●ヴェルディの住んでいた家
トリエステの港が見えるノベンブレ通りにヴェルディが「スティッフェーリオ」を作曲した家があり大きな美しい建物である。ここでヴェルディが「スティッフェーリオ」のインスピレーションを受けて作曲したという碑がある。物語は主人公がドイツ人のプロテスタントの牧師で、その妻の浮気に悩み、葛藤の末それを許すというストリーで、ヴェルディの愛し始めたジュゼッピーナ・ストレッポー二が、スカラ座の支配人メレッティとの関係をなかなか断ち切れないので、ヴェルディはこの頃悩んでこの曲を作曲したといわれている。
●ヴェルディ坐像
ヴェルディは、「海賊」と「スティッフェーリオ」の2本のオペラを作曲して、テアトロ・グランデ劇場で初演された。ヴェルディのトリエステへの貢献に対して1906年彫刻家のラフォレによって石造が作られた。その後これが破壊され青銅の坐像が作り直された。場所はサン・ジョヴァン二広場にある。
●ミラマーレ城 Castello di Miramare
トリエステの郊外北西8キロにある白亜の館ミラマーレ城はアドリア海を見下ろす絶壁にそそり立っている。カール・ユンカーKarl Junkerの設計によるイギリス式ネオ・ルネッサンスの建築で、オーストリアのフランツ・ヨーゼフの弟のマクシミリアンが、嵐にあい、この地に漂着して、自然の美しさに魅せられ、自分と妻シャルロッテの為に建てた。イストリア産の白い石で建てられた城はドイツのノイシュヴァンシュタイン城にも讃えられる城といわれ、内部にはハプスブルク家の家系図やシャルロッテの部屋などがあり、エリザベート皇妃も度々宿泊したという。その後マクシミリアンは、1864年までこの城に住み、メキシコの皇帝になるが、暗殺される。周囲はイタリア式の庭園と多くの樹木で覆われている。
●ウニタ・ディタリア広場 piazza dell ‘Unita d’Italia
イタリアに沢山ある広場でも屈指の美しい広場といわれ、一方は海に面している。周囲にはウィーンのルネッサンス時代を髣髴させる建築がある。中心にあるのはジュゼッペ・ブルー二の建設した市庁舎palazzo Comunale、1751年に作られたバロック様式の4大陸の泉
Fontana dei Quattro Continentiが前にあり、エマヌエル・アルトマンEmanuel Artmannが建てた政庁舎Palazzo del Governo、ウィーンの建築家ハインリッヒ・フェルステルHeinrichi Ferstel作のロイド・トリエスティーノ館palazzo del Lloyd Triestinoなどの壮麗な建物が見られる。
☆ジャームス・ジョイスJames Joyce(1882~1941)
ジョイスはアイルランドのダブリンに生まれた詩人、小説家だが、トリエステとゆかりが深い。ジョイスが住んだ1904年から1915年のトリエステはハプスブルク帝国による最後の支配が幕を下ろそうとしていた。彼は最初英語学校ベルリッツのチューリッヒで、英語教師として赴任した。しかし手違いでチューリッヒ校にはポストがなく、トリエステ校を紹介された。ここで彼は、ユダヤ人やトリエステの文学者たちと交流し、「若き日の芸術家の肖像」を書く。そして最大傑作「ユリシーズ」の構想を練った。その彼の訪れたカフェがピローナPironaで、室内にはジョイスの写真が飾ってある。ここでジョイスはコーヒーを飲みながらプレスニッツというクッキーをよく食べていたという。グランド・ホテル・ドゥッキダアオスタにはジョイスの名前の付いた部屋もある。その他に彼が足跡を残しているのはカフェサン・マルコSan Marco、カフェステラ・ポラーレStella Polare。ステラ・ポラーレの創業は1865年、内装などは現代風だが、外壁にジョイスが訪れた碑がある。ウンベルト・サバの弟子が経営している古本屋はサン・ニコロ通りVia San Nicoloにある。この2階にはジョイスが住んでいて、長男が誕生したという碑がある。ジョイスは一時オペラ歌手を志した程のオペラ通で、小説にはよくオペラの話が出てくる。彼はヴェルディ劇場で「マダムバタフライ」などを聞いた記録がある。また彼は美声の持ち主でアイルランドで開催された歌手の登竜門である「フェシュ・キョル」に参加し、2位になった。その審査員の一人にナポリ民謡の「フニクラ・フニクラ」の作曲者デンツァがいて、ジョイスは、彼から本格的に声楽を勉強する事を進められたという。オペラが好きだったジョイスにとってオペラが盛んなトリエステに住んだ事は、金銭的には裕福ではなかったが、彼の人生にとって有益な時期だったと思われる。
★ジョイスの関連施設紹介★
*Caffe Pirona ジョイスがユリシーズの構想を練ったカフェで1900年創業
Largo Barriera Vecchi 12 3412 Trieste Tel:040 636046
*Caffe San Marco 1914年創業で、リルケ、ジョイス、イタロ・ズヴェーヴォなどが訪れた。
Via Battisti 18 34125 Trieste Tel:040 363538
*ベルリッツスクール La Berlitz School ジョイスが英語を教えていた学校
Via San Nikolo 32, 1Piano
*Caffe Stella Polare ジョイスがよく通ったカフェ、創業は1865年
Via Dante Alighieri 14 34122 Trieste Tel:040 632742
*ジョイスの住んでいた家 ウンベルト・サバの弟子が経営している古本屋、2階にジョイスが住んでいた。かってはウンベルト・サバが経営していた。
Via San Nicolo 30