昨日の早朝ローマ・テルミニ駅を出発したインテルシティ・プラス(ICPlus)に乗ってようやくシチリアのメッシーナまでたどり着いた。列車で本土からメッシーナ海峡を渡るのはこれで2度目。しかし本人が一番よーく知っているはずなのにつくづく思うことはただひとつ。長い!!
なにせまだ夜も明けきらぬ冬の7時27分にローマを出て、メッシーナに着いたのがすでに薄暗い夕方の16時。その間フェリーに列車を積み込んだり、原因不明の停止時間があったりと45分遅れで到着したからまだいい。次の日メッシーナ駅で列車を待っていると、到着予定の急行エスプレッソ(E)はなんと4時間遅れだった。
下手すれば車内で3食食べてもおかしくないし、4時間遅れたら成田〜ミラノとほぼ同じ移動時間になるシチリアへの列車の旅はまず心身ともに頑健でなければ成就しない。しかしひたすら南へと向かうにつれ車窓にはワイルドな南イタリアの光景が見え始め、やがて到着したレッジョ・ディ・カラーブリアで列車はあっという間にフェリーに積み込まれる。
一歩一歩タラップを踏みしめて甲板へと足を運ぶ。ふと潮風の薫りに誘われて見やれば、眼下に広がるのは紺碧のメッシーナ海峡。そしてすぐ目の前に見えるのはかの麗しの島シチリアではないか。ついでに揚げ物のにおいも漂ってきたのでバールをのぞくとアランチーノを売っているので素早く列に並んでひとつ購入。パレルモの町中で食べるそれに比べるべくもないが、これもシチリアへ上陸する前のイニシエーションのひとつ。ついでにメッシーナ・ビールをぐびりと飲み干し、さらにカフェを一杯。2005年末、私の通算20数回目のシチリアへの旅はこうして始まった。
シチリアを旅する際起点となるのはメッシーナ。ここから南へ向かえばタオルミーナ、カターニア、シラクーサ。西へ向かえばパレルモ。さらに乗り継げばアグリジェントやノート、ラグーサ、モディカといった南シチリア・バロック都市へ向かうのも可能である。
今回私はメッシーナからパレルモへと向かうルートを選んだ。パレルモからメッシーナへと向かう列車に乗ったことはあるものの、逆ルートは実は初めて。右手に常に海を見ながら走る絶景のルートである。
エオリエ諸島へ渡るフェリーの発着口であるミラッツォ付近にさしかかると、そのエオリエ諸島が黒い島影となって現れた。あれはリーパリ、その向こうがサリーナ、きっとあれがストロンボリ。そういえばフィリクーディ、アリクーディなんて島もありますね。同じコンパーメントに居合わせた、ピサから夜行列車に乗りシチリアまで帰ってきたシニョーラと言葉を交わす。
チェファルーの大聖堂を車窓から眺め、シニョーラがうたた寝を始めた頃私はi-podを取り出し、お気に入りのプレイリスト「Sicilia」をプレイ。今やイタリア列車の旅ではトーマスクックの時刻表を忘れてもi-podを忘れてはいけない。なにせ車窓に浮かぶ風景の美しさが間違いなく数段増加するのだから。曲がEnnio Moriconeの「Nuovo Cinema Paradiso」からBelliniの「Norma」のアリア「Casta Diva」になった頃パレルモ中央駅が見えてきた。まずホテルに荷物を置いてから向かうのはバッラロ市場と決めている。懐かしいパレルモの薫りと喧噪を一杯に吸い込むにはここにまさる場所は他にないのだ。
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メッシーナ海峡を渡る際、列車は切り離されてフェリーに積み込まれる。

青く美しいシチリアの海がどこまでも広がる。

パレルモ旧市街にはアラブ・ノルマン様式など様々な建築が混在する。
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