■ナポリNapoli
歓喜の都
いまさら紹介するまでもないと思うほどに有名な都、ナポリ。私はどうも大都市が苦手なので、さっさと仕事を済ませて移動してしまおう。その日の仕事があらかた終わったのでホテルへ帰ろうとバスに乗ったら、なんだか街が騒がしい。ドカンドカンと大砲がはじけるような音が街に響き渡っているのだ。
これは何かある…。私はバスを降り、大通りへ直行した。待つこと数分。喜びの権化みたいな人たちがずんずんとこっちへやってきた。そのうちの一人が、カメラを構えた私を発見。
「オ、あいつが写真を撮ろうとしているド!」
「なにっ、どいつだ、あいつか!」
一斉にいい顔で写ろうと大騒ぎ。
この日、サッカーのワールドカップ・フランス大会で、イタリアがノルウェーと対戦、見事勝利を収めたのだ。
笑う魚
ポンペイのモザイク画などからも分かるけれど、太古から魚を食べてきたイタリア人。今も彼らの食卓には、魚介を外すことは考えられないだろう。市場を覗いてみる。ニッポンの食いしん坊ぶりに劣らず、多様な種が並んでいて、同士を見つけたような気分になる。
ウニ、タコ、アンコウ、そしてエイ。イタリア人も本当にいろいろ食うのだ。
なぜかナポリのエイは笑っていた。
■トロペアTropea
秘密のリゾート
トロペアとは聞かぬ地名だった。当時はどのガイドブックにも掲載されることのなかった小さなリゾート。
魅力は、澄んだ海と、うるさくない街。のんびりするしかやることがないので、そういう人向きである。ホテルで出される食事も、フレッシュで文句なし。トロペア産のタマネギは、業界では有名らしい。
街のおじさんと、夕暮れ時に話をした。イタリアの料理で何が一番好きかと聞いたら、スパゲッティ・ポモドーロだと答えてくれた。そうだろうなあ。
■マルティーナ・フランカMartina Franca
マリア像
この国ではいたるところにマリア像を見ることができるが、地方色があって、その違いを見るのもおもしろい。
ここマルティーナ・フランカは街全体がロココ調。これを粋と思うか洒落臭いと思うかはあなた次第。
カルミネ教会のファサードに、美しいマリア像があった。これもこの街らしい。
■ヴェノーサVenosa
空の色
国鉄でヴェノーサへ向かう。盛夏の内陸部は暑すぎて、畑は焼け焦げたようになっていた空の色ががクールブルーなので気持ちよさそうな感じがするが、じつは暑くてどうしようもない。湿気の日本とは随分違うが、これもまた、南伊人には懐かしい田舎風景なのだろう。
トリニータ修道院 かつてアッピア街道の要衝として栄えたヴェノーサであるが、街道が北へ変更したために孤立、一気に衰退した。
サンティッシマ・トリニータ修道院は、1135年に建造されはじめたが財政難などで放擲された。中途半端になったままの聖人の彫刻もまた、青すぎる空の下でじっとしていた。
今でもヴェノーサは陸の孤島と思えるほど不便なところだが、街に若者の姿も多く、決して廃れた感じがしないのは流石、Campanilismo、郷土愛は健在であるといったところか。
■カステル・デル・モンテ Castel del Monte
世界遺産
ケチャップのメーカーとは関係ない。皇帝フリードリッヒ2世建造の城である。
初見、あまりの怪奇な姿に呆然とした。およそ遊び気分のない要塞だ。
巨大な建築物なので、撮影位置からでは広角レンズを使用せざるを得ないが、それだとパースがついて上部がすぼんだように写ってしまうのだ。
まっすぐに描写するには、シフトレンズという特殊なレンズを使わないと不可能である。
更に、壁の色が白いので、それに露出があって空が青すぎて黒いくらいに写ってしまうのである。
カメラマン泣かせの建築物。しかし一度は見てみたい。唖然必至。
■ロッケッタRocchetta
駅
フォッジアから内陸へ国鉄で40分ほど。アッピア街道の古都ヴェノーサへ向かうため、ロッケッタという駅で乗り換えをする。
乗り換え時間は3時間。駅にはバールも売店もなかった。駅前には農道が1本あるだけ。
ホームの向こうは畑。どこかで雲雀が鳴いている。
雲の他は動くものがなく、雲を見るくらいしかやることがない。
雲は雲なりに形を変えては現れて、よく見たらおもしろかった。
|