20 November 2001
第3回 カフェ・ウッセロ Caffè Ussero 〜 ピサ Pisa 創業1794年 〜
牧野 宣彦
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「ピサ大学の学生たちに愛されているカフェ」
ローマ時代から海軍基地として発達したピサは、海洋王国として栄え、その繁栄は12世紀に黄金時代を迎える。有名なピサの斜塔(鐘楼)Campanileもこの頃、1173年に着工された(完成は14世紀後半)。1284年のメロリアMeloriaの海戦で、ピサは宿敵ジェノヴァGenovaに敗れ衰退し
て行く。しかし、政治・経済は衰退しても、芸術・文化は花が開き、ピサ大学もこの時代に創立。同大学で学んだ者の中では、後世教授となったガリレオ・ガリレイGalileo Galileiが最も有名だが、他にも多くの優れた人材を世に送り出している。
そのピサ大学の学生たちが通ったカフェが、アルノ川沿いのレンガ色の古い舘パラッツォ・アゴスティー二Palazzo Agostiniにある、カフェ・ウッセロ。1794年の創業だ。店内に入ると右側がカウンターになっていて、ガラスケースには生ハムのパニーノ、ツナのサンドウィッチ、リンゴのタルト、チョコレートのクッキー、フォカッチャ、菓子パンなどが並んでいる。壁にはこのカフェを訪れた著名人の肖像画が飾られてあり、正面にはアルノ川周辺の景色を単色で描いた大きな絵が飾られている。奥の部屋は明るいサロンで、壁には1794年
創業当時の手書きの契約書、このカフェに関係のある古い新聞、著名な人達の新聞記事などが飾られ、ウッセロの200年以上の歴史が忍ばれる。
その長い歴史の中では、一時このカフェがピサで初の映画館になったり、1839年にはイタリアで最初の科学者会議が開催されたりしている。ウッセロを訪れた人には、有名な「ピサについての想い出」を書いたジュゼッペ・ジュスティGiuseppe Giusti、イタリア人で初めてノーベル賞を受賞した詩人のレナート・フチーニRenato Fucini、無線電信の発明者グリエルモ・マルコーニGulielmo Marconi、原子物理学者でノーベル賞受賞者エンリコ・フェルミEnrico Fermi、イタリア統一の英雄ジュゼッペ・マッツィーニGiuseppe Mazzini、大詩人レオパルディLeopardiの妹パオリーナ・レオパルディPaolina Leopardi、歌手のレナータ・テバルディRenata Tebaldiなどなど。イギリスの作家ジョン・ラスキンJohn Ruskinは、ウッセロの紋章の事を詩に書いている。他にも、元イタリア大統領のジョヴァンニ・グロンキGiovanni Gronchi、現在の大統領カルロ・アゼリオ・チャンピCarlo Azeglio Ciampiなどがいる。
飲み物は一般的なカフェは勿論だが、店の名物はミルク・フラッペ。 バナナ、パイナップル、苺、チョコレート、ヨーグルトなどのミルクシェークや、ビール、ウィスキーなどのアルコール類もあわせて、なんと34種類の飲み物がある。私が味わったマチェドニアのシェークも新鮮な果物の香りとミルクが溶け合い、甘さも程よく、量もたっぷりでとても美味しい飲み物に仕上がっていた。
このカフェを運営しているのはタルチジオ・ブロンテTarcisio Bronteさんと彼の奥さん。2人の暖かい人柄は、伝統のカフェをいつもアット・ホームな雰囲気にいしている。
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店名:Caffè Ussero (カフェ・ウッセロ)
住所:Palazzo Agostini Lungarno Pacinotti 27 - 56100 Pisa
電話:(国番号39)050-581100
定休日:土曜日
営業時間:7:30−21:00
アクセス:ピサ中央駅から徒歩15分。
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著者プロフィール
牧野宣彦(まきののぶひこ)
早大卒。1974年、旅行会社にて日本初のニューイヤー、スカラ座オペラツァーを企画。その後コンピュータ会社を経て、1998年よりイタリアに住み、現在ボローニャ在住。フリーのトラベルライターとして、イタリアの旅行、音楽、グルメ関係の執筆、写真撮影を行う。
<著書>
「イタリアのべストラン」(透土社):トスカーナとイタリアのベストレストラン、ワイナリーなどを紹介。イタリア料理の人気の秘密をフランス料理と比較して解説。
「イタリア歴史的ホテル・レストラン・カフェ」(三修社):イタリア各地の歴史的な面白い場所を203箇所紹介。イタリアで一番面白いガイドブック。
「イタリアオペラツァー」(あんず堂):イタリア30都市でのオペラ体験紀行。音楽史跡、劇場、博物館、オペラを聞くために便利なホテル、レストランなど面白い情報を紹介。
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