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30 November 2000
第二回 ピアチェンツァの片田舎で
エミリアロマーニャ州ピアチェンツァ県
フィオレンツオーラ・ダルダFiorenzuola d'Arda
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毎日1時間かけてミラノへ通勤している友人からの誘いだった。彼の住んでいる街の近くに昔ながらの料理を出してくれる店があるということで、家族の団欒の中に私も参加させて頂くことになった。
このフィオレンツオーラは方角的にはミラノMilanoの南東、ロンバルディアLombardia州との境になるエミリアロマーニャEmilia-Romagna州ピアチェンツァPiacenzaのすこし先にある。もっと進むとパルマParmaがある。すぐ北のポー川Fume Poの向こう側がクレモナCremonaだ。兎にも角にもこの州は農業が盛んで食材あり、そして機械産業他工業ありとイタリア中でもっともバランスのとれた裕福な地域でもある。
そのフィオレンツオーラへはミラノから高速道路に乗ってしまえば,1時間程度であっという間についてしまう。インターチェンジを出てからは暫く南へ向かって進むのだが、両サイドは延々と畑である。どんなものを作っているかというと、ビーツやとうもろこし、大豆ほか豆類などいうこと。
店は満員だった。このあたり真っ暗の畑の真中へ、どこから集まってくるのだろうと不思議である。私以外はもちろん全員イタリア人、というよりは土地の人たちだった。殆どが4人以上の家族連れで小さい子供たちも混ざっている。アットホームなトラットリアだ。ミラノではあまりないことだが、子供達は東洋人がこんなところに来るのが不思議なのか何度も見ている。ほんの1時間とは言え、ここは田舎であることを実感する。
サン・プロターゾSan Protasoは現在、5年前に買ったというボッカリーニ家が経営している。とは言え
店としての歴史は1886年まで遡るという。ステファノ氏が接客を、奥様のガブリエラさんがシェフを担当する。どこにでもあるトラットリア風の造りだが、どこか確かに歴史を感じさせる。
いろいろと話をしている間に友人家族は「あれ、いつものあれを。」と頼んでいたが、それで運ばれてきたのがサラミ類の盛り合わせである。写真のものはピアチェンツァのサラミと、パルマの生ハム、クラテッロと呼ばれるこれも生ハムの一種である。他豚の肩肉のサラミ、ラードの燻製など。これをカルタ・パリアと呼ばれる画用紙にサランラップがくっついたような紙にとって食べる。今はお客さんを喜ばせるために特別注文してつくってもらっているそうだ。付け合せには野菜、キノコ類の酢漬け類でやはりこのあたりの定番である。
さて、このサラミ、ハム類を揚げたてのキソリーニChisolini(エミリア・ロマーニャ州各地で又呼び名の違う。クレシェンティーネ、ニョッコ・フリット、トルタ・フリッタなど)と呼ばれる小さい揚げパンにのせて食べる。本当にアツアツに燻製のラードのスライスを載せると口の中で溶けて大変おいしい。ほんの一口サイズ。これを子供のころ何個食べられるか兄弟で競うらしい。
このクラテッロという生ハムは聞きなれないかもしれない。通常の生ハムは豚の腿全体を使うがクラテッロは付け根に近い後ろ側の部分のみを使用する。肉質が最高な部分であることはもちろん、量的にも限りがあるから値段は高めである。(もちろん北イタリアの多くの肉屋で買える。)地域的にはエミリア街道とポー側の間の狭い地域で作られている。クレモナに近いジベッロZibelloのものが特に知られる。
この地方はヴェルディVerdiの生まれ故郷であるブッセートBussetoがあることからバッサ・ヴェルディアーナBassa Verdianaとも呼ばれるそうである。現在ではイタリア中どこでも近代的な設備でハム、サラミ類は造られるのが普通であるが、昔は外の風にあてて乾燥、熟成させており、その際にこの地方の風、気温、そして湿度が素晴らしい製品を作り出すのに大いに力を発揮したという。
現地の方々が普段食べているもの、飲んでいるものを黙っていても選んで注文してくれる今回は、非常に好都合であった。ワインは誰かが注文したか、しないか、コッリ・ピアチェンティーニColli Piacentiniの赤、グットゥルニオGutturnioが運ばれてきた。フリッツァンテFrizzante、つまり発泡性のものである。ご存知の方も多いと思うが、この地方一体の赤ワインは発泡性のものがとにかく多い。あまり偉大なワインと呼ばれるものは多い地域では無いが、とにかくこの地域のサラミ類や、豚を使った脂とゼラチンたっぷりのこってり料理にあわせるのはもうフリッツァンテしかない、ということらしい。
友人家族は「昔からこれしか飲んでないから。」というそっけないお答えではあったがそれはまさにその通りなのだろう。因みにコッリ・ピアチェンティーニはDOC(統制原産地呼称)を受けており、グットゥルニオはバルベラ種の赤。熟成についてはいろいろあるが、今回飲んだものは99年もの。少し甘さもあり、何より爽快感がある。
やはりメインは定番の湯で肉盛り合わせBollito Misto。今回は牛肉、鳥、そしてコテッキーノCotecchinoとよばれる豚肉、豚脂などたっぷりの詰めもの。寒い時期体を温めるには十分過ぎる。
この料理にかかせないがモスタルダMostarda。果物をシロップと洋白からしで煮たもの。つまり甘く、そしてピリッとくる。このモスタルダ、以前はどこの家庭でもそれぞれの方法で造っていたという。これはやはりクレモナのものが有名である。今回は洋ナシ、サクランボ、イチジク、アンズなどなど。使う果物はなんでも構わない。かぼちゃなどでもできる。ちょびちょびモスタルダを切りながら、交互に肉を口へ運び、グットゥルニオで時折のどを潤わす。なんとも言えない絶妙の組み合わせである。
お店のほかの年配客同士の会話は、土地の言葉で私には全くと言って良いほどわからなかった。少し離れたところにすんでいる私の友人達(ほんの20kmほど)にもお互い理解不能な方言もあるそうだ。
ともあれ、イタリアの郷土料理を土地の人々に混ざってゆっくり楽しむ良い機会となった。
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1886年当時からの建物
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グットゥルニオGutturnio
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サラミ各種
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カルタ・パリアの上で
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ニョッキに似た手打ちパスタの一種。 「Pisarei e faso'」
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湯で肉盛合せとモスタルダ
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店名: アンティカ・トラットリア・サン・プロターゾ Antica Trattoria San Protaso
住所: Via Chiesa,47 S.Protaso Fiorenzuola d'Arda
電話番号: (国番号39) 0523 944053
予約: ランチ、ディナーとも予約が好ましい。
営業時間: ランチ12:00〜15:00、ディナー19:00〜22:00
休日: 月曜、火曜 (年に何度かまとまって休むため、電話で確認したい。)
予算の目安: 40,000リラから60,000リラ(飲み物別)
アクセス
(ミラノから電車利用)
ミラノ中央駅Milano CentraleからボローニャBologna方面へ向かいピアチェンツァで鈍行乗り換え。フィオレンツォラFiorenzuola下車。駅前からタクシー。(土日はタクシーが全くいないので注意。)
(車利用)
ミラノから高速道路A1でボローニャ方面へ。Fiorenzuolaで下りて南へ8キロ程。
その他アドバイス
揚げパンのキソリーニChisoliniは夜のみ。
電車の本数も多くなく、又駅からの手段はタクシーのみ。特に週末は不便。 レンタカー等、車利用が好ましい。
著者プロフィール
R.Tokimatsu
元ミラノ在住ビジネスアドバイザー
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http://www.japanitalytravel.com
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