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  エッセイ  ”フオーリ・ジョーコ”  FUORI GIOCO
13 maggio 2004 
その7. イタリアリーグ総まとめ(!?) 〜2003/04シーズンを振り返って〜  
新谷 智子
                        





ついにセリエAも終了まであと1試合を残すのみとなりました。
しかし、こんな間際になって(間際だから?)、賭博疑惑が浮上し、現在セリエAは混乱した状態です。
まだ事実は捜査中ですが、直接に関わっているとされている選手を抱えるシエナの今後が注目されています。シエナは、先週、中村選手のレッジーナとともに、残留を確定したばかり。過去には、ミランやラツィオが賭博の事実によりセリエBに降格したこともあります。これによってclassifica(順位)にどのような影響が出るかも気になるところです。

締めくくりにしてこの賭博疑惑。今期は、なにかと「お騒がせ」が多いシーズンだったと言えます。(毎年、日本では考えられない「事件」が起こり、ビックリしますが・・・)
開幕前後は、特にセリエBのチームが大混乱。プレシーズンは、前シーズンの試合結果などの判定にまつわる「事件」(出場停止になっているはずの選手が、試合に出て勝ったことに対して、負けて納得いかないカターニャが、決められた判定機関ではなく一般の裁判所に持ち込んだところから騒動は始まりました)によって大混乱を起こし、収拾がつかなくなった結果、いきなり4チーム増えた24チームでのスタート。このときも、直接関わったチーム以外に、なぜかセリエCにいたフィオレンティーナも棚ボタ式にセリエBに上がってきて、こちらも議論を呼びました。
そして、24チームになって長いシーズンとなったセリエBですが、開幕直前になってもTV放映権に関して合意に達しないチームが反乱を起こし、開幕戦からストライキ。第1節目の試合は、罰則によって自動的に「負け」にするべきとの声もありましたが、さすがカトリックの国、恩赦とも言える対処で試合をやり直すことになりました。そういうわけで、セリエBは6月まで続く長いリーグ戦を今も熱く戦っている最中です。

さらに、財政面でも多くのショックがありました。ローマ、ナポリなどのチームが関わった「保証金」問題もありましたが、何といっても大きな事件は、中田選手が所属しているパルマ(中田選手は今年の1月からボローニャでプレーしていますが、レンタルなので所有権はパルマにあります)の親会社、パルマラットの崩壊。こちらは、サッカーの問題というよりも、イタリア経済に大打撃をあたえる社会的な問題でしたが、当然、その会社の持ち物であった「パルマ」もそのオーナーをなくし、宙に浮いた状態です。現在、チームの買い手を探しているところで、それがどうなるか決まらなければ、それぞれの選手の行く末も定まりません。そういうことで、中田選手の今後もどうなるのか注目されるところです。
それ以外にも、昨年からチームの財政難は大きな問題となっており、ほとんどのチームが「高額選手」の買い控え(プレミアリーグのチェルシーやスペインのレアル・マドリッドが、大枚をはたいて有名選手のコレクションをしているのを横目に見ながら・・・)、選手やスタッフたちの給料カットなど窮策に追われています。それでもなお、セリエCから出直しになったフィオレンティーナのように、倒産の危機にあるチームは少なくありません。

その他、毎試合後、審判の判定をめぐって大議論が繰り返されました。これは、今年に限ったことではありませんが、ビッグチームに優位な審判がされているという「囁き」まで聞こえてくるほどに。特にいつも「声の大きい」(何かあるたびに文句を言わないときがすまないと言う意味で)ガウッチ会長のペルージャ(中田選手が最初に所属したチームの会長で、何かと日本でも有名になりましたね・・・)は、みんなも同情するほど、審判の判定に泣かされ、セリエB降格の崖っぷちに立たされています。

さらに、選手にとっては、ドーピングも泣かされる話題の1つでした。数年前に、「偽パスポート事件」とともに大騒動になったドーピング問題ですが、その時期に活動停止を受けた選手たちも復帰し、更なる例もなく落ち着いたと思ってところに、再浮上。パルマのブラージ、インテルのカロンなどに「陽性」反応が出たため、それぞれ数ヶ月の活動停止の罰を受けました。

事件に巻き込まれたり、経済的な理由で突然奈落の底に突き落とされたり・・・ もはやイタリアサッカーは、純粋に試合の結果だけで、セリエAだとか、セリエBというカテゴリー分けをすることができなくなってきています。イタリアリーグの「腐敗」を嘆く人も多く、ずいぶんとダーティーなイメージを残すことになりました。
しかし、その反動で、スポーツとしての本来の姿を取り戻すクリアーなサッカーが求められています。チームの経済的危機は、この数年、天文学的な数字にまで達していた選手たちの移籍金や報酬の高騰に歯止めをかけました。サッカー市場的には、選手は「買うもの」という意識から、「育てるもの」という意識に変わってきています。常識はずれに高いビッグ選手より、将来の可能性を秘めた若い選手を育てていく必要性を
みんな感じているのです。
そういう意味において、今の時期が、サッカーがまともな姿にもどるための「浄化」の時期だと言えるのかもしれません。

さて、暗い話しは終わりにして、本来の意味での総まとめを。あと1試合を残しているので、完全な順位表は出せませんが、今期は、前もって順位が決まったシーズンでした。優勝チームも、残留も、最後の最後までわからないというここ数年から見ると、なんとなくあっけない感じですが、一部の順位以外は、安心して最終戦を迎えられるという状態です。
今年スクデット(リーグ優勝)を手にしたのは、先月の予想通り、ミラン。最終から3試合前の5月2日に、2位のローマとの直接対決で勝ち、優勝を決めました。
残留に関しては、中田選手のボローニャは3試合を残したところで安全地帯に入り、中村選手のレッジーナもこの間の日曜日(5/9)に残留を決めました。このレッジーナ、実を言うと、私は降格すると確信していました。理由は先月述べたとおり、強いチームが並んだ対戦カードを見れば明らか。しかし、その難しいと思われていたカードが、ミランの優勝、残留をかけた直接ライバル、レッチェの早めの残留確定によって、全てラッキーなカードに変わったのです。優勝を決めてしまったミランにとってレッジーナ戦は消化試合。今期最高潮のミランに普通ならレッジーナが勝てるわけがないのですが、先週は2−1でレッジーナの勝利。それによって大切な勝ち点3点を加えて残留ゾーンに滑り込みました。
このレッジーナと並んで、文頭で触れた賭博疑惑の渦中にあるシエナが、直接対決でモデナを下し、ここまでが残留確定。

あとは、上から4番目と最後から4番目の順位が、明日(5/16)の試合の結果で決まります。
上から4番目は、最後に残っているチャンピオンズリーグ出場権を手にできる位置。今のところ、勝ち点56のインテルと、55点のパルマ、53点のラツィオの3チームが最後の1席をかけて鎬を削っています。(チャンピオンズリーグに出場するのと、UEFAカップに出場するのでは、収入に大差があるため、経済的問題を抱えるパルマもラツィオも必死でしょう・・・)
最後から4番目の位置は、残留をかけてのプレイオフ(セリエBの6位と6/16と6/20にホーム&アウェーで対戦)でセリエAの切符を手にできる(かもしれない)瀬戸際の順位。もう崖から半分足が落ちているような状態ですが、くもの糸やわらにもすがる思いをかけて、モデナ、エンポリ(両チームとも勝ち点30点)とペルージャ(29点)が戦います。

なんとなく、サッカーの世界で起きる珍事件やその対処などをみていると、いかにもイタリアと感じるのは私だけではないでしょう。彼らの「どうにか帳尻を合わせる」能力には脱帽しますが、このシーズンを振り返ると失笑せざるを得ないことも数知れず・・・
本当は、違う形で総まとめをと考えていたのですが、思わず「お騒がせ」に熱が入ってしまいました。
そういうわけで、日本人選手たちの「今シーズンを振り返る」はまた次回ということで。
それでは、また来月。

 


著者プロフィール
新谷智子(しんたにともこ)

1967年広島県呉市生まれ。17歳でイタリアに憧れるも、普通に日本の大学へ進学。
大学でイタリア語を第3外国語としてかじった後、インテリア雑貨輸入、販売の会社に就職。 2年目に、イタリア語研修のご褒美をいただきヴォルテッラ(トスカーナ)で4ヶ月ホームステイ。 96年末に退社するまで、イタリアからの伝統工芸品の輸入に携わる(その間にも約1年、イタリアに自費留学)。
98年イタリア語復習の目的でペルージャに再留学。そこで、サッカーに関わる今の仕事と出会う。 まったくのサッカー音痴が、優秀な記者の指導の下、共同通信社の現地特別通信員としての経験を開始。 昨年のW杯では、仙台にてイタリア代表チームの合宿を密着取材。 今年6年目、いまだ中田選手を追う日々は続いている・・・   
 



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