日本は寒いと聞きましたが、みなさん、お元気ですか?イタリアはここ2週間ばかり暖かい日が続いています。小春日和の良い天気に思わず脳みそもボ〜っと。しかし、暖かいはずの南国レッジョ(カラブリア)でのナイター戦で風にさらされ、私は風邪をひいてしまいました。
さて今月は、先月のお約束どおり、柳沢選手と中村選手に焦点を当ててお話しますね。・・・と言ったところで、ちょっと辛口な話題になってしまうのですが・・・ でも、これも彼らにがんばって活躍して欲しいからこそ。
先月、通常の仕事とは別件でサンプドリアを訪問した際に、ノベッリーノ監督と話をしました。正確に言うと、話をしたのは別の方で私は通訳でしたが。そのとき、監督が開口一番、「ヤナに言葉を覚えるよう言ってくれ。」と。監督は、「彼は良い選手で、サンプドリアに役立つ選手なんだ。とにかく彼と直接話しができるように、彼には言葉を覚えてもらいたい。」と言っていました。
これを聞いて、去年の夏合宿の時期にレッジーナのコロンバ監督(11月に解任)が、「ぜひナカ(中村選手のレッジーナにおける愛称)と直接話しをしてみたい。」と言っていたことを思い出しました。
いずれも、彼らの生の声を通して、彼らの人となりを知りたいという両監督の思いです。
この5年半の間に、中田選手、名波選手、中村選手、柳沢選手と、セリエAでプレーしている日本人選手の取材に携わってきましたが、中田選手以外の選手には共通の問題があります。それは、言葉。もちろん壁はそれだけではありませんが、サッカーがチームプレーを必要とする競技であることを考えると、コミュニケーションの問題は大きなものです。特に、最近のセリエAを見ていて思うのですが、1人の中心選手の活躍よりも、チームとしての組織力を重視する傾向にあるようです。
サッカーをしていたイタリア人の友達も、「選手の間でも、まずチームが勝つことが先決という意識はあって、ここは左にボールを出した方がいいなと思っても、右に仲の良い選手がいたら、どうしてもそこにボールを回してしまうもの。仲良くないヤツには絶対ボールを回さない。だからチームメイトとの交流は大切なんだ。」と言っていました。
中田選手に関しては、7月にペルージャにやってきて、半年後の1月には練習中は通訳なしでした。通訳さんはピッチの外にはいましたが、監督の指示やチームメイトとのおふざけは、普通に1人でこなしていました。会見は通訳を介して行なわれていましたが、イタリア人との1対1のインタビューには1人で応えていたようです。地元紙の記者が「ヒデはイタリア語上手いよ。」と言っていましたから。そしてローマ時代には、会見も通訳なしでイタリア語でやるという今のスタイルに。プライベートでもイタリア語の勉強は欠かさなかったようです。
しかし、翌年やってきた名波選手は、半年後の1月になっても、相変らずというか、通訳さんと2人だけで話をし、グループから孤立していました。中村選手も、雑誌で読んだ内容では、「サッカーとイタリア語の勉強の両立はムリ」とあきらめてしまったようです。今季やってきた際に、入団会見でイタリア語の挨拶を披露した柳沢選手も、最近の噂ではイタリア語の勉強をやめてしまったとか。
「イタリア語嫌い(?)」は、彼らだけではありません。近年、セリエAでプレーする選手たちの影響も大きく、イタリアにサッカーをしに来る人が増えました。彼らがよく口にするのは、「自分はサッカーをしにイタリアに来たんだから、言葉なんかできなくてもプレーができればいい。」です。サッカーを目的に来る人たちだけがそうだとは思いませんが、私が知る限り、そういう傾向が強いようです。
私もそうでしたが、自分の意志でイタリア(外国)に来た場合、渡航前や来てすぐに考えることは、「何をするにも、まず言葉」ではなかったでしょうか?料理や音楽、ファッションなどなど、色んな目的を持ってイタリアに来る人たちと、まず語学学校で知り合いました。もちろん、直接自分の目指す世界に飛び込む人もいましたが、彼らは即イタリア語の洗礼を受けるため、言葉の収得が早いという恵まれた環境にあり、逆に語学学校でゆったり勉強している身からは羨ましく思えたものです。
いずれにしても根底には、言葉というコミュニケーションの道具を通じて、他の人たちと意見の交換をしたい、自分が憧れてきた世界に溶けこみたいという気持ちが強くあったと思います。
要するに、言葉の問題は、意識やメンタリティーの持ち方の問題で、はっきり言い切ってしまうわけにはいきませんが、「言葉はどうでも良い」という人からは、「自分の世界」を飛び出そうとする気持ちが希薄な印象を受けます。
さて、我らが日本人選手に話題を戻しますが、中村選手など、器用にボールをさばくテクニックも、ドンピシャにパスを出す正確さも、それに何と言っても努力では得れない天性のセンスもある選手で、それはイタリア人も評価をしています。彼にもう少しメンタルの面で努力する気があればと、本当にもったいなく思います。サッカーのプレーについて色々と考えをめぐらせているという彼ですから、サッカー以外のことにも考えをめぐらせることができると思うのですが・・・
柳沢選手についても同様。結婚を機に、自分たちを取り巻く環境に飛び出して、サッカー選手としてだけでなく、人間としての幅もひろげて欲しいものです。そのためにも、言葉は大切!です。
■2月・3月の試合スケジュール
○2月21日(土) 18:00〜
サンプドリア−パルマ
○2月22日(日) 15:00〜
ボローニャ−ユベントス
レッジーナ−ペルージャ
○2月28日(土) 18:00〜
シエナ−レッジーナ
○2月29日(日) 15:00〜
ペルージャ−ボローニャ
サンプドリア−キエボ
○3月7日(日)
ボローニャ−ラツィオ
アンコーナ−レッジーナ
ミラン−サンプドリア
○3月14日(日)
レッジーナ−ローマ
サンプドリア−ボローニャ(日本人ダービー)
*3月の試合は、Tv放送の関係で前後する可能性があります。
*2月15日の試合(1/15更新分)は、中村選手、柳沢選手の2選手はいません。(日本代表戦のため早めに帰国しました。)中田選手のみ、ボローニャ−モデナ戦(一応、エミリアダービー)を終えてから帰国します。
著者プロフィール
新谷智子(しんたにともこ)
1967年広島県呉市生まれ。17歳でイタリアに憧れるも、普通に日本の大学へ進学。
大学でイタリア語を第3外国語としてかじった後、インテリア雑貨輸入、販売の会社に就職。
2年目に、イタリア語研修のご褒美をいただきヴォルテッラ(トスカーナ)で4ヶ月ホームステイ。
96年末に退社するまで、イタリアからの伝統工芸品の輸入に携わる(その間にも約1年、イタリアに自費留学)。
98年イタリア語復習の目的でペルージャに再留学。そこで、サッカーに関わる今の仕事と出会う。
まったくのサッカー音痴が、優秀な記者の指導の下、共同通信社の現地特別通信員としての経験を開始。
昨年のW杯では、仙台にてイタリア代表チームの合宿を密着取材。
今年6年目、いまだ中田選手を追う日々は続いている・・・
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