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海と風の町 トリエステに生きる
15 Maggio 2019

第4回 
海原に映える白亜のお城「ミラマーレ城」 



 
原田光嗣



●トリエステを象徴する観光名所
前回までの記事でトリエステが海辺の町であること、もともとはオーストリア・ハプスブルク家の支配下で発展したことに触れてきましたが、ではその独特の魅力を一度に味わえる場所と言えば? それが今回ご紹介する「ミラマーレ城 Castello di Miramare」なのです。

写真トップ:@岬の形に合わせた建築、ミラマーレ城

●海を臨む絶好のロケーション
中心街から海沿いの国道を7キロほど進んだ先の自然公園の中、切り立った崖の上の、これ以上は海に近づけないと言えるポイントに建てられています。ここまで海に近いお城は珍しいですし、イストリア半島から切り出された白い石を贅沢に使った白亜のお城と青い海とのコントラストがとても綺麗です。

写真上左:Aミラマーレ城全景     写真上右:B海にここまで近い!

この場所にお城を建てることを決めたのは、当時のオーストリア皇帝の弟で、後にメキシコ皇帝となるマクシミリアン(1832-1867)でした。若くして海軍に所属し船旅を愛した彼は、嵐に遭い逃げ込んだこの入り江に魅せられてしまいました。海に突き出した崖の上に2つの区画に分けた建物を組み合わせることで、ほぼ全ての窓から海が見える建築となっています。

●趣味を反映した内装
場所の選定だけでなく、マクシミリアンは妻であるベルギー王女シャルロッテとの居住区の内装にも細かく口を挟みました。自分たちが生活する地上階はたっぷりと木を使った内装で、特に書斎は彼のお気に入りの船だったノヴァーラ号の船室に似せるように指示しました。

写真上左:C船室に似せた書斎   写真上右:Dマクシミリアンの蔵書が保存されている図書室

また、エキゾチックな植物が好きで自らも植物学を勉強しており、当時としては珍しいパイナップルを自身の紋章に採用しました。このお城の内装にも随所にパイナップルが彫り込まれており、それらを探しながら一周するのも楽しいものです。

写真下:EF「パイナップル」 あなたはいくつ見つけられるでしょうか?   

●木が無いところに森を作る
ミラマーレ城が建つ以前、辺りは少々のブドウ畑がある程度の裸の土地でした。しかし前述のように植物を愛したマクシミリアンはヨーロッパ中から腕利きの植木職人や水道工事人を雇って植樹をし、ついに今あるような森や公園を作り上げてしまいました。この公園は絶好の散策スポットとしてトリエステの人々に愛され続けています。

写真上左:G庭には噴水やテラス席も整備    写真上右:H船着き場からお城を見上げる
写真下左:Iエキゾチックな植物がそろっている  写真下右:Jマクシミリアンが「庭師の家」と呼んで愛した離れの建物

●時代の流れに飲まれメキシコ皇帝へ
穏やかな性格の次男坊だったマクシミリアンは、オーストリア皇帝の重責は兄のフランツ・ヨーゼフに任せ、自身はこのミラマーレ城で愛する妻との落ち着いた暮らしを望んでいました。しかし歴史の流れには逆らえず、竣工からたった4年後の1864年にナポレオン三世の要請によりメキシコ皇帝となり、メキシコへと旅立ちました。お城の2階部分は、当時の権力者を迎える客室や大広間となっており、内装も豪勢で堂々としたものとなっています。映画やドラマを通して、「シシィ」の愛称で親しまれている最後の皇后エリザベート妃をご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、彼女も15回にわたってミラマーレ城を訪問し、滞在しています。

写真上左:K2階部分内装は赤と金が基調で派手  写真上右:Lお城で起こったイベントの記録絵画がたくさん

メキシコでは懸命な統治の努力にもかかわらず、現地の人々の反乱にあい、マクシミリアンは銃殺されてしまいました。最愛の夫を失った妻シャルロッテは精神に異常をきたし隠居。こうしてミラマーレ城は二人の叶えられなかった幸せを象徴する悲劇の城としても有名になってしまったのでした。

写真上:Mメキシコ皇帝戴冠後のマクシミリアンの肖像 

●ハプスブルク家の忘れ形見
マクシミリアンの死はオーストリア帝国没落の一幕にすぎず、この後ハプスブルク家は持ち直すことなく第一次世界大戦へと突入し、ついに崩壊します。ミラマーレ城から目前に広がる海を眺めていると、まるで航海中の船に乗っているようで、どこへ行くのも自由な反面、確かな足場がない不安も頭をよぎります。その歴史の影も合わさってより美しさを増すミラマーレ城、トリエステにお越しの際は必見の観光名所です!


海と風の町 トリエステに生きる案内人プロフィール
原田光嗣 (Harada Mitsugu)

イタリア、トリエステ在住。コントラバス奏者、通訳・翻訳家、日本語教師。2006年に渡伊、イタリアをはじめアムステルダム、サンクトペテルブルク、ウィーンなどヨーロッパの主要都市にて演奏、CD録音にも多数参加。CILS Quattro(C2)取得。スタジオ・ジブリの映画や村上春樹に関する講演歴あり。趣味は読書。村上春樹、カルヴィーノ、ピランデルロ、いしいしんじあたりが好きです。ブログ「コントリ!」
ブログ「コントリ!」:contrinew.exblog.jp




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