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特集 小都市を訪ねる旅           南イタリア ジグザク感傷紀行
15 giugno 2004

その5   シチリア南部の旅
写真・文: 福久隆男





■カルタジローネCaltagirone

カルタジローネのトト
シチリアは陶器製造が盛んであるが、その中でも名産地といえるのはカルタジローネ。日本で言ったら愛知県瀬戸市(ちょっと違うかな?)。
古い町並みの中央に、長い長い階段がある。ラ・スカーラと呼ばれるその階段は必見だ。というのは、ステップの一つ一つに陶器のパネルが見事に埋め込まれているからである。階段をてっぺんまで登ると、カトリック教会がある。さらに後方には美術学校があり、明日の陶芸家が勉強に励んでいるのだ。いいね〜、この都市設計感覚。
階段の撮影をしていたら、少年が現れて、こちらをじっと見つめていた。映画「ニュー・シネマ・パラダイス」の少年トトに似ていた。

ジェーラGela
カルタジローネから南下して、とりあえず南の海岸まで走ることにした。ギリシャ時代に起源を持つ町ジェーラGelaへ向かう。見渡す限り畑。おもしろいのは、時折、「油田」という看板が見えることだ。畑の真中に突如、重機がフェンスで囲まれた小規模の施設が現れる。ジェーラ沖には海底油田も存在する。
ジェーラGela近くの畑に、ちょっとだけ盛り上がった丘があった。私もぜひ、こんな家に住んでみたい。


■エンナEnna

理想の家
エンナ近郊。シチリアを鉄道で旅しているとき、車窓は飽きることがなかった。何がそんなにおもしろかったのかというと、家である。現れては消える家々を眺めていると、ああ、あんな家に住みたいな、あんな家が故郷だったらいいな…、と考えるのだ。私の理想の家は、農村にあること、丘の上にあること。私は窓からカメラを構え、理想の家が現れるのを待った。


■マリーナ・ディ・パルマMarina di Palma

パルマの再会
アグリジェントの東20kmに、パルマ・ディ・モンテキアロPalma di Montechiaroという町がある。陸の孤島のような古い町。そこから6キロほど南へ向かうと、小さな寄港地がある。地図を見ていてどうにも気になり、時間はなかったが訪れた。夏は海水浴客で賑わうのだろうけれど、真冬だったのでお客どころか住人さえいないような感じだ。
コーラとパンを買い、バールを出ると、1匹の犬がとことこやってきた。首輪はついていなかった。
その犬は、10年前に死んでしまった飼犬に顔も毛並みもそっくりだった。私は思わず、当時の飼犬の名前を呼んだ。「懐かしいなぁ…」そう私がつぶやくと、その犬も私をじっと見て、「やあ、懐かしいですねぇ…」と言っているようだった。
地図を見ていてこの海岸が気になったのは、自分にとって大切なものがそこにあることを察知したからかもしれない。地図のインスピレーションを侮ってはいけないのだ。

■アグリジェントAgrigento

ラグジュアリー・アグリジェント
シチリア旅行のハイライト、アグリジェント。基本的にケチケチ旅の私が珍しく贅沢をした。古代ギリシアの神殿遺跡を独占的に眺められるホテル・ヴィラ・アテナに宿泊した。リアルシルバーの食器。完璧なサービス。熱いシャワー。バスローブ。テラス。カウチ。これで1泊約9000円。もっとも、夏はその数倍の料金を覚悟しなければならないが。

スタッコ!スタッコ!
アグリジェントの旧市外のほぼてっぺんに、外観の目立たぬ寺院がある。パレルモ生まれの彫刻家、ジャコモ・セルポッタの手によるスタッコ細工が祭壇を飾っている。見事なものである。
このまま軽薄な歴史に埋もれず、末永く残っていきますように。

■冬のドライブ
いくらシチリアでも冬は寒い。とはいっても南シチリアは、晴れれば春のようだ。野の花が一面に咲く中で、ドライブは楽しい。
この写真は、日本では大寒の日に撮影したもの。



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著者プロフィール

福久隆男(Takao FUKUHISA)

写真家。ライター。地図作家。イタリアを旅すること13回。著作多数。無類の南イタリア偏愛者、及びアランチーネ偏愛者。地図を眺めてインスピレーションを得、旅先を決めると面白い事があるというジンクスを持つ。現在千葉県在住。32歳。ご意見・ご感想はfukuhisa-takao@mail.goo.ne.jpまで。





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