20 Giugno 2002
第10回 パスティチェリア・チャールストン・マッザーラ
Pasticceria Charleston-Mazzara
〜パレルモ Palermo 創業1911年〜
牧野 宣彦
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「ランペドゥーザが『山猫』を執筆したカフェ」
パレルモの由来は、紀元前8世紀にこの場所が適した港である事を発見したフェニキア人が、ギリシャ語で「港全体」を意味するパノルモスPanormosと呼んだ事に由来する。その後ノルマン、アラブ、オーストリア、ブルボンなど他国の支配が続き、それらの文化を反映した街並みが随所に見られる。現在街の中心であるルッジェロ7世広場Piazza Ruggero SettimoにあるアルメイダAlmeidaの設計で建設されたポリテアーマ・ガリバルディ大劇場 Teatro Politeama Garibaldi からルッジェロ7世通り Via Ruggero Settimo はパレルモ一賑やかな商店街になっていて、1897年に完成したヨーロッパ最大のオペラハウス、テアトロ・マッシモ Teatro Massimo あたりまで続いている。その途中にウンゲリア広場 Piazza Ungheria があり、パスティチェリア・チャールストン・マッザーラはその一角にある。カフェ、パスティチェリアとして1911年に創業。1967年からレストランも始めたが、数年前にレストランだけ近郊の海岸モンデッロへ移転した。
店内に入ると、天井には紫や黄色の花を描いたステンドグラスがあり、後ろから蛍光燈で照らされ、とても美しい。インテリアはアール・ヌーヴォーで、優雅で繊細な雰囲気が店内を包んでいる。壁には淡い色で描かれた女性の裸体画、景色、闘牛を描いた絵、メルヘン調の絵画などが数枚飾られている。この建物を建設したのは、テアトロ・マッシモ、パレルモ唯一の5ッ星のホテル、ヴィッラ・イジア Grand Hotel Villa Igia などパレルモの主要な建物を手がけたエルネスト・バジーレ Ernesto Basile だった。店内のガラスケースには色々な種類のチョコレート、ケーキ、菓子パンなどが並べられ、何を選んでよいか分からない程どれも美味しそうにみえた。苺、人参、無花果、レモン、オレンジ梨などをかたどったシチリア名物のマルトラーナ Martorana が並べられ、視覚的にも美しい。ここではパレルモ一美味しいパスティチェリアが味わえると評判である。奥には座って、飲み物が味わえる心地よい場所がある。
このカフェを訪れた人に作家のトマージ・ディ・ランペドゥーザ Tomasi di Lampedusa(1896-1957)がいる。彼はチャールストン・マッザーラのジャスミンとシナモンの香りの中で、小説『山猫 Gattopardo』の一部を執筆した。この小説は、ガリバルディの率いた義勇軍の侵攻によって、滅び去る旧世界を明晰な諦観で見守る老侯爵の姿を描いた歴史小説で、1960年代欧米で最も注目を浴びた小説だった。後にルキーノ・ヴィスコンティ Luchino Visconti が映画化し、日本でもヒットした作品だ。他にここを訪れた人にはアンドレオッティ、ぺルティーニなどのイタリア政界の大物がいる。
アイスクリームも充実していて、シチリア名物のカッサータ・カフェ、レモン、ヨーグルトなどがあり、私もアーモンドのアイスクリームを味わってみた。すでに夏のように暑いパレルモ。甘さと爽やかな味わいが口いっぱいに広がり、他のシャーベットなもど食べたくなった。
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店名:Pasticceria Charleston-Mazzara (パスティチェリア・チャールストン・マッザーラ)
住所:Piazzale Ungheria 28/34 90141 Palermo
電話:(国番号39)091‐321366
定休日:無し 営業時間:07:00−21:30
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著者プロフィール
牧野宣彦(まきののぶひこ)
早大卒。1974年、旅行会社にて日本初のニューイヤー、スカラ座オペラツァーを企画。その後コンピュータ会社を経て、1998年よりイタリアに住み、現在ボローニャ在住。フリーのトラベルライターとして、イタリアの旅行、音楽、グルメ関係の執筆、写真撮影を行う。
<著書>
「イタリアのべストラン」(透土社):トスカーナとイタリアのベストレストラン、ワイナリーなどを紹介。イタリア料理の人気の秘密をフランス料理と比較して解説。
「イタリア歴史的ホテル・レストラン・カフェ」(三修社):イタリア各地の歴史的な面白い場所を203箇所紹介。イタリアで一番面白いガイドブック。
「イタリアオペラツァー」(あんず堂):イタリア30都市でのオペラ体験紀行。音楽史跡、劇場、博物館、オペラを聞くために便利なホテル、レストランなど面白い情報を紹介。
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