JAPANITALY Travel On-line

 
読み物・エッセイバックナンバー
イタリア 音楽の旅
 
15 Aprile 2003

第8回 プッチーニの足跡を訪ねる

ルッカとトゥレ・デル・ラーゴ (ルッカ県) − トスカーナ州
Lucca、Torre Del Lago (Lu) − Toscana

牧野 宣彦
photo



城壁に囲まれたルッカは、中世の面影を残す美しい街である。歴史を遡るとこの地域はリーグリア族の居住地だったが、古代ローマの時代にローマ人の文化圏に組み入れられた。旧市街には当時が偲ばれる円形闘技場があり、城壁の上は19世紀初頭に造られた緑の並木道に囲まれ、高さは約12メートルある。このトスカーナの古い街はイタリア有数の音楽の街として知られ、ヴェルディと並ぶイタリアオペラ最高の作曲家であるジャコモ・プッチーニGiacomo Puccini(1858〜1924)が、1858年に生まれている。
1805年にナポレオン・ボナパルトは、妹のエリーザにルッカを与え、その後ルッカは1847年まで、パルマのブルボン家の支配下にあった。レハールLeharのオペレッタ「パガニーニPaganini」はナポレオンの妹エリーザとパガ二ー二との恋を描いたオペレッタでルッカが舞台になっている。オペレッタでは、パガ二―ニにはルッカに半年しかいないが、真実は3年間も逗留し、ルッカの宮廷楽師長兼歌劇場支配人であり、エリーザの愛人であったといわれている。
ルッカは他にも優れた音楽家が生まれている。ローマのサンジョヴァン二・ラテラ―ノ教会の楽長を務めた作曲家のフランチェスコ・ガスパリー二Francesco Gasparini(1668~1727)、18世紀に活躍したヴァイオリン二ストのフランチェスコ・ジェミニアーニFrancescso Geminiani(1687~1762)はルッカで生まれ、ダブリンで死んだ。また、18世紀を代表するチェロ奏者として活躍したルイジ・ボッケリー二Luigi Boccherini(1743~1805)、オペラ「ローレライ」を作曲したアルフレード・カタラー二Alredo Catalani(1854~1893)もルッカの出身である。近郊のバルガでは音楽祭があり、トゥレ・デル・ラーゴにはプッチーニの住んでいた家があり、毎夏プッチーニ音楽祭が開催されている。

♪ テアトロ・ジーリオ Teatro Giglio♪

ルッカのオペラの歴史は1600年頃に遡る。当時オペラは貴族の邸やサロンで上演が行われていた。現在の建物は19世紀になり、マリア・ルイーザの治世の頃建築家のジョヴァン二・ラザリー二が1817年から1819年にかけて建設した。開場はロッシーニの「パルミーラのアウレリアーノ」、名称もブルボン家の紋章である「ジーリオ 百合」が選ばれた。1831年にはロッシーニの傑作「ウィリアム・テル」のイタリア初演が行われた。フランスでの上演は失敗に終わったがこちらでは大成功を収めた。その後劇場はヴェルディ、ロッシーニ、ベッリー二、マスカン二などの作品が上演された。座席数は400、定期のシーズンは9月から1月頃までだが、それ以後も時々オペラ、演劇、コンサートなどの公演がある。

◇インフォメーション
Piazza del Giglio 13/15 55100 Lucca
Tel(39)0583 547521 Fax:0583 490317
www.comune.lucca.it/GIGLIO
E-mail:teatro.giglio@comune.lu

  
写真:牧野宣彦
上:ルッカ市内
左:トゥレ・デル・ラーゴのプッチーニ邸の内部
右:トゥレ・デル・ラーゴのプッチーニ邸

♪♪音楽にゆかりのある見どころ♪♪

●プッチーニの生家 Casa Natale di G.Puccini
Via di Poggio Corte S.Lorenzo Tel:0583 584028 月曜日休館
ジャコモ・プッチーニは、代々音楽家の家系に生まれ、彼自身は音楽家として5代目に当たる。彼の父親ミケーレは、ルッカのドゥーモのオルガ二スト兼聖歌隊長も務め、作曲家でもあった。母アルビーナもルッカの音楽学院の校長フォルトゥナート・マージを兄に持つ音楽家一族の出身だった。3階建ての2階全部が、プッチーニ家の住まいで、ジャコモは、7人兄弟の5番目、22歳で現在のボッケリー二音楽院を卒業する22歳までこの家に住んでいた。内部には、マダム・バタフライ、トスカなどの初演当時のポスター、自筆の楽譜、プッチーニが「トゥーランドット」を作曲した時使用したグランドピアノ、プッチーニ家代々の人々の肖像画、手紙などが展示されている。またすぐ近くの広場にプッチーニの坐像がある。

●ドゥオーモ Duomo
11世紀から13世紀にかけて建設されたロマネスク様式の建築で聖マルチヌスを奉る。
14、15世紀に内部は改築され、現在の形になった。ジャコモ・プッチーニの曽祖父、祖父、父などが3代に渡り、オルガ二ストを務めていた。2つの素晴らしいオルガンがあり、その一つは1373年に設置されたもの。内部は、多くの画家達による宗教画、彫刻などで装飾されているが、その中では右側廊第3壇にあるドメニコ・ギルランダイオとその弟子達による「聖母と諸聖人」、ティントレットの「最後の晩餐」などの名画がある。また、ヤコポ・ダ・クエルチャの代表作「イラリア・デル・カレット」の墓碑がある。これは1408年に製作されたもので、横たわる女性はルッカの君主パオロ・グイニージの早逝した妻で、大理石を使った最高の傑作といわれている。

●サン・ミケーレ・インフォロ教会 San Michele in Foro
ピサ・ルッカスタイルのロマネスク様式の教会で、プッチーニの生家の近くにある。幼少の頃プッチーニはこの教会の聖歌隊の一員だった。1143年に着工され、14世紀まで建設が続いた。大理石製象眼細工の豪華な装飾を持つ4層の小開廊が、高いファサードを飾る。建物の頂上には大天使ミカエルの巨大な像がある。内部にはアンドレア・デッラ・ロッビアのテラコッタ製の「聖母子」「聖ルチ―ア」などがある。

●サン・フランチェスコ教会 San Francesco
1228年に起源をもつ教会で、17世紀に破壊され、20世紀の前半に再建された。内部にはフィレンツェ派の画家達によるフレスコ画が描かれている。左壁面には、ルッカの音楽家プッチーニの生誕100年の記念碑、ヴァイオリン二ストのジェミニアーニ、ルイジ・ボッケリー二の追悼碑などが嵌め込まれている。

●ボッケリー二の家 Casa Natale di L.Boccherini
Via Fillungo
チェロの歴史に大きく貢献し、幾多の名曲を残したルイジ・ボッケリー二Luigi Boccherini は、ウィーン、パリ、マドリッドなどで活躍した。彼の生家には彼の小さなブロンズ像と碑が掲げられている。下には金細工の店がある。

●カタラー二の家  Casa Natale di Catalani
Via San Giorgio
壁面に「1854年6月19日にカタラー二が生まれた」と記されている碑が掲げられている。 ウェーバーやワーグナーに心酔していたカタラー二は超自然的なかなわぬ恋に憧れ、「ラ・ワリー」「ローレライ」などの美しい作品を作曲した。彼の作曲したオペラ「エドメネア」の初演は1886年にカタラー二の熱心な信捧者であったトスカー二が、イタリアデビューの時に指揮した。

♪ トゥレ・デル・ラーゴのプッチー二音楽祭 ♪
1930年にジョヴァッキーノ・フォルザーノがプッチーニの偉業をたたえて始まった音楽祭で、最初に上演されたのは「ラ・ボエーム」で、指揮はピエトロ・マスカン二だった。その後戦争で一時中断したが、1949年から毎年開催され、今年2003年は49回目になる。ティト・ゴッビは、ここで「トスカ」に出演している。マリオ・デル・モナコ、パバロッティ、ドミゴなど名歌手も出演している。今年のプログラムが発表されているので紹介します。
7/25,8/02,09,14,17,21「ラ・ボエーム」、7/26,8/03,07「マダムバタフライ」7/27,8/01,10,23 「トゥーランドット」、8/08,16,22「マノン・レスコー」などがある。

◇インフォメーション
49 Festival Puccini
Piazzale Belvedere,4 55048 Torre del Lago Puccini(Lu)
Tel:(39)0584 350567 359322 Fax:(39)0584 350277
インターネット:www.puccinifestival.it
E-mail:info@puccinifestival.it

●プッチーニ邸 Villa Puccini 55048 Torre del Lago Puccini Tel:0584 341445
ルッカから約20キロの場所にマサチュッリコ湖があり、そこにプッチーニが、1884年から住んだ大きな家がある。内部は博物館になっていて、彼の使用したピアノ、交友のあったレハール、マラーなど音楽家の肖像画、プッチーニのデスマスク、手紙など。彼が猟で取った鴨などの剥製などがある銃の部屋、夫妻と息子アントニオの霊廟などがある。家の外壁にはプッチーニの死後5週間目に建てられた石碑があり、そこには「我らトゥレ・デル・ラーゴの住民は、作曲家ジャコモ・プッチーニ氏が住んだ家に敬意を、表してここに石碑を掲げる」と記されている。また家の外にはプッチーニの彫刻が立っている。

●ヴィアレッジョのプッチーニの家
プッチーニは、1921年末トゥレ・デル・ラーゴのヴィラ近くに出来た工場の騒音と悪臭から逃れる為にヴィアレッジョに移転する。この家は古代ギリシャの仮面と竪琴を表すレリーフが施されている美しい家で彼は大変お気に入りだったという。プッチーニは遺作のオペラ「トゥーランドット」をトゥレ・デル・ラーゴの家で、第2幕まで書き進んでいたが、この新しい家で残りを書いた。しかし第3幕の「リュの死」まで書いたところで、旅先のブリュッセルで喉頭にできた腫瘍のため1924年没した。


ルッカ,トゥレ・デル・ラーゴ・データ
(ルッカ県) − トスカーナ州

■プッチーニゆかりのカフェ、ホテル、レストラン
★Caffe Di Simo
Via Fillungo 58 55100 Lucca Tel:0583 496234
1846年創業のカフェ、ここを訪れた人にプッチーニ、彼のオペラの台本を書いたジャコーザ、マスカン二、カタラー二などの音楽家、文学者のパスコリ、ウンガレッティ、ジョヴァン二・ヴェルガなどがいた。
★Ristorante Buca di San Antonio
Via del Cervia 3 55100 Lucca Tel:0583 55881 Fax:0583 312199
1782年創業のルッカの伝統料理のレストラン。プッチーニの生家に近く、彼が訪れた。
他に映画監督のルキーノ・ヴィスコンティなどが訪れた。
★Principe di Piemonte
Piazza Giacomo Puccini 1 55049 Viareggio Tel:0584 50122 Fax:0584 54183 ヴィアレッジョのプッチー二邸の近くにある1922年創業のホテルで、プッチーニがよく訪れた。
★Grand Hotel e la Pace
Via della Torretta 3 51016 Montecatini Terme Tel:0572 9240 Fax:0572 78451 1870年創業のホテルで、ヴェルディ、プッチーニ、ジョルダーノなどが宿泊した。

■お薦めホテル
★Hotel Rex ルッカの駅に近く、3ツ星だが便利で快適なホテル
Piazza Ricasoli 19 Lucca Tel:0583 955443 Fax:0583 954348
★Hotel Universo ジーリオ劇場の広場を挟んだ向かいにある3ツ星ホテル
Piazza del del Giglio 1 Lucca Tel:0583 493678 Fax:0583 954854
★Piccolo Hotel Puccini プッチーニの生家の近くにある小さなホテル
Via di Poggio 9 Lucca Tel:0583 55421 Fax:0583 53487
★San Martino ドゥオーモの近くのホテルで、施設は新しい。
Via della Dogna 9 Lucca Tel:0583 469181 Fax:0583 991940
★Locanda l'Elisa 郊外にあるロマンティックなホテル
Via Nuova per Pisa Lucca Tel:0583 379737 Fax:0583 379019
★Excelsior ヴィアレッジョにある4ツ星ホテル
Viale Carducci 88 Viareggio Tel:0584 50726 Fax:0584 50729

■お薦めレストラン
★Puccini プッチーニの生家の前にあるレストラン
Corte San Lorenzo 1 Lucca Tel:0583 316116 Fax:0583 316031
★Antica Locanda dell'Angelo 伝統的なルッカ料理が味わえる
Via Pescheria 21 Lucca 0583 467711 Fax:0583 495445
★La Mora ルッカら9キロ郊外にある素晴らしいレストラン。私の超お薦め。
Via Sesto di Moriano 1748 Tel:0583 406402 Fax:0583 406135
★Romano 魚料理が美味しいレストラン
Via Mazzini 120 Viareggio Tel:0584 31382 Fax:0583 0584 426448
★Trattoria al Porto 海岸沿いにある魚介専門のレストラン
Via Coppino 118 Viareggio Tel:0584 383878
★Gran Caffe Margheritaプッチーニ、トスカニーニなどが来たという。
Viale Marcherita 30 55049 Viareggio Tel:0584 962553
★Butterfly マサチュッリ湖に近く、魚介料理。10部屋があり、宿泊可能。
Belvedere Puccini 24/26 55048 Torre del Lago Puccini
Tel:0584 341024 Fax:0584 352006




著者プロフィール

牧野宣彦(まきののぶひこ)


早大卒。1974年、旅行会社にて日本初のニューイヤー、スカラ座オペラツァーを企画。その後コンピュータ会社を経て、1998年よりイタリアに住み、現在ボローニャ在住。フリーのトラベルライターとして、イタリアの旅行、音楽、グルメ関係の執筆、写真撮影を行う。
著書
「イタリアのべストラン」(透土社):トスカーナとイタリアのベストレストラン、ワイナリーなどを紹介。イタリア料理の人気の秘密をフランス料理と比較して解説。「イタリア歴史的ホテル・レストラン・カフェ」(三修社):イタリア各地の歴史的な面白い場所を203箇所紹介。イタリアで一番面白いガイドブック。「イタリアオペラツァー」(あんず堂):イタリア30都市でのオペラ体験紀行。音楽史跡、劇場、博物館、オペラを聞くために便利なホテル、レストランなど面白い情報を紹介。

 





読み物・エッセイ バックナンバー イタリア 音楽の旅
このページのトップへHOME PAGEへ


 
http://www.japanitalytravel.com
©  JAPANITALY.COM srl - MILANO 2000 All rights reserved.