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5 July 2001


第10回  〜 ローマ Roma 〜

林 直美



photo
ナヴォーナ広場



「すべての道はローマにつづく」というけれど、イタリアの映画も、チネチッタのあるローマと切り離せないものが多い。われわれもそろそろ北イタリアを脱出し、イタリアのおへそ、イタリア映画のおへそ、永遠の都ローマへ向かおう。

さて、日本からローマに直行すると、フィウミチーノ空港に降り立つ。フィウミチーノ空港からローマ市内へは、ピラミデ駅までの路線が開通する以前は、直通のリムジンバスがテルミニ駅まで走っていた。テルミニ駅とはつまり終着駅。ヴィットリオ・デ・シーカVittorio De Sica監督『終着駅Stazione Termini』(1953)は、終始この駅が舞台である。
ジェニファー・ジョーンズとモンゴメリー・クリフトという二人のハリウッド俳優が、逢いびきの場所を求めて、最初から最後までテルミニ駅をうろうろするだけの映画である。....しかしなんでまたこの人たちが、こんなところで、と思わずにいられない。デ・シーカは、前作の『ウンベルト・D』が売れなくて、ハリウッド俳優を使うことを余儀なくされたようである。

アメリカ人のちゃんとした主婦と教授がローマ駅で不倫の場所を求めてさまよい歩くこの作品は、当時のネオレアリズムの風潮のなかでは評判が悪かったようだが、すばらしいネオレアリズム作品である前作よりはよほど売れた。しかし、これはこれで、そんなに捨てたものではない。逢いびきする二人の状況は『逢いびきBrief encounter』(David Lean 1945)とさしてかわらないし、最後に女性のほうがやはり一線を越えられずに悲しい別れとなるところまで一緒であるが、あれほどすっきりしていない。テルミニ駅の雑踏と胡散臭さが、かなり真実味を帯びて伝わってくる。要するに、ふつうにそこらにいるへんな人がいっぱい出てくるのである。その中で、この二人のアメリカ人はいかにもちぐはぐで、ふと、初めてテルミニ駅の雑踏で右も左もわからなかった頃の自分とオーバーラップし、思わずせつなくなった....こういうオーバーラップのしかたもあるという話である。

テルミニ駅はしかし、私だけではなかろうが、ローマで好きな場所のひとつであるわけではない。ローマで私が一番好きな場所(のひとつ)は、ナヴォーナ広場Piazza Navonaである。
ナヴォーナ広場が見わたせる映画といえば、同じデ・シーカ監督の3話からなる『昨日・今日・明日Ieri, oggi, domani』(1963)の「明日」のエピソードである。この映画はとくに新しいものは何もないが、どれもべたべたの典型的な話であるがゆえに興行的には大変売れた。昨日でナポリ、今日でミラノ、明日でローマを舞台にしたこの作品は、イタリア人以外の人々には、おおざっぱに言ってしまうと、イタリア社会というかイタリア的精神性みたいなものの簡単な入門書みたいなところもある。マストロヤンニの演技力にかなりささえられているこの作品は、しかし、元気がいいし、単純に笑えて、私はけっこう好きな映画のひとつである。

この第3話は、暗いテルミニ駅でのまじめなアメリカ人たちの成就しない恋とはうってかわって、日当たりのいい話である。陽気なローマの娼婦と、それに恋するくそまじめな神学生と、娼婦の客のロリータ趣味のあるどこかの御曹司のドタバタ喜劇。
娼婦マーラ(ソフィア・ローレン)がタオルを体にまきつけて、つっかけをからからいわせて、「ペルケ・ペルケー、ラ・ドメニカ、ミ・ラッシ・センプレ・ソーラ....(どうして、どうして、日曜日はいつも私をひとりにするの....)」と歌いながら、花に水をやりにテラスに出てきたところを、となりのまじめな神学生がひとめ見て、恋をしてしまう....

この映画を見てから、ナヴォーナ広場に行くたびに、どこか見晴らしのいい手ごろなアパートはないだろうかと、ふと周りの建物の屋上を見わたすようになったのは....私だけかもしれないけれど。



著者プロフィール

林 直美(はやし なおみ)
大阪市出身。東京大学南欧文学科博士課程修了。フレーベル館から児童書の翻訳(伊・英・仏語)多数。ピエモンテ州ゲンメGhemme在住。


 





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