カラヤンがウィーンに復帰し、彼がオペラを3本振る機会が有り、ウィーンではカラヤンが指揮するので大騒ぎになり、私はそのツァーを企画した。その時はカラヤンの指揮で、カレイラスとフレーニの出演した「ラ・ボエーム」、ドミンゴ、カヴァイヴァンスカ、カップチッリ、コソット、ホセ・ファンダムの出演した「イル・トロヴァトーレ」などを聞き、後世に伝えられる歴史的名演奏だったが、その時私のツァーに参加した人の一人に高橋明雄さんがいた。
彼は現在も現役の弁護士で、しかも60歳から歌を習い始め、イタリアのカンツォーネやシャンソンを歌う歌手である。数年前は、世界的ピアノ奏者ヴィンチェンツォ・ラ・スカレーラの伴奏で歌った経験もある。
10数年前私は彼とお医者さんの夫婦とイタリアを旅行した。ナポリのピゼリアウンベルトUmbertoはナポリの歌自慢の人が来てカンツォーネを歌う場所である。その時高橋さんが自分も歌ってみたいというので私はかけあって、歌えるようにして上げた。その時彼は「オーソレ・ミオ」を歌ったが、ナポリ子に馬鹿受けして拍手が鳴り止まず、ビス、ビスの嵐だった。彼がアンコールで「帰れ、ソレント」を歌うとまた凄い賞賛の拍手が続いた。それが彼の歌手初デビューだった。その後倶楽部や宴会、コンサートなどで精力的に歌っている。しかも弁護士をやりながら。また、ヴェローナではヴェルディの「レクイエム」をマゼールの指揮する合唱団の一員としてパバロッティと共演した事もある。イタリア料理は昭和音楽大学教授の永竹由幸先生の奥様のアンジェラさんに習い、中国料理もプロ級、私は以前彼の作ったフカヒレスープなどをご馳走になったが、正直いってアラン・デュカスの料理より美味しかった。今の日本にこんなユニークな人間が存在している事が嬉しくなる。その彼が5月1日にナポリ民謡とナポリ舞踏のコンサートを開催するので、JITRAの読者の方も是非この素晴らしい歌声を聞かれることをお薦めします。
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予定曲目:歌劇リゴレットより(女心の歌)、雨、ゴンドリ・ゴンドラ、帰れソレントへ、
フニクリ・フニクラ、カタリ、オーソレ・ミオ、乾杯の歌(椿姫)、忘れな草、歌劇「ジャンニ・スキッキ」より「私のお父さん」、マンマ、海に来たれなど多数。
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日時:2004年5月1日(土) 開場:13:00 開演:13:30~16:00
会場:内幸町ホール
会費:2500円(全席自由席)
お申し込み:高橋明雄カンツォーネ・ナポリターナの会
Tel:03 (3574)8606 Fax:03 (3574) 8607
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