さて、開幕戦から続いた怒涛の9月が終わり、今週のセリエAはお休みです。お休みといっても、各国の代表チームは2006年ワールドカップ予選の試合があって、代表チームに呼ばれた選手たちは休む暇がないわけです。9月12日から10月3日まで、週2回づつ試合があり、私個人的にもシチリア(メッシーナ)に行くことも多く、移動が大変。プレーするわけじゃないのに疲れるんですから、試合に出て、毎日練習して、移動する選手たちはものすごく大変なんでしょうねぇ。
大変と言えば、チームの指揮をとる監督たちも大変。ノンストップのスケジュールをこなすだけでも気苦労が多いのに、結果が出ない場合、「監督解任」の脅威にさらされることにもなるのです。こんなに試合のスケジュールが詰まっていると、チームを修正したくても色々なことを試してみる暇がない、それなのに気の短いイタリア人たち(チームの会長やサポーター、そして特にジャーナリスト)は色々と監督の責任を追及し始めます。というわけで、リーグ戦の中休みの前には必ず、そういう話題が新聞をにぎわせ、監督たちに息つく間も与えません。本当にお気の毒・・・そんなお気の毒な監督の中にフィオレンティーナのモンドニコ監督の名前も。
フィオレンティーナの場合、予想外のけが人の続出でメンバーが整わず、監督が当初頭の中に描いていたチームが作れていないままリーグ戦が始まってしまいました。当然、揃わなかったメンバーの中には中田選手も含まれます。7月に合宿が始まったばかりの頃、「中田選手を中心に組み立てる」といっていたチームは、開幕戦までには間に合わず、その数日後のイタリア杯で初めて試せるようになりましたが、まだそれで試合をスタートできる状態にはなっていません。しかも、まだフォワードのリガノが負傷中なので、完全な形ではない。本来なら、練習試合などをしながら連携のパターンを作りたいところでしょうが、公式戦が3日おきにあっては、そこでぶっつけ本番でやってみるしかない状態。モンドニコ監督としては、どうにか中休みまでたどり着いたという心境で、早急にチームを整え直したいところでしょうね。この時期、こういうチームにとっては、この試合のない2週間がとても貴重なのです。
しかし、この中休みを快く思わないチームもあります。おそらくメッシーナもそんなチームの1つでしょう。快く思わないというよりも、せっかくの勢いを途中でさえぎられるのではないかという心配といった方が正しいのかも。
その勢いとは・・・
ここまで5試合行われたリーグ戦を振り返ってみると、なんと、順位表の2番目にメッシーナがいます!
1位は勝ち点13点のユベントス。これには誰も驚きません。しかし、昨シーズンのスクデット(リーグ優勝)を手にしたミラン(3位)の前にメッシーナがいるのは驚き。
この時期、まだこなした試合数が少ないので、こういうことは普通に起こるし、当然、この結果で今年のリーグ戦は・・・と言うことはできません。しかし、このようにセリエBから昇格してきたばかりのチームが、その勢いに乗って健闘を続けることは毎年あって、その年のリーグ戦のsorpresa(驚き)となります。
そういえば、昨年、数年ぶりにセリエA復帰を果たしたサンプドリアも、リーグ戦後半にはUEFAカップ出場(上位5位から7位)を狙える位置にいましたね。昨年、柳沢選手はサンプにいたのですが、これは単なる偶然でしょうか?「そりゃあ、柳沢選手が頑張ったから」と言えないのがちょっと辛いところ・・・
しかし、昨年のサンプドリアの場合は、真のsorpresaとは言いがたいところがありました。というのも、もともとはセリエAの常連であるべきチームだし、その前年からセリエA復帰を目指したプロジェクトを準備し、昇格は計画通りという感じなので、驚きというよりは、当然といった方が正しいかもしれません。
しかし、メッシーナは約40年ぶりのセリエA、しかもその歴史上2度目(その前は1963〜65の2年間)。今回、彼らの驀進を見ていて思い出すのは、1999/2000年のシーズンに初めてセリエAにデビューしたレッジーナ。このときのレッジーナは、初めてのセリエAの熱気で異常なほどの勢いがあり、どこへ行くにもサポーター(地元からついてきたサポーターだけではなく、イタリア中いたる所にいるカラブリア人も含めて)がついてまわり、第5節まで負け知らずでした。
現在メッシーナは、5試合終って勝ち点11点(勝ち点は、各試合の結果を「勝ち」3点、「引き分け」1点、「負け」0点で累算して出します)、3勝2分けで、負け知らず。ただ、このメッシーナのすごいところは、3勝のうちの2勝利が、対ビッグチームということです。第2節のローマ戦は、ホームゲームだったこともあり、10歩譲って起こりえると言えます。しかし、3試合目は奇跡としか言いようがない。昨シーズンの王者、ミランに対してサン・シーロ(ミランのホームスタジアム)で勝つなんて!しかもこの試合、圧倒的にミランが押しまくり、2分に一度はシュートがメッシーナのゴールを襲うような試合でした。シェフチェンコが蹴る、ピルロのフリーキックがゴールの枠を狙う、ピッポ・インザーギが復活したこともありペナルティー・エリアの中は危険な雰囲気が満ちています。その嵐のようなシュート攻撃に、メッシーナのディフェンス陣は耐え抜きました。ゴールキーパーのセーブもしかり、チームが一致団結してゴール前を守る壁になり、自分たちの貴重な2ゴールを死守したという感じ。事実、メッシーナのシュートは後半で3本だけ、なのにそのうち2本がゴールの中へ。なんとも効率の良い攻撃です。5分の間にミランが1ゴール、メッシーナが2ゴールを決めて終ったこの試合でメッシーナは注目の的になりました。そして、このときも3千人のメッシーナサポーターが12番目の選手として加勢していました。
正直言って、私もリーグ戦の試合日程が発表になった時、「日本人のいる3チームの中で一番不幸なのはメッシーナだな・・・」と思っていたので、まさかこの時期に勝てるとは予想もしていませんでした。開幕戦がアウェーでパルマ、2戦目にホームでローマ、そのまま続いてアウェーでミラン。4試合目は、ホームでキエボ。いいチームが続いているではありませんか!思わず「かわいそうなメッシーナ・・・」と思ってしまうでしょう?
さて、来週(10/17)試合が再開されるまで、選手たちの精神力がもっているかが問題です。ムッティ監督も「選手たちは、自分たちの本来の力を超えた力で戦っている。」と言っています。まさに気力で戦っている状態なので、どこまで続くか、その後にガタっと疲れが出るのではないか心配なところですが、幸先の良いスタートを切ったメッシーナは、従来の目標である「残留」は大丈夫なのではないでしょうか。あとは、こんなに調子の良いチームの中で、柳沢選手がポジションを獲得できるかが注目されるところです。
最後に、余談ですが、メッシーナ(町)について。やはりシチリアの町だけあって、海はあるし、お魚はおいしいし、人は温かいし良いのですが、なんとも行きにくい!町に空港がないので他の町(カターニャ、もしくはレッジョ・カラブリア)からバス、電車、フェリーなどに乗ってやってこないといけません。でもそれは、自分たちで手作り旅行をする人たちにとっては楽しいことの一つでもあるし、車窓の風景も楽しめるので、そんなに大変なことではないと思います。では、何が大変かというと・・・スタジアムへの道のり!私も今まで4回行きましたが、毎回入り口で迷います。「毎回おまわりさんに誘導されて入るわけにはいかない!」と地元記者たちに訴えると、「まだ観客を誘導している人たちもはっきり分かっていなくて混乱してるんだよ・・・」との答え。タクシーの運転手も「初めて来る」という人が多く、「そこまでは入れない」とか「どこから入るんだ」とか逆に質問される始末。これでは、日本人観光客が来るのは難しいだろうな・・・と心配になるのですが、ちょっと歩く覚悟で、地元サポーターに混じってバス(送迎サービス)を利用して行ってみてください。実のところ、私もまだメッシーナに関しては手探り状態で具体的なアドバイスができないのですが、メッシーナの市バスに電話で問い合わせた情報を「メッシーナへ行こう」に載せていますので参考にしてみてください。今後、具体的にわかることがあれば情報を更新しますので、現在のところはこれでご了承ください。替りにと言ってはなんですが、タクシーにまつわる私の失敗談も書いてますので、是非みなさんご注意ください!
ついでに、朝食として是非「グラニータ・ディ・カフェ・コン・ブリオッシュ(ブリオッシュと呼ばれるパンとコーヒー味のシャーベット)」をお試しください。グラニータにはパンナ(生クリーム)をお忘れなく!
■10月・11月の試合スケジュール
○10月16日(土) <第6節>
20:30 ユベントス−メッシーナ
○10月17日(日) <第6節>
15:00 フィオレンティーナ−シエナ
20:30 レッジーナ−サンプドリア
○10月24日(日) <第7節> 15:00〜
ウディネーゼ−フィオレンティーナ
キエボ−レッジーナ
メッシーナ−レッチェ
○10月27日(水) <第8節> 20:30〜
レッジーナ−フィオレンティーナ (日本人ダービー)
ラツィオ−メッシーナ
○10月31日(日) <第9節> *TV放送のため前後する可能性あり。
フィオレンティーナ−レッチェ
メッシーナ−レッジーナ (日本人ダービー)
○11月7日(日) <第10節> *TV放送のため前後する可能性あり。
フィオレンティーナ−インテル
レッジーナ−ユベントス
ボローニャ−メッシーナ
○11月10日(水) <第11節> *TV放送のため前後する可能性あり。
ユベントス−フィオレンティーナ
パルマ−レッジーナ
メッシーナ−パレルモ
○11月14日(日) <第12節> *TV放送のため前後する可能性あり。
フィオレンティーナ−リボルノ
レッジーナ−ローマ
ウディネーゼ−メッシーナ
著者プロフィール
新谷智子(しんたにともこ)
1967年広島県呉市生まれ。17歳でイタリアに憧れるも、普通に日本の大学へ進学。
大学でイタリア語を第3外国語としてかじった後、インテリア雑貨輸入、販売の会社に就職。 2年目に、イタリア語研修のご褒美をいただきヴォルテッラ(トスカーナ)で4ヶ月ホームステイ。
96年末に退社するまで、イタリアからの伝統工芸品の輸入に携わる(その間にも約1年、イタリアに自費留学)。
98年イタリア語復習の目的でペルージャに再留学。そこで、サッカーに関わる今の仕事と出会う。
まったくのサッカー音痴が、優秀な記者の指導の下、共同通信社の現地特別通信員としての経験を開始。
昨年のW杯では、仙台にてイタリア代表チームの合宿を密着取材。 今年6年目、いまだ中田選手を追う日々は続いている・・・
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