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特集 小都市を訪ねる旅    イタリア汽車の旅
15 novembre 2004



第3回 エミリア・ロマーニャ州市場巡りの旅〜ボローニャ&モデナ



池田匡克・池田愛美


   

食の都、と呼べる街はイタリア中数多いけれども私にとってボローニャはフィレンツェ、ヴェネツィア、パレルモ、カターニアなどと並ぶ食の都のひとつ。どこのリストランテがいいとかどこの料理人が今旬だとかそういう話題には結構無頓着で、旅々で常に求めているのは郷土料理をさらに原点近くまで遡った路傍の料理、いわばストリート・フード。それはリストランテでは決して食べられない、地元産の料理&食材にこそイタリア全国津津浦浦、味覚の極意があると信じているからこそなのだが、そんな路傍の料理愛好者達に勧めたいのは何といっても市場探索である。
古いコピーじゃないけれど「そうだボローニャに行こう」と思い立ったが吉日、朝起きるなりフィレンツェから得意のESユーロスターにふらりと乗る。8時14分発のES9426号なら9時11分にはすでに通勤ラッシュの熱気が残るボローニャに着いている。
朝靄漂うマッジョーレ広場の朝9時30分、向かうは露天市が立つクラヴァトゥーレ通り界隈。この一角は八百屋、肉屋、パン屋、魚屋などが所狭しと軒を列ねる現役の市場で食の都の台所を支えている。手打ちパスタ屋のウインドウを飾る美しい手打ちパスタに溜息し、八百屋の店先に並ぶオーヴォリやポルチーニ、ガッリナッチなどのキノコを眺めては秋の訪れをあらためて実感する。
ひとまわりしてとりあえず気が済んだらワインバーならぬ立ち飲み屋にふらりと入り、冷たいランブルスコを一杯注文。するとお通しで出てくるのが賽の目に切ったモルタデッラでこれを楊子でつまみつつ食べる。時折無性に欲しくなるボローニャの味。モルタデッラはボローニャの飲み屋で食べると実に美味しい。ついでにパルミジャーノをひとかけらもらい、頬張りながら店を出る。次に向かうのは通いなれた市場の中のトラットリア、ではなく再びボローニャ中央駅。昼時にはまだ時間がたっぷりあるので今度はIC(インテル・シティ)に乗りモデナに向かう。電車を乗継いでエミリア・ボローニャの市場をはしごするというわけだ。

11時40分発の各駅停車レジョナーレに乗る。ボローニャと並ぶ食の都モデナに着くと時刻はすでに12時を回ったところで、そこから目指すのはグランデ広場の南にある屋内市場アルビネッリ。白壁に黒の鉄格子、食の都にふさわしい美しく清潔な堂々たる市場である。このアルビネッリ市場は中世の頃からグランデ広場の青空市としてモデナきっての食材集積地だったが、戦前に現在の場所に移転、屋内市場として新たな人生をスタートした。市場の中央部にある乙女の像に願をかけ、市場をあてもなくぶらついていると「お兄さん、アチェート味見してかない?」と甘い言葉に誘われて、食料品店で名産のアチェート・バルサミコを数種ティスティング。気がつくと25年物を一本買わされていた。ついでにクロケッテを野菜と挽肉2種類買って食べながら市場を歩く。私の場合これが通常アンティパスト代わりになる。
市場にうまいものあり、は万国共通の金科玉条だがモデナもその例外ではなく、市場の脇に地元客が足しげく通うトラットリアならぬ食堂がある。「アルディーナ」というその店はイタリアにしては珍しく2階にあり、玄関には看板代わりに小さな表札がかかげられているだけ。階段を上りきったところにあるドアを開けると今まさに昼時まっさかりの店内は家族連れ、市場帰り、学校帰り、出張帰り、お務め帰り(以上ただの想像)のイタリア人で賑わい、喧噪と料理の匂いがぶんぶん宙を飛び交っている。
市場を見下ろす窓際の特等席はすでに先客で埋まっていたので壁際の小さなテーブルを確保するとほどなくカメリエーレが寄ってくる。本日のメニューは・・・と食堂では日常である口頭試問での注文となる。パスタはラザーニャ、トルテッリーニ・イン・ブロード、タリアテッレ・コン・スーゴ、カンネローニ・・・セコンドはボッリート、ザンポーネ、チンギアーレ・イン・ウミド、スカロッピーナ・アル・アチェート・バルサミコ・・・どれもこれも心惹かれる料理ばかり。酒は当然ランブルスコ、やがて昼下がりの饗宴が始まる。
 
電車を使うとこうした市場巡りのワン・ディ・トリップが楽しめるが、特別編としてまだもの足り無い人には食後に再び車上の人となりパルマに向かうという手もある。旧市街を散策し、まだまだ市場が見たいという猛者はメッツォ橋のたもとにある市場へどうぞ。
夕暮れ時になるとそろそろ店の灯りが恋しくなってくる。パルマではプロシュート&ニョッコ・フリット、ラルド、カポコッロなどこれまた美味しい罠が待ち受けているのだ。


クラヴァトーレ通り界隈のボローニャの市場




中部イタリアのターミネル駅でもあるボローニャ中央駅












モデナの中心部であるグランデ広場

 

データ
Dati



ボローニャの市場 Via CravatoreからVia Pescheriaにかけての一角。

モデナ・アルビネッリ市場 Via Albinelli

アルディーナ(ALDINA) Via Albinelli,40 MODENA Tel:059-236106

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著者プロフィール

池田匡克 池田愛美
フリーライター、編集者。月刊誌編集部勤務を経て、1998年に渡伊。以降、フリーラ ンスで日本の男性誌、女性誌、旅行誌、料理誌に編集、及びライターとしてイタリア 情報を寄稿。イタリア全州を車で回るつもりだったが、最後のヴァッレ・ダオスタ州 のみ列車で踏破。以来、近頃は鉄道移動がマイブーム。近著は「シチリア 美食の王 国へ」(東京書籍)、「地球の歩き方 イタリア鉄道の旅」(ダイヤモンド社))、「イタリアの市場を食べ歩く」(東京書籍)。ロー マのFreelance International Press会員。フィレンツェ在住。


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