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小都市をたずねる旅 -  ラ・ミア・トスカーナ バックナンバー
21 Ottobre 2002
自然が呼んでいるマレンマへ!

トスカーナ州 - マレンマ地方

(グロッセート県)
Toscana ‐ Maremma(Grosseto)                                         



田中 佳代子
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トスカーナの人は「参ったな〜」とか「チクショー」という時によく Maremma □□□□!! と叫びます。(□の部分はいろいろですが、あまりお上品な表現ではありません。)このマレンマとはグロッセート県の一帯を指し、かつては湿原で蚊が多くマラリアが発生していたことから、こんな風に“いやなことの代名詞”のように言われるようになりました。1300年代から徐々に干拓され現在では肥沃な農作地帯となりました。グロッセートはトマトや麦をはじめ、野菜や果物の大産地、いわばトスカーナの大事なお台所です。

★マレンマ州立公園 Parco Regionale della Maremma
マレンマの中でもオンブローネ川 Fiume Ombrone の河口からタラモーネ Talamone までは州立公園に指定されています。公園内にはいくつかの散策コースが指定されており、アルベレーゼ Alberese を出発点とするA1〜A7とタラモーネ周辺のT1、T2があります。A1のサン・ラーバノ S.Rabano コースではモンテ・ウッチェッリーナ Monte Uccellina の頂上ポッジョ・レッチ Poggio Lecci(標高417m)まで上るのでちょっとした山登りもありますが、ここからの眺めは最高。更にサン・ラーバノの修道院も見学できるので頑張って挑戦してみたいところ。また、マレンマ公園の特徴を集約しているということで人気があるのがA2のラ・トッレ La Torre コース。いずれもチケット売り場から出発点のプラティーニ Pratini までバスで送迎してくれます。公園内には800頭ほどのノロジカと1800〜2000頭の鹿、1400頭余りのイノシシが生息し、オルベテッロ Orbetello にはフラミンゴが数年前から戻ってきたと言うからたいしたものです。この他にも鷹や野生のガチョウ、サギも年々数が増えている、と公園の人は誇らしげ。  

写真説明
上:マッサ・マリッティマの優雅な広場
左下:公園のマレンマ牛がBenvenuti(いらっしゃ〜い)とお出迎え
右下:コースを示す標識
   イノシシはマレンマのシンボル
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★ロセッレの遺跡を訪ねる Roselle
グロッセートから10キロほど離れたところにあるロセッレ Roselle の町には、エトルリア・ローマ時代の考古学地区 Aree archeologiche di Roselle があります。テルメや円形劇場の跡もあり、結構立派な町だったようです。崩れかけた小さな円形劇場は現在も音響効果抜群!中央に立って手をたたくと漫画チックに「ボヨヨヨヨ〜ン」と反響するのが面白い。ロセッレの町にはちょっとした温泉(残念ながら現在は工事中で休業)もあり、エトルリア、ローマ人も緑に囲まれながら「いい湯だな〜♪」と温泉につかっていたのかも・・・。遺跡に行くまでの道中にもエトルリア時代らしきお墓が見られるところから、山の中にはまだまだ発掘されていない遺跡が広がっているに違いないと私は睨んでいます。家を建てようと思って買った土地の下から遺跡が発掘され、工事に何年もストップがかかったというエピソードも実際いくつもあるそうです。

さて、グロッセート近郊にはアグリツーリズムの看板があちこちで目に付きますが、ロセッレにあるイル・ヴェッキオ・ムリーノは今年の春にオープンしたばかり。トイレ、シャワーつきの6部屋はトスカーナの田舎風シンプルなインテリアですが快適そのもの。テレビ、冷蔵庫こそついていないものの、この素朴さがアグリの本来の姿らしくて好印象。アパート形式の2部屋も近々オープンする予定。オーナーのファビオとアントネッラは農園も経営している感心な若者。(アグリツーリズムはあくまで農業の傍らに行なうことになっており、アグリの収入が農業収入を上回ってはいけないことになっている。) ビート barbabietola を植えたらヌートリアが、とうもろこしは鳩が半分以上食べてしまったとか、トマトは1キロ120リラでしか買い取ってもらえず、降って欲しい時に雨は降らず、降らなくていい時に雨続き、会社勤めの時より気苦労が増えた、とため息をつくアントネッラ。農業というのは私たちの想像以上に大変なのです。庭にはプールがあり、基本的には1泊からでもOK。(但し7〜8月は週単位の予約がほとんど。)値段もダブルの部屋で70ユーロ前後と大変良心的で、マレンマ滞在の拠点に超おすすめ。  

写真説明
左下: ロセッレ考古学地区からの眺めは抜群
右下:道路沿いにもエトルリア時代のお墓が見られる
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★マッサ・マリッティマ Massa Marittima マレンマを訪れるならマッサ・マリッティマ Massa Marittima まで足を延ばしましょう。アーチや彫刻が均整の取れた美しさのドゥオーモは1200年代のものとされ、階段の上からガリバルディ広場を優しく見守っています。モンチーニ通り Via Moncini の坂道を登ると大きな橋の下をくぐり、カンデリエーレの塔 Torre del Candeliere に到着。この塔の上から景色を見ると(ちょっとオーバーだけど)「生きててよかった!」と感動もひとしお。マッサ・マリッティマは地理的条件さえよければサン・ジミニアーノに負けないぐらいの大観光地になってはず。でも、キッチュなスーベニールショップや高級レストランが軒を並べて観光客が訪れるのをてぐすね引いて待っているような、観光ずれをしていないからこそ、お薦めの町です。 ★マレンマの食卓 Maremma a tavola!
海に行けば新鮮な魚を使った魚貝のスープ、カッチュッコ Cacciucco が、内陸部ではおいしいマレンマ牛のステーキが食べられ、山ではポルチーニ茸も取れるマレンマは、味にうるさいグルメも黙らせてしまう土地。私の定番メニューはイノシシ肉(または野うさぎ)のミートソースの幅広パスタ Pappardelle al cinchiale(alla lepre)。トマトの入っていないビアンコならなおよし。そして、普段は白ワイン派の私もここでは迷わず地元の赤ワイン、Morellino di Scansano。比較的ライトで渋みが少なく、お肉料理やペコリーノチーズとの相性もぴったりです。余談ですが、最近冷蔵庫から出したての冷たい状態より常温の方がおいしいことを発見し、ペコリーノを見直しました。みなさんもチーズは一度常温でお試しください。

マレンマはどことなく「癒し系」。駆け足で美術館を巡り、ショッピングに奔走するのとはちょっと違った旅行のつもりで肩の力を抜いて楽しみたいところ。素朴な地元の人の笑顔が作り物ではない暖かさなのも魅力のひとつ。Vedere per credere(百聞は一見にしかず)。読者の皆さんも是非一度マレンマを体験してみてくださいませ。 マラリア改め、マレンマ熱に侵されるかもしれませんので、予め御了承ください。





トスカーナ州グロッセート県 
Dati di Grosseto

■アクセス
◇マレンマ州立公園 Parco Regionale della Maremma 車:国道1号線SS1 Aurelia、アルベレーセ Alberese 出口で降りてアルベレーセの標識に従って町に到着すると公園Parco、チケット売り場まBiglietteriaの看板が出ている。 列車・バス:ローマ-ピサ線 グロッセート駅で下車。RAMAのバスでアルベレーセまで。(平日のみ運行) (Autobus RAMA tel0564454169)

◇マッサ・マリッティマ Massa Marittima 車:同じく国道1号線、出口はフォッローニカ Follonica。マッサ・マリッティマの標識に従い北西に向かって約15〜20分。 列車:ローマ-ピサ線、フォッローニカ下車。Ferrovia Massa Follonicaのバスに乗り換え約30分。(FMF tel 0566 902016)
    
■インフォメーション
 
◇マレンマ州立公園 Parco Regionale della Maremma
Centro Visite del Parco − Via del Fante, Alberese
電話:(国番号39) 0564 407098  Fax: 0564 407278

◇グロッセート観光局 apt Grosseto
Viale Monte Rosa 206, 58100 Grosseto
電話:(国番号39) 0564 414303 / 462611  Fax: 0564 26571 / 454606
Eメール: aptgrosseto@grosseto.turismo.toscana.it
HP:www.grosseto.turismo.toscana.it

■おすすめのホテル
◇マレンマで一番お薦め! アグリトゥリズモ・イル・ヴェッキオ・ムリーノ Agriturismo Il Vecchio Mulino Via Brancaleta 12, 58040 Roselle (GR) 電話&Fax:(国番号39) 0564 402463/ 328 7180575
HP:www.ilvecchiomulinodiroselle.com

◇自家製のワインほかマレンマの特産品などを販売しているショップも充実。 イル・ドゥケスコ・アグリツゥリズモ Il Duchesco Agriturismo
Via Aurelia Vecchia 31/A, 58010 Alberese (GR) 電話&Fax:(国番号39)0564 407323 Eメール: duchesco@italyweb.com
HP:www.ilduchesco.it

◇グロッセートの城壁の中にあり、なにかと便利
バスティアーニ・グランド・ホテル Bastiani Grand Hotel ☆☆☆☆
Piazza Gioberti 64,58100 Grosseto
電話:(国番号39) 0564 20047  Fax: 0564 29321
◇マッサ・マリッティマのチェントロ
ホテル・イル・ソーレ Hotel Il Sole ☆☆☆
Via della Libertà 43, 58024 Massa Marittima (GR)
電話:(国番号39) 0566 901971  Fax: 0566 90199

■おすすめのレストラン
◇地元の人のお薦めNo.1
イル・トルダイオ IL Tordaio
Via Batignanese 113, Canonica Roselle (GR)
電話: 0564 402248

■その他
◇トスカーナのよりすぐりワインが揃っている。自家製のお菓子(パンフォルテ)もお土産にどうぞ。
エノテカ・レ・ロッジェ Enoteca Le Logge
Via Libertà 32, Massa Marittima (GR)
電話:0566 901266

◇ハンブルグ出身のアーティストが開いた陶器のお店
A.V.d.N
Via Moncini 33, 58024 Massa Marittima (GR)
電話:0566 940208

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著者プロフィール

田中 佳代子(たなか かよこ)
読書少女だった子供の頃「東方見聞録」に惹かれてマルコ・ポーロ出身のベネチア行きを決意するが、91年にフィレンツェに駐在してからは、あまりの居心地のよさにずっとトスカーナに住みついている。
現在はダイビングインストラクターの夫とペットのうさぎとアヒルと共にオリーブとブドウ畑に囲まれたルッカの郊外に暮らす。 いつかはマルコ・ポーロさながらにシルクロードを端から端まで旅するのが夢。



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