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イタリア 音楽の旅
 
15 Dicembre 2003

第13回 「ロミオとジュリエットの街ヴェローナ」

 ヴェローナ − ヴェネト州
Verona − Veneto

牧野 宣彦
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ヴェローナはいつも夏の音楽祭で少し触れるだけだが、魅力に溢れる街である。そのヴェローナは夏の野外オペラだけでなく、冬もテアトロ・フィルハーモニコでオペラの上演が行われている。

ヴェローナの歴史はゴート族の王テオドリックがヴェローナを大変気に入り、サン・ピエトロの丘Colle di San Pietroに城を建てた。ここから見える景色はとても美しく

蛇行するアディジェ川、それに架かるピエトロ橋、中世の街並みなど素晴らしいパノラマが楽しめる。樹木の茂る涼しい丘から街を見ていると、ヴェローナを訪れた、ダンテ、モーツァルト、ゲーテ、ワーグナーなどの面影が目に浮かんでくる。毎年春にはイタリア最大のワイン見本市(Vinitaly)が開催され、周辺ではアマローネAmarone、ソアーべSoaveなどの有名ワインを産出する。

テアトロ・フィラーモニコ Teatro Filarmonico

18世紀のヴェローナではオペラは、カーニバルや秋のシーズンに上演されていたが、当時は、まだ充分ではなく、本格的な劇場の創設を望む声が上がった。ヴェローナには1543年に創設された音楽サークルアッカデミア・フィラーモニカAccademia Filarmonicaがあり、このサークルの人たちが中心になり、メンバーの有力な一員だったマッフェイMaffeiにより1716年オペラ劇場の建設が始まった。設計を担当したのは各地でオペラ劇場の建設を手がけたフランチェスコ・ガッリFrancesco Galli(通称ビビエナBibiena)で、実際の建設はヴェローナの技師ルドヴィコ・ペリー二Ludovico Periniが13年かかって完成し、1732年1月16日にヴィヴァルディVivaldiのオペラ「忠実なニンフLa Fida Ninfa」で開場した。1749年には火事になり、消失したが1754年に再建されハッセHasseの「インドのアレクサンドロスAlessandro nell’India」で再開した。1770年にはこのテアトロの小さなホールでモーツァルトMozartが初見で「チェンバロ協奏曲」を弾いた。記録によれば当時37キロ離れたマントヴァの地方新聞にも天才ぶりを書かれるほど周囲を驚かせたという。この劇場では秋から4月頃までオペラの上演が行われる。私も1996年に一度この劇場で、ドニゼッティの「愛の妙薬」を見た。演奏の印象はあまりないが、劇場はロココ芸術の粋を集めた内装が優雅で、ため息が出るようだった。冬と夏のシーズンプログラムを紹介します。

テアトロ・フィルハーモニカ日程表
ヴォルフ・フェラーリ作「せんさく好きな女達」 Le Donne Curiose 2003/11/21、23,25,27,29
バレエ Gala Alma Latina 12/11,12,13,14,16,17
ノルマNorma 2004/01/22,25,28,31,2/03
トスカ Tosca 2/20,22,24,26,28
バレエ 白鳥の湖 3/11,12,13,14,16,17
コジ・ファン・トゥッテ Cosi fan Tutte 4/16,18,20,22,24
アレーナ日程表2004年
アイーダAida 6/20,27,7/4,9,13,18,22,25,28,8/1,5,8,15,22,26,29,31
マダムバタフライ Madam Butterfly 6/19,25,7/3,10,14,17,21,29
イル・トロヴァトーレ Il Trovatore 6/26,7/2,16,24,31,8/7,13,19
ラ・トラヴィアタ La Traviata 7/11,15,20,23,30,8/6,12,17,20,24,27
リゴレットRigoletto 8/14,18,21,25,28
ドミンゴコンサート  8/4

★インフォメーション
Fondazione Arena
Piazza Bra 28 37100 Verona
Tel:045 8005151 Fax:0458011566
HP:www.arena.it


  

♪♪音楽にゆかりのある見どころ♪♪

●エルベ広場 Piazza delle Erbe
ローマ時代にフォロFolo(広場)だったところで、現在でも毎日市がたつ。広場の中央にはマドンナ・ヴェローナの噴水Fontana di Madonna Veronaがあり、周辺の建物の外壁にはフレスコ画が描かれている建物がある。コスタ門Arco della Costa を抜けるとシニョーリ広場に出る。

●シニョーリ広場 Piazza dei Signori
ダンテDante (1265~1321)の像が立ち、市の行政機関が立ち並ぶ。右側にはラジオーネ宮殿があり、これは13世紀に建設され、その後改築されたが、建物の上にはランベルティの塔Torre dei Lamberti がある。ここはエレベータで上に昇る事が出来、上からは中世の街ヴェローナの景観が見える。左手にあるロッジア・デル・コンシーリオLoggia del Consiglio は、15世紀末の議事堂で、ヴェネト州にある最も美しい初期ルネッサンス建築のひとつといわれている。広場の奥にあるゴヴェルノ宮殿Palazzo del Governo はデッラ・スカーラ家の古い王宮で、ダンテが宿泊した事もある。

●ジュリエットの家 Casa di Giulietta
エルベ広場の近くにジュリエットの家がある。シェクスピアの名せりふで知られる「ロミオ、あなたは何故ロミオなの・・・」の舞台となった場所であるが、バルコニーまでは約7メートルの高さがあり、棒高飛びの選手でも到達するのは難しい。中庭にはジュリットの像があり、その右胸に触ると恋が成就するといわれ、多くの人が触るのでぴかぴかで金色に輝いている。あい争うカプレーティ家とモンテッキ家の話はダンテの神曲(煉獄編)に書かれ、この物語は16世紀にピエモンテの作家マッテオ・バンデッリが「1554」という作品を書き、それを読んだシェクスピアがあの名作を書いた。この主題は多くの音楽家にインスピレーションを与え、ベッリー二は「カプレーティ家とモンテッキ家I Capuleti e I Montecchi」を作曲し、グノーは[ロメオとジュリエットRomeo et Juliette]、ザンドナーイは「ジュリエッタとロメオJulietta e Romeo」などを作曲した。またバーンスタインのミュージカル「ウェストサイドストリーWestside Story」も同じテーマである。その他、ベルリオーズ、チャイコフスキー、プロコフィエフなども「ロミオとジュリエット」の音楽を残している。

●ジュリエットの墓 Tomba di Giulietta
愛するロメオとジュリエットがロレンツォ神父の立会いで結婚したと伝えられるサン・フランチェスコ・アル・コルソ教会の回廊の中に古い石棺があり、伝承ではジュリエットの墓であるといわれている。ベッリー二の「カプレーティ家とモンテッキ家」の終幕はここが舞台となっている。聖堂と回廊が美しい。

●カステル・ヴェッキオ Castelvecchio
デッラ・スカラ家のカングランデ2世によって王宮、および城塞として14世紀中葉に 建設された。現在は市立美術館Civico Museo d’Arte が置かれている。ステファノ・ダ・ヴェローナ、ヴェロネーゼ、ティントレット、ベッリー二、マンテーニャなどの名画がある。

●サン・ゼーノ・マッジョーレ教会 Basilica di S.Zeno Maggiore
イタリア最大のロマネスク聖堂で、ヴェローナの初代司教ゼノビウスの墓の上に、5世紀に建てられたもので、12世紀から13世紀に立て直された。内部にはマンテーニャの傑作「サン・ゼーノ祭壇画」がある。この絵はサン・ゼーノの修道院長グレゴリオ・コッレールの依頼で、1457年から1459年にかけて描かれた。6枚のパネルを収める額枠もマンテーニャがデザインした。

●サン・トンマーゾ教会  San Tommaso
イタリアを旅行していたモーツァルトは1771年1月7日にカルメル派修道院のこの教会でオルガンの演奏をした。内部は梁や木組みの素朴な教会である。当時演奏した人は、オルガンに名前を刻むのが定例だった。中央にあるウィンド・チェストのオルガンの左側にW.S.Mの文字があり、これはモーツァルト(Wolgang Salzburg Mozart)のサインではないかといわれている。しかし現在はセキュリティの問題で2階には上がれないのでまじかに見ることはできない。この時のモーツァルトの人気は凄く近郊からも多くの人が訪れたという。

●フィリッピーノ教会 Chiesa di Filippino
1947年「ラ・ジョコンダLa Gioconda」でアレーナにデビューしたマリア・カラスは、ヴェローナの実業家メネギー二と1949年4月にこの教会でひっそり結婚式を挙げた。


ヴェローナ ・データ
   ラツィオ州

■お薦めホテル
★Due Torri Baglioni ゲーテ、モーツァルト父子が泊まった1674年創業の5ツ星ホテル
Piazza Sant’Anastasia 4, Tel:045 595044 Fax:045 8004130
E-mail:duetorri.verona@baglionihotels.com
★Victoria アレーナにも近い快適な4ツ星ホテル
 Via Adua 6,Tel:045 590566 Fax:045 590155 E-mail:victoria@hotelvictoria.it
★Colomba d’Oro アレーナに近い4ツ星ホテル。入り口のフレスコ画が美しい。
 Via Catteneo 10,Tel:045 595300 Fax:045 594974 E-mail:info@colombahotel.com
★Accademia マリア・カラスが泊まった。アレーナに近く、レストランもよい。
 Via Scala 12,Tel:045 596222 Fax:045 8008440 E-mail:accademia@accademiavr.it
★Grand Hotel アレーナから10分くらいの4ツ星ホテル、駅にも遠くない。
 Corso Porta Nuova 105,Tel:045 595600 Fax:045 596385 E-mail:info@grandhotel.vr.it
★Firenze 駅から近く、最近改装した優雅なホテル。
 Corso Porta Nuovo 88,Tel:045 8011510 Fax:045 8030374
E-mail:info@colombahotel.comhfirenze@tin.it ★Bologna アレーナの近くの3ツ星ホテル。  
Via Alberto Mario 18,Tel:045 8006830 Fax:045 8010602 E-mail:hotelbologna@tin.it
★Giulietta e Romeo アレーナに近い3ツ星ホテル
vicolo Tre Marchetti 3,Tel:045 8003554 Fax:045 8010862
E-mail:info@giuliettaeromeo.com
★Mastino アレーナに近い3ツ星ホテル、現代的な家具で快適。
 Corso Porta Nuova 16,Tel:045 595388 Fax:045 597718 E-mail:info@hotelmastino.it

■お薦めレストラン
★Il Cenacolo 炭火料理のコースで、味もよい。パバロッティなど有名人も来る。
 Via Teatro Filarmonico 10,Tel:045 592288 Fax:045 592933
★Accademia 魚介、肉料理とも美味しく、内装も優雅。
 Via Scala 10,Tel:045 8006072 Fax:045 8006072 E-mail:accademiaristorante@tin.it
★Arche ヴェローナ一の魚介料理店、マリア・カラス、ブロスキーなどが来た。
 Via Arche Scaligere 6,Tel:045 8007415 Fax:045 8007415
★Tre Marchetti アレーナに近く、味もよい。
 Vicolo Tre Marchetti 19/b Tel:045 8030463 Fax:045 8002928
★Greppia 街の中心にあるレストランで、伝統的な料理が食べられる
 vicolo Samaritana 3,Tel:045 8004577 Fax:045 595090
★Bottega del Vino ヴェローナで一番ワインの品揃えがよい。料理も美味しい。
 Via Scudo si Francia 3 Tel:045 8004535 Fax:045 8012273 E-mail:info@bottegavini.it
★Caffe Dante 1865年創業のレストラン、カフェ、英国のサッチャー首相も訪れている  
Piazza dei Signori 2 Tel:045 595249





●JITRA読者との素敵な出会い、ペーザロ●

今年の夏のイタリアは凄い猛暑であったが、ペーザロの夏の音楽祭でJITRAの読者にお遭いし、話が出来たのは最高の幸せであった。

2004年は日本を題材としたオペラプッチーニの「マダム・バタフライ」が上演されて100周年記念になる。このオペラは日本を舞台としているので日本人には最も馴染のあるオペラだが、ミラノのスカラ座で1904年2月17日に初演された時は、歴史的な失敗に終わった事でも名高い。2004年はマダムバタフライの公演が世界各地で行われるらしい。最近は日本人のオペラ歌手の活躍も多くなったが、その背後には、私達多数の日本人に知られることなく歌い続けたプリマドンナがいた事が、マダムバタフライというオペラの普及に貢献した事は確かである。

1939年ナチスがポーランドに侵攻。その後占領、弾圧の中でワルシャワのバビアック監獄は戦後「バビアック刑務所博物館」として公開されている。その中に一体の日本人形があった。反ナチの運動をして犠牲になったポーランド女性の遺品らしい。その人形のモデルがマダムバタフライを演じた日本人のプリマ・ドンナ喜波貞子さんだった。喜波さんは1902年(明治35年)横浜に生れ、1920年にミラノのスカラ座に留学し、その後1922年リスボンのサン・カルロ劇場でマダムバタフライを歌いデビュー、以降イタリアはじめヨーロッパで生涯に1700回以上も蝶々さんを歌った伝説のソプラノ歌手である。戦争が激化した1940年以降のオペラ公演は途絶えたが、戦後オペラ歌手を育てる先生となり、1983年5月29日イタリア国境に近いニースのパスツール病院で他界した。享年80歳であったという。オペラブームといわれる最近の日本だがこれらの先人達の苦労を忘れてはならないと思う。
私はこの夏JITRAのサイトを見ている読者の素晴らしい女性にペーザロのロッシーニ音楽祭で知り合った。そしてその方から喜波貞子さんの話を聞いた。彼女は喜波さんの伝記を読み、私財を投げ打ってこのオペラ歌手の普及に走り回っている。Mさんはマダムバタフライの公演100周年記念に「喜波貞子追悼記念マダムバタフライ」の上演を福岡で企画しているので、この地方に在住しているJITRAの読者の方々是非公演に行って下さるようお願いします。

☆★ 蝶よ再び、翔け「喜波貞子追悼記念公演」☆★
オペラ「マダムバタフライ」 指揮:マッシミリアーノ・ムッラーリ、
ピンカートン:オルフェオ・ザネッティ、
蝶々さん:濱真奈美
井戸靖子、マッシモ・べズッティ他、管弦楽:福岡室内合奏団
日時:2004年3月26日(金)、開場18:00、開演:18:30
場所:福岡銀行本店ホール(福岡市中央区天神2-13-1)
Tel:092 723 2131
チケット発売、問い合わせ:福岡音楽協会(092 414 8306)萬年内科(0942 62 4161池田)



著者プロフィール

牧野宣彦(まきののぶひこ)


早大卒。1974年、旅行会社にて日本初のニューイヤー、スカラ座オペラツァーを企画。その後コンピュータ会社を経て、1998年よりイタリアに住み、現在ボローニャ在住。フリーのトラベルライターとして、イタリアの旅行、音楽、グルメ関係の執筆、写真撮影を行う。
著書
「イタリアのべストラン」(透土社):トスカーナとイタリアのベストレストラン、ワイナリーなどを紹介。イタリア料理の人気の秘密をフランス料理と比較して解説。「イタリア歴史的ホテル・レストラン・カフェ」(三修社):イタリア各地の歴史的な面白い場所を203箇所紹介。イタリアで一番面白いガイドブック。「イタリアオペラツァー」(あんず堂):イタリア30都市でのオペラ体験紀行。音楽史跡、劇場、博物館、オペラを聞くために便利なホテル、レストランなど面白い情報を紹介。

 





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