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小都市を訪ねる旅 かかとの先まで〜プーリア発見の旅
17 Marzo 2003
 



第2回 アルベロベッロ Alberobello とムルジェの白い町々 



 



小森谷 慶子
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ユネスコの世界文化遺産に指定されているトゥルリ Trulli の町、アルベロベッロの景観については、皆さんも雑誌やパンフレットの写真ですっかりお馴染みだと思います。バーリから私鉄 Fe.Sud-est で1時間半ですので日帰りもできますが、この町はホテル代も安く、治安も良く、観光地としてレストラン等の設備も揃っているので、ここを足場にして Sud-est 線沿いのマルティーナ・フランカ Martina Franca やロコロトンド Locorotondo を訪れたり、あるいは終点のターラント Taranto まで足を延ばすと言うのも一案です。

◆トゥルリの町を歩く
アルベロベッロは、私自身の好みからいくと、都市としての歴史的深みに乏しいので、ローマやナポリ、パレルモのように何度行っても飽きない所だと言うことはできません。でもやはり、あの可愛らしくのどかなお伽の世界に一度は身を置く価値はあります。トゥルリはそもそも農村の家屋なのですが、アルベロベッロの場合、ナポリ王の直轄領となってから、「市内にはトゥルリの家のみ建てるべし」という王の好みによるお達しが出たため、特別にキノコの養殖場のような景観ができてしまったのです。市内の散歩を始める前に、市心の「愛の家 Casa d'Amore」で地図をもらうと良いでしょう。トゥルリ地区は、足音をひそめて歩くべき閑静な住宅街アイア・ピッコラ Rione Aia Piccola と、お土産屋さんの並ぶモンティ地区 Rione Monti です。モンティ地区には、地元の人に嫁いだ日本女性(陽子さん)の店もあります。

なお、他の町の市内でトゥルリを目にすることはほとんどありません。とはいえ、この一帯(広い範囲をムルジェ Le Murge、ロコロトンド周辺をヴァッレ・ディトゥリア Valle d'Itria と云います)の市街地は、消石灰で白く塗って町の美観を保つことが決められています。チステルニーノ Cisternino やオストゥーニ Ostuni 等の市民は、家の前の小路をモップで拭いているほど、美観に気を使っているのです。

 写真説明
上:トゥルリ Trulli
左下:ムルジェ Murge の農場風景
右下:オストゥーニ Ostuni の白い町
(写真:小森谷賢二氏 )
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◆観光のポイント
アルベロベッロ市内には、アストリア Astoria 等、足場が良く値ごろな3ツ星や2ツ星のホテルがたくさんあります。もしもトゥルリの宿に泊まりたいなら、町外れに5ツ星が一軒(デイ・トゥルリ Dei Trulli)がありますが、アグリツーリズムの宿でならたいてい体験することができるでしょう。私は車で旅したとき、チステルニーノ近郊の農場ホテル、ヴィッラ・チェンチ Villa Cenci (3ツ星)に連泊したことがあります。敷地が広く、プールもあり、オーナーの飼い犬も可愛く、ヘルシーな食事つきで、すっかり和んでしまいました。トゥルリの部屋は夏は涼しく快適でしたが、背の高い夫はやや圧迫感があると言っていました。

郷土料理は、プレ・ディ・ファーヴェ Purè di fave というインゲン豆のピューレのチコリ添えや、小さな耳を連想させるパスタ、オレッキエッテ Orecchiette等、素朴ですが、野菜中心で健康的だし、ロコロトンドやジョイア・デル・コッレなど、地元のワインはどれも値ごろで秀逸です。

◆周辺の見どころ
アルベロベッロの他に便利な宿泊地は、マルティーナ・フランカ Martina Franca です。ここの旧市街は、袋小路の町並みと白塗りの壁だけでなく、バロック建築が華やかさを醸しています。また、よくガイドブックにカステッラーナの洞窟 Castellana Grotteの観光が紹介されています。車があれば気軽に訪れることができるのですが、電車は一日に一本しか停まりません。冥界の案内人のような暗いガイドがもったいぶって案内してくれますが、山口県の秋芳洞を訪れたことのある人にとっては、さほどのものではありません。

一方、レンタカーの旅行者におすすめしたいのは、同じ白い町でもポリニャーノ・ア・マーレ Polignano a Mareの洞窟レストランで名高いホテル、グロッタ・パラッツェーゼ Grotta Palazzese に泊まるプランです。バーリから日帰りで気軽に食事だけ予約して訪れても良いのですが、宿泊と込みだと割安だし、海に面した部屋からの眺めも楽しめます。かつてはサラセンの海賊の根城だったという洞窟には、コウモリが飛び交い、雰囲気は満点。しかも、魚介料理は洗練されていて絶品です。その近くのファサーノ Fasano にも、マッセリアという農場を改造した有名な5ツ星ホテル、マッセリア・サン・ドメニコ Masseria S. Domenico があります。この一帯には、オリーヴ畑や果実園が広がる素晴らしい景観が広がっています。この辺を初夏に旅すれば、サクランボやメロンが食べ放題です。ホテルやレストランにもありますが、市場で買ってきて飽きるほど食べても良いでしょう。また、ファサーノの近くには、海に面したエニャーツィア Egnazia の古代遺跡と博物館があり、考古学好きには見逃せません。

そして、もっとブリンディシに近くなると、白い迷宮都市オストゥーニ Ostuniがあります。国鉄駅からは市バスが出ています。このような袋小路を持つ迷宮都市は、9世紀に付近一帯を支配して住み着いたサラセン人(イスラム教徒)の町づくりによるものです。この町の近郊にも、マッセリアを改造した素敵なホテルがいくつかあります。

アルベロベッロとムルジェ・データ 
 Data di Alberobello

■アクセス
本文にあるように、バーリ Bari からアルベロベッロまでは私鉄のSud-est 線で約1時間半。 アルベロベッロから同線にて以下の町までの所要時間:
マルティーナ・フランカ 約15分
ロコロトンド 6分
グロッテ・ディ・カステッラーナ 23分(1日1本のみ)
ターラント (マルティーナ・フランカ乗り換え) 約1時間
チステルニーノへはマルティーナ・フランカからレッチェ行きのSud-est 線で行くことも可能。

■インフォメーション
◇アルベロベッロ観光局 APT Alberobello
P.za Ferdinando IV, Alberobello
電話:(国番号39)080-4325171

◇ファサーノ観光局 電話:(国番号39)080-4413086

◇エニャーツィア古代遺跡と博物館 電話:(国番号39)080-4829056

■おすすめのホテル
◇アルベロベッロ駅前のホテル
アストリア Astoria
電話:(国番号39)080-4323320 FAX:4321190

■郊外の農場を利用したホテル
◇マルティーナ・フランカ Martina Franca
ヴィッラ・ドゥカーレ Villa Ducale
P.za S. Antonio 電話:(国番号39)080-4805055 FAX: 14805885

◇アルベロベッロ Alberobello
アッボンダンツァ Abbondanza
Contrada Lama Colonna 電話:(国番号39)080-4325762

◇ノーチ Noci
アッレ・カゼッデ Alle Casedde
Giornadello  電話:(国番号39)080-4978946

◇ファサーノ Fasano
ホテル・マッセリア・サン・ドメニコ Hotel Masseria S. Domenico
電話:(国番号39)080-4827990 FAX:4827978

◇チステルニーノ Cisternino
ホテル・ヴィッラ・チェンチ Hotel Villa Cenci
電話:(国番号39)080-718208

◇ポリニャーノ・ア・マーレ Polignano a Mare
ホテル・グロッタ・パラッツェーゼ Hotel Grotta Palazzese
電話:(国番号39)080-4240677 Fax:4240767

◇オストゥーニ Ostuni
グランド・ホテル・マッセリア・サンタ・ルチーア Grand Hotel Masseria S. Lucia
電話:(国番号39)0831-3560 Fax:304090

マッセリア・トゥトーザ Masseria Tutosa
電話:(国番号39)0831-350685
他にも沢山ありますのでイタリア政府観光局などでリストをもらうと良いでしょう。

■レストラン ◇ララトロ L'Aratro
アルベロベッロ、モンティ地区 電話: 080-4322789

レストランはどこも当たり外れはありませんし、大都会ではないので、夜ならホテルでセットの食事をとるのも落ち着きます。

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著者プロフィール

小森谷慶子(こもりや けいこ)
東京女子大学文理学部史学科卒。特に南イタリアを対象とするイタリア史研究家。著書に『魅惑のローマ』(グラフィック社)、『シチリアへ行きたい』(新潮社とんぼの本、1998年に国際ジャーナリズム賞審査員特別賞を受賞)、『ローマ古代散歩』、『ナポリと南イタリアを歩く』(いずれも新潮社とんぼの本)。今春には『シチリア歴史紀行』(白水社)を出版予定。ご主人で建築家の小森谷賢二氏が写真を担当。




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