1月23日でセリエAも折り返し、リーグ後半戦に入ってきました。スクデットを狙うトップ争いの主役は相変わらずユベントスとミラン。最近の試合で、両チームとも格下のチームを相手につまずきました。まずはミランがボローニャとリボルノにまさかの連敗。一時的にユベントスがミランに大差をつけ、これで競争もなくなったかと思われましたが、今度はなんと、ユーベがサンプドリアとパレルモに連敗。これでおあいこ。勝ち点の差は、元通り2点に戻りました。これでまたまたスクデット争いが再開。
そして、その下では新参者(今季セリエAに昇格したという意味で)のパレルモやカリアリの奮闘も目覚しく、お団子レースも少しづつばらけてきた感じです。そして、意外な健闘をしているチームの中に、中村選手のレッジーナがいます。レッジーナは、その歴史上初めて順位表の左側(順位の半分より上)に位置。2/13現在、9位です。今晩のミランとの試合結果次第ではそれ以上に昇れるか?!(かなり難しいですが、分かりませんよ〜。ホームではユベントスを負かしたこともありますから。この結果は、次回をお楽しみに!・・・ではなく、このコラムの終わりでお伝えします(笑))
さて、前置きが長くなりましたが、ここからが本題!
12月のコラムで、年末最後の試合は久しぶりにフィオレンティーナを見ると書きましたが、その後また南担当に。でも、この1ヶ月フィオレンティーナ担当が続いています。(来週からまた南の女(?)に戻りそうですが。)
ということで、今回は、フィオレンティーナ&中田選手についてちょっとお話ししますね。今季、あまり中田選手を見る機会がなかったので、必然的に中田選手の話題が少なくなっていました。せっかくですから、今月はフィオレンティーナ&中田選手特集とまいりましょうか。といっても、今のフィオレンティーナの状況を見るとあまりポジティブなことが書きにくいところ。それで、タイトルも「驚きの・・・(シリーズ完結です)」という枕詞を付けてみましたが、メッシーナ、レッジーナのときとは違って、ネガティブな「驚き」です。本来なら順位表のこんな位置にいるべきチームではないという意味で。
今日(2/13)のフィレンツェは、少し雲が出ていますが暖かく小春日和の良い天気です。本日は、フィオレンティーナ−パルマの取材で、フィオレンティーナのホーム、アルテミオ・フランキ・スタジアムに来ています。(JITRAのHP更新日の直前だというのに、まるで実況中継のようにスタジアムでこのコラムを書いています(笑)途中で、「ゴーーーーーーーーーールっ!」とか叫んでみましょうか?ちなみに前半終了で両チームともゴールなし、0−0です。)
そして今日はダービーです。フィオレンティーナとパルマ、一体何のダービー?と思われるでしょう?なんと不名誉なことに、「残留」をかけたダービーです。まだ、リーグ戦が折り返したばかりの時期なので、「残留」をかけた戦いという表現は気が早い気もしますが、両チームとも、こんな順位にいること自体不名誉なことで、気の短い人たち(サポーターや特にジャーナリストたち)は、今日の試合にこの不名誉なタイトルをつけています。
ご存知の方も多いと思いますが、フィオレンティーナはイタリア名門チームの1つですが、数年前にセリエBに降格。その年セリエBのリーグ戦に登録できなかったフィオレンティーナは、2002−03シーズン、セリエC2(プロリーグの一番下のカテゴリー)からやり直しに。このリーグ戦を楽にクリアし、次はセリエC1に。ところが、日本では絶対にありえないと思われるわけのわからないエピソードの結果、フィオレンティーナはセリエC1をスキップ、タナボタ式にセリエBに昇格。そして昨シーズンやっとのことでセリエAに滑り込みました。(詳しくは、「フィレンツェへ行こう」のフィオレンティーナの歴史をご覧いただきたいと思います。)
苦汁をなめさせられた2年の後にトップリーグにやっと復帰、サポーターたちは大熱狂。特に、この町のヴィオラ(Viola:シンボルカラーの紫色)と呼ばれるサポーターは過激なことで有名。それだけに、この地でプレーするのは難しいとされています。そして、特に背番号「10」に対するプレッシャーはきつい。それは、フィオレンティーナというチームが、ロベルト・バッジョやバティストゥータ、アントニョーニ、ルイ・コスタなどの偉大な背番号「10」の選手を抱えていたという歴史があるからです。そして昨年の6月に新天地を求めてやってきた中田選手が、この番号を背負うことになりました。
このコラムでも何度か書きましたが、中田選手は昨シーズンの終わりから右股関節痛に悩まされ、思ったより回復に時間がかかり開幕戦も出場を見送りました。彼を含め、当初予定していた選手がケガなどの理由で使えない状態になったため、チームは夏の移籍市場が閉まる直前にマレスカ、ミッコリなどの選手を獲得。これによってフィオレンティーナの攻撃陣(攻撃的MFとFW)のポジションは競争が激しくなりました。
彼自身、痛みなく動けるようになったとはいえ、長期にわたって試合の場を離れていたこともあり、完全な意味で(90分をとおして戦うリズムや試合感を取り戻すなど)調子を取り戻すには更に時間がかかります。リーグ戦の始めは、控えでスタートして後半に試合に入るというパターン。ようやく10/17のフィオレンティーナ−シエナ戦で先発します。しかし、この時期になるとチームの状態が良くなく、7試合が終った段階で1勝しかできていないフィオレンティーナは、監督をモンドニコ氏からGKコーチのブーゾ氏に代えます。ブーゾ監督の採用は一時的なものと思われていましたが、その後ポジティブな結果が続いたことから、ブーゾ氏の続投が確定します。中田選手は、10/31のフィオレンティーナ−レッチェ戦で初めて90分フル出場。(最後のフル出場は昨年の5/9なので、約半年ぶり。)しかしこの時期に、フィオレンティーナセリエC時代からチームを支えてきたボンバー、リガノが復帰。攻撃陣のポジション争いが激しくなり、中田選手は再度スタメンを外れます。年末最後の試合は先発出場しますが、年明け一発目の試合は、背中に痛みを訴えてベルガモへの遠征にも参加せず。その次の試合も不参加で、その次はベンチ。
そして1/23のフィオレンティーナ−ローマ戦、中田選手はスタメンに戻りますが、チームは成績不振で緊迫した状態。ここで再度監督が交代します。今度の監督はイタリア代表監督も努めた元イタリア代表の守護神ディーノ・ゾフ氏。監督が交代しても相変わらずフィオレンティーナは負け続けます(イタリア杯でローマに負けたのも入れると4連敗!)が、ゾフ監督は積極的に中田選手をスタメンで起用します。
23節のサンプドリア−フィオレンティーナ戦は不幸な試合でした。冬の移籍市場で驚きの獲得をしたFWボジノフ(2/15で19歳。レッチェから獲得した期待の新星)が、前半8分、レッドカードで退場。その3分後にもフィオレンティーナはもう一人選手を失います(主審に暴言を吐いたという情けない理由でデッリ・カリがレッドカード。この判定が厳しすぎると抗議したためGMは半年間の失格処分。)。試合開始後約10分から9人で戦ったフィオレンティーナは惨敗。対するサンプドリアも、あまりに気の毒でゴールしても喜べない状態。たった一人敵陣に取り残され、それでもなんとかゴールをしようと一人で涙ぐましい努力をしたFWのミッコリには、交代の際にサンプサポーターから熱い拍手が。この試合、中田選手はベンチスタートでしたが、こんな状態では出場機会なし。それでも仕方ないという試合でした。
ここまでくるとフィオレンティーナの順位は、下から4番目、完全なレッドゾーン入りです。(下から4チームがセリエBに降格します。)そこで、上記の話に戻るわけですが、同点でパルマもこの順位にいます。
連敗による自信喪失の上、ヴィオラ・サポーターからのプレッシャーもあり、もはやチームは完全に萎縮している印象を受けます。
このゲームも、決して見ていて楽しい試合ではありません。パルマの方がクオリティーのある選手が多いのは明らかです。しかし、後半開始直後、フィオレンティーナ先制。それによって少しは勢いがつき、更に36分にも追加点が。その直後、こちらも必死なパルマが点を返します。どうにか同点に追いつきたいパルマの猛攻撃にも耐え抜き、フィオレンティーナは貴重な勝ち点3点を得ることができました。2005年初めての勝利、まさに最後の勝利(12/19)から約2ヶ月ぶり。これで、下から5番目に。微妙な1歩ですが、どうにか前進しました。これで、ゾフ監督が言っているように「チームが自信を取りもどすきっかけ」になれば良いのですが。
熱すぎるサポーターを持つフィレンツェで、今のところ中田選手は、難しい時期を過ごしています。久し振りに見た1/23の試合で、ベンチに下がる際にサポーターのブーイングを受けていたのには、正直ちょっとショックでした。私の見解からすれば、あの試合、決して良かったとは思いませんが、最悪の時期から比べると確実に良くなっていると思います。続くカリアリ戦では、TVの最優秀選手に選ばれました。しかし、いまだホームで「migliore(ミリオーレ:ベストな)NAKATA」を見せられていないという事実はあります。ヴィオラ・サポーターは本当に難しいサポーターです。早く彼らに認めてもらえるプレーを見せて欲しいものです。またしばらく中田選手を見る機会がなくなりそうですが、次に見るときにはブーイングが拍手に変わっていることを願っています。
久し振りのフィオレンティーナ&中田選手の話題は長くなりすぎてしまいました。さて、最後に上記のレッジーナの結果を。・・・残念ながら、オウンゴールという悔しい結果でミランの勝利。しかし、試合自体はレッジーナの方が良かったようですよ。それだけになおさら0−1の結果が悔やまれるところ。それでも9位は変わりません(単独9位が、同点3チームになっただけ)。
それでは、みなさん、また来月!
■2月・3月の試合スケジュール
○2月19日(土) <第25節>
18:00〜 メッシーナ−ユベントス
○2月20日(日) <第25節>
15:00〜 シエナ−フィオレンティーナ
15:00〜 サンプドリア−レッジーナ
○2月26日(土) <第26節>
20:30〜 フィオレンティーナ−ウディネーゼ
○2月27日(日) <第26節>
15:00〜 レッジーナ−キエボ
15:00〜 レッチェ−メッシーナ
○3月6日(日) <第27節>
15:00〜 フィオレンティーナ−レッジーナ(日本人ダービー)
15:00〜 メッシーナ−ラツィオ
○3月13日(日) <第28節> *TV放送のため前後する可能性あり
15:00〜 レッチェ−フィオレンティーナ
15:00〜 レッジーナ−メッシーナ(日本人ダービー)
著者プロフィール
新谷智子(しんたにともこ)
1967年広島県呉市生まれ。17歳でイタリアに憧れるも、普通に日本の大学へ進学。
大学でイタリア語を第3外国語としてかじった後、インテリア雑貨輸入、販売の会社に就職。 2年目に、イタリア語研修のご褒美をいただきヴォルテッラ(トスカーナ)で4ヶ月ホームステイ。
96年末に退社するまで、イタリアからの伝統工芸品の輸入に携わる(その間にも約1年、イタリアに自費留学)。
98年イタリア語復習の目的でペルージャに再留学。そこで、サッカーに関わる今の仕事と出会う。
まったくのサッカー音痴が、優秀な記者の指導の下、共同通信社の現地特別通信員としての経験を開始。
昨年のW杯では、仙台にてイタリア代表チームの合宿を密着取材。 今年6年目、いまだ中田選手を追う日々は続いている・・・
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