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特集 小都市を訪ねる旅    イタリア汽車の旅
15 dicembre 2005



第9回 ローマから小旅行



池田匡克・池田愛美


   

言わずと知れたローマ・テルミニ駅はミラノ中央駅と並ぶイタリアの二大重要ターミナル駅であり、中南部イタリアを列車で旅しようと思ったら避けては通れないゲートウェイでもある。 古いイタリア映画ファンならヴィットリオ・デ・シーカ監督の「終着駅」(1953年)に描かれたアメリカ女性と青年教師の甘く切ない別れのシーンを思い浮かべるであろう。

我々が現在目にする終着駅テルミニは実は三代目にあたる。初代はイタリア統一間もない1867年に誕生。その後第二次大戦後に改装し、キリスト教の聖年にあたる2000年を記念して第三世代テルミニが誕生した。 ガラスをふんだんに取り入れた巨大コンコース内にはカフェはブティック、ショップが並び、かつての暗く殺伐としたテルミニの面影はもはやみじんもない。

私が強烈に覚えているテルミニといえば改装に先立つ1990年、イタリアW杯が行われた夏。その日ナポリで行われるW杯準決勝、イタリア対アルゼンチンの大一番を見に、一人テルミニ駅からインテルシティ(IC)へ乗り込んだ日のことは生涯忘れられない。 怪しい風体の男達がたむろし、煙草の紫煙がたちこめる駅構内で発車の時間を心細く待っていたのがやけに懐かしい。そうした記憶は夕焼けのサン・パオロ・スタジアムでの「オーソレ・ミオ」の大合唱とコーナーキックのたびに間近に見えたマラドーナの背番号10へとつながってゆく。

新装開店なったローマ、テルミニ駅を起点に中部イタリアを旅するならばまずはエトルリアの山岳都市オルヴィエートへと足を伸ばしたい。ミラノ、フィレンツェ方面に向かうICで約1時間。駅の目前で待つケーブルカーで山頂へ、さらにミニバスでドゥオモ前へと向かう。
眼前に聳えるのはゴシック様式の粋を集めた傑作ドゥオモ。壮麗の一語に尽きる大建築が夕焼けに輝く姿は一度見たらきっと忘れられないはずである。

オルヴィエートといえば白ワイン、とはガイドブックで見慣れたフレーズだが、オルヴィエト・クラッシコをありがたがって飲む旅人は、フラスカティやエスト・エスト・エストを珍重する人がもはや存在しないのと同様皆無に等しいが、食に限って言うならこの街には「黄金のロバ」という名のレストラン「アジノ・ドーロL'Asino d'Oro」がある。 ガンベロ・ロッソ誌のレストラン・ガイド「リストランティ・ディ・イタリア」でトラットリアの最高評価である3つエビ「トレ・ガンベリ」の常連にしてオルヴィエート一の名店。他にも「イ・セッテ・コンソリI Sette Consoli」や「ピアッツァ・デル・ポポロPiazza del Popolo」などレベルの高い店が多いのも、小さな中部山岳都市にしては鄙には稀な高密集度。

食の都を訪れるならキノコや野禽などの盛りである秋から冬にかけて。ランチのためだけにICに乗ってローマからわざわざ出かける価値のある美食の山岳ゴシック都市はイタリア広しといえども他に類をみない。


旅のはじまりとなるローマ・テルミニ駅。



オルヴィエート駅に到着した食堂車付きのIC。



黒トリュフやキノコなどが並ぶ食料品店のウインドウ。



オルヴィエートのドゥオモはゴシック様式の傑作。


データ
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オルヴィエートまでのアクセス
鉄道利用が便利。ローマ・テルミニRoma Termini駅からオルヴィエートOrvieto駅までICで約1時間。 普通列車で約1時間30分。

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著者プロフィール

池田匡克 池田愛美
フリーライター、編集者。月刊誌編集部勤務を経て、1998年に渡伊。以降、フリーランスで日本の男性誌、女性誌、旅行誌、料理誌に編集、及びライターとしてイタリア 情報を寄稿。イタリア全州を車で回るつもりだったが、最後のヴァッレ・ダオスタ州 のみ列車で踏破。以来、近頃は鉄道移動がマイブーム。近著は「シチリア 美食の王 国へ」(東京書籍)、「地球の歩き方 イタリア鉄道の旅」(ダイヤモンド社))、「イタリアの市場を食べ歩く」(東京書籍)。ロー マのFreelance International Press会員。フィレンツェ在住。
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