20 September 2001
第1回 アンティーコ・カフェ・ディ・シーモ Antico Caffè Di Simo 〜 ルッカ Lucca 創業1846年 〜
牧野 宣彦
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「プッチーニら19世紀の文化人が訪れたカフェ」
16〜17世紀に建設された城壁に囲まれた街ルッカは、中世の面影を色濃く残している。高さ12メートルの城壁の上は並木道になっていて、涼しい木蔭を散歩しながら街のパノラマが楽しめる。ルッカは19世紀初頭ナポレオンの妹エリーザ・ボナパルトElisa Bonaparteに支配され、レハールLeharの作曲したオペレッタ「パガニーニ Paganini」の舞台となった街であり、音楽家とゆかりが深い。
ルッカ出身の音楽家では18世紀を代表するチェロ奏者で美しいチェロ協奏曲を残しているルイージ・ボッケリーニLuigi Boccherini(1743-1805)、オペラ「ヴァリーLa Wally」を作曲したアルフレード・カタラーニAlfredo Catalani(1854-1893)などがいるが、なんといっても、オペラ史上屈指の作曲家ジャコモ・プッチーニGiacomo Puccini(1858-1924)の生まれた街である。彼の家は代々が音楽家で、彼の祖父も美しいオペラを残している。
カフェ・ディ・シーモはプッチーニが幼少の頃聖歌隊に参加したサン・ミケーレ・イン・フォロ教会Chiesa San Michele in Foroのあるサン・ミケーレ広場Piazza S. Micheleのひとつ裏のフィッルンゴ通りVia Fillungoにあり、この通りにはボッケリー二の生まれた家などもある。正面入口を入ると左側はケーキなどがガラスケースに展示されている。チョコレート、クリーム、フルーツケーキなど種類も豊富。右側は、色々な飲み物が味わえるカウンターになっている。
店の中央に碑があり、この店の歴史的いわれが書かれている。内部はかなり広く、壁には古いルッカの街を描いた絵やプッチーニの肖像画などが飾られている。まろやかなカプチーノを飲み、チョコレートケーキを食べていると、そこはかとなくプッチーニのオペラ「トゥーランドット」の甘い旋律が聞こえてくる。時間がゆっくり流れ、寛ぐという事は、こういう状態をいうのかなと思う程、リラックス出来、心が癒されるのを感ずる。
1846年、カフェ・カゼッリCaffe Caselliとして創業されたこのカフェは、1932年にオーナーがジュリオ・シーモGiulio Simoに代わり、それ以来ディ・シーモと呼ばれている。19世紀にはルッカの文化人達が集まる場所として、音楽家ではプッチーニ、カタラーニ、マスカーニMascagni、文学者ではプッチーニのオペラの台本を書いたジャコーザGiacosa、パスコリPascoli、カルドゥッチCarducci、ヴェルガVerga、クワジーモドQuasimodo、ウンガレッティUngarettiなど、錚々たる顔ぶれが訪れた。また 外国人ではフランスアカデミーのダニエル・ロプスDaniel Rops、ジョルジュ・デュアメルGeorge Duhamelなどが訪れている。
創業以来150年以上経過しているが、内装は古きよき時代の雰囲気を残し、アンティークな調度品で飾られている。このカフェでは色々な種類のカクテル、新鮮な飲み物の他、ちょっとお年をめされたマダムが用意するかぐわしいケーキ、そして美味しいアイスクリームも味わえる。
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店名:Antico Caffe Di Simo (アンティーコ・カフェ・ディ・シーモ)
住所:Via Fillungo 58, 55100 Lucca
電話番号:(国番号39)0583 496234
営業時間:7:30〜23:30
定休日:月曜日
アクセス:ルッカの駅から徒歩20分。
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著者プロフィール
牧野宣彦(まきののぶひこ)
早大卒。1974年、旅行会社にて日本初のニューイヤー、スカラ座オペラツァーを企画。その後コンピュータ会社を経て、1998年よりイタリアに住み、現在ボローニャ在住。フリーのトラベルライターとして、イタリアの旅行、音楽、グルメ関係の執筆、写真撮影を行う。
<著書>
「イタリアのべストラン」(透土社):トスカーナとイタリアのベストレストラン、ワイナリーなどを紹介。イタリア料理の人気の秘密をフランス料理と比較して解説。
「イタリア歴史的ホテル・レストラン・カフェ」(三修社):イタリア各地の歴史的な面白い場所を203箇所紹介。イタリアで一番面白いガイドブック。
「イタリアオペラツァー」(あんず堂):イタリア30都市でのオペラ体験紀行。音楽史跡、劇場、博物館、オペラを聞くために便利なホテル、レストランなど面白い情報を紹介。
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