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3 May 2001
第七回 ミラノの煮込み料理を楽しむ
ロンバルディア州 ミラノ
Lombardia - Milano
筆者の住む街ミラノ。80年代から新しいスタイルのイタリア料理の嵐が吹き荒れたり、他の都市に先駆けてエスニック料理の店なども次々にオープンするなど、常にイタリアの"外食"をリードしてきた土壌だ。最近では、和食ブームもすさまじい。しかしそう言った目新しさや、変わっていく流行のなかで、淡々と昔ながらの料理を出しつづけている店もまだまだある。ミラノの、"ブレーラ地区Zona Brera"と一般に呼ばれる区域にある、ガリバルディ通りCorso Garibaldi。ここはオステリーアOsteriaと呼ばれる居酒屋風食堂なども健在な地域だ。その一角のトラットリーア・ラ・マタレルTrattoria La Matarelを訪れた。
1950年創業当時は、ミラノでは「オープンしたら必ず当たる」と言われたトスカーナ料理の店だったそうだ。(伝統的にミラノの人はトスカーナ料理が大好きといわれている。)その後、70年代に創業オーナーの娘婿であるマルコ・コミーニMarco Comini氏が采配をとるようになってから、徐々にマントヴァMantova地方の料理やロンバルディア州、ミラノなどの料理を出すようになった。語り口の柔らかい氏からは、「一人息子がいてここで少し働いたが、使えないからたたき出した」という過去は想像もつかないが、「おいしいものは、どんなにいじったところで昔ながらのものにたどりつく」という強い信念のようなものを感じさせる。
オッソブーコOssobuco(牛脛肉の煮込み料理)やミラノ風カツレツCotoletta milaneseも結構ですが、もうちょっと面白いものをと相談し、猪の煮込みソースのタリアテッレTagliatelle con cinghialeを頼む。実はこれは伝統的郷土料理というと多少ルール違反かもしれない。イタリアではそもそも猪と言うとトスカーナやラツィオ州、カラブリア州などのレシピに登場するものだ。もちろん北部イタリアでも飼育されるようになってから半世紀以上経っているらしいし、イタリア全国の専門店で年中見つけることができる。ローストもよし、煮込んでもよし。ただ比較的個性の強い味わいだけに、一般的に各種強めの香辛料がともなわれることが多い。当店のレシピにはジェニパーベリーやクローブ(丁子)、セージにローズマリーと使用されている。まっ白に近い手打ちパスタのタリアテッレに濃厚にソースが絡まる。店名の"マタレル"は、パスタを伸ばすあの棒"マタレッロ"の方言。厨房をしきる先代の娘でもある奥様エリデElideさんが毎朝打つ。
ワインだが、「政治家や、芸能人がお忍びで来る時も皆これを飲んでるよ。」というオルトレポー・パヴェーゼOltrepò paveseの赤。いわゆる偉大なるワインでも何でもないが、パヴィアPaviaを中心とする地域一帯で作られているロンバルディア州の誇る代表的ワインの一つである。バルベーラ種が主体で、肉料理一般にあわせやすい。このワインを飲んでいて、逆に、「これに合うセコンド・ピアット(メイン料理)にしましょう。」という運びになり、外の陽気とはうらはらに、こてこてのミラノ料理を注文したのであった。
やってきたのはCassöeula meneghina「"カスゥェーラ"・メネギーナ」とでも書くしか無い、ミラノ方言のタイトルのついた料理。一般にいうところのカッセルオーラCasseruolaで、これはそもそも煮込みに使う鍋の名前である。ちなみにメネギーナというのは、「ミラノの」と言う意味の方言で、ミラネーゼの意だ。仮面劇の登場人物メネギーノMeneghinoに由来する。豚皮や豚足、サラミなどが豪快にキャベツとともに煮込んである。白ワインや塩コショウのほかには殆ど他の材料は入っていない。肉は骨にかろうじてつながっているが、ちょいとつつくといとも簡単にはずれる。普通サイズの胃の方なら、前菜やパスタ類抜きで、直接これだけを召し上がって頂いてよいだろう。オルトレポー・パヴェーゼも調子よく、どんどん無くなっていくのであった。
さて、豚とキャベツの煮込み料理は、多少の差はあれこのカッセルオーラの名前がついて、シチリアやサルデーニャを含めてイタリア全国で見つけることができるものである。地方によって多少作り方や材料に変化があるが、豚とキャベツの基本は変わらない。将来何かの機会があれば、イタリア縦断カッセルオーラ食べ歩きなどを行ってみたいものだ。胃袋がまだまだ健在のうちにとは思っている。
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スフォルツァ城からも近い
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猪ソースのタリアテッレ
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オルトレポー・パヴェーゼ
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これで一人前のCassöeula
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伝統的なタルト各種
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ガリバルディ通りからすぐ
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店名: トラットリア・アル・マタレル
Trattoria Al Matarel
住所:Via L.S.Mantegazza 2 (angolo Corso Garibardi) Milano (Corso Garibardiからすぐ。)
電話番号:(国番号39)02-654204
休日:火曜日。水曜日は夜のみ営業
アクセス
最寄の地下鉄は緑の線モスコーヴァMoscova駅。徒歩5分。
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著者プロフィール
R.Tokimatsu
元ミラノ在住ビジネスアドバイザー
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http://www.japanitalytravel.com
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