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イタリア建築行脚へのINVITO
 
15 marzo 2005

第6回 「サヴォイア家の居城から現代美術館に
/カステッロ・ディ・リヴォリ現代美術館」






柳沢伸也&柳沢陽子


●不運な運命に置かれたサヴォイア家の城
歴史ある古い城の室内で,現代アートと向かい合う静かで優雅なひととき。
トリノから西へ約10qのリヴォリには,古い城を現代アートの美術館に再生したカステッロ・ディ・リヴォリ現代美術館がある。美術館の前身は,サヴォイア公爵の居城のひとつであった。17世紀,リヴォリに生まれたカルロ・エマニュエレ1世は,中世の城塞跡に,巨大な居城を建設することを命じた。1693年,戦争で一部破壊されたことを受け,宮廷建築家フィリッポ・ユヴァーラが,修復と共に,当代随一の宮廷にする計画案を作り上げた。しかし,度重なる侵略のため,計画は頓挫してしまう。結局,居城としてほとんど使用されないまま打ち捨てられ,軍用施設,馬小屋,廃車場など,長い間,不運な運命に置かれていた城に,再び脚光が当たったのは,20世紀半ばのことである。長い検討の末,歴史的建造物は,現代美術館として新しい使命を担うことになった。

●歴史の厚みのある美術館
入口の門をくぐると,左右それぞれに大きな建物が二つ見える。左側はサヴォイア家の居城,右側は付随する私設ギャラリーとして建てられた幅7m,長さ140mの細長い建物だ。17世紀のユヴァーラの計画では,居城とギャラリーを連結させる予定だったのだが,工事が中断されたためそのままになってしまった。途中までつくられた柱の断片から,建設予定だったエントランス・ホールがいかに壮大なものだったか想像できる。
現代美術館への再生を指揮したのは,建築家アンドレア・ブルーノ。彼の基本方針は,未完の状態の居城とギャラリーをそのまま保存し,新築部分は過去の遺産とはっきり区別することだった。

 (写真撮影:柳沢陽子)


その結果,ばっさりと切り落とされたような建物は,ほぼそのまま保存され,開口はガラスでそっとふさがれた。機能上,新しく設ける必要があった階段は,上部から吊り下げる鉄骨構造とし,どっしりとしたオリジナルの石の階段とは対照的な軽やかなデザインで区別している。歴史的な石とレンガ積みの建物に,鉄やガラスといった現代的な材料を絶妙なさじ加減で挿入する手法は,新旧の歴史をより際だたせ,かえって歴史の厚みを浮かび上がらせることに成功している。

●歴史的空間の中で浮かび上がる現代アート
城の内部は,サヴォイア家公爵の旧居城らしく,天井の高い美しく豊かな空間が並んでいる。床には大理石のモザイク,壁にはフレスコ画が残る部屋に,絵画,彫刻,立体造形,写真など様々な表現の現代アートがゆったりと展示されている。
現代アートと歴史ある空間が対話をし,時にはぶつかり合う。真っ白い無機質な展示室に置かれた時とは,また異なる表情を見せているようだ。芸術を堪能した後には,山の上の眺望を生かした,見晴らしの良いカフェやレストランも用意されている。時には歴史と芸術に触れながら,一日をゆっくりと静かに過ごすのも,ぜいたくな時間の過ごし方だ。


 
データ
Dati

■ アクセス
バス:トリノより・36番のバス(ポルタ・スーザ駅前より出発)30〜40分

■ データ
カステッロ・ディ・リヴォリ現代美術館
Castello di Rivoli Museo d’Arte Contemporanea
所在地: Piazza Mafalda di Savoia −10098 Rivoli (Torino)
公開時間: 火〜木 10:00〜17:00,金〜日 10:00〜21:00
(月,1/1,5/1,12/25は休)
電話:+39(国番号)+011-9565222
e-mail:info@castellodirivoli.org

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【著者プロフィール】

柳沢伸也(やなぎさわしんや)&柳沢陽子(やなぎさわ ようこ)

 

ミラノを拠点に、建築設計、建築・都市研究を行う。共に一級建築士。二人三脚で、各地を飛び回っている。自身のHP「イタリア建築通信」(http://www010.upp.so-net.ne.jp/architurismo/)で、建築行脚をレポート中。

  柳沢伸也:大手設計事務所勤務後、妻と共に独立を決意。趣味の剣道を通じ、イタリアでも文化交流を行っている。

柳沢陽子:地方自治体勤務後、夫と共に独立を決意。建築行脚が、いつのまにか食べ歩きの旅になっていることも。


     

 



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