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シエナの小さな村(ボルゴ)めぐり

15 Novembre 2012


第7回 

秋の味覚を楽しもう!  トレクアンダ村  




 文と写真    吉川 雅子

今年の秋は例年に比べてとても暖かい日々がつづいていたトスカーナ地方ですが、ここ10日程でぐっと寒くなり朝晩の冷え込みも厳しくなってきました。ぶどうの収穫が終わり緩やかな渓谷に広がる木々たちがのんびりとしているように思えます。黄色く変化したぶどうの葉がなんとも美しいこの季節ですが・・これからのシーズンはオリーブ!現在各地ではその収穫が盛んに行われています。ワインとオリーブオイルの両方を生産している農家の人々にとって秋は本当に忙しい季節なのだそうです。  

写真トップ@トレクアンダ村の教会と広場           
 写真上左Aオリーブやワインの畑が広がるトレクアンダ村からの景色  写真上右B収穫直前のオリーブ

この時期になるとスーパーや街の小さなお店にもOLIO NUOVO!(オーリオ・ヌオーボ)とかかれた張り紙があちこちに目立ちます。'' 絞りたてのオリーブオイル取り扱っています!'' といったところでしょうか。食材に対して強いこだわりをもつイタリア人ですが、トスカーナの人々はとりわけワインとオリーブオイルに対する評価が厳しいと言われています。各家庭それぞれにお気に入りのファットリアがあり、予約して個人的に分けてもらうのです。

私がお世話になっている大家さん宅もワインとオリーブオイルの両方を生産する大きなアグリツーリズモを営んでいらっしゃるのですが、このシーズンは朝から電話が鳴りっぱなしなんだとか。「 うれしい半面、またそれがストレスなのよ!」 と冗談まじりに話していました。この季節のトスカーナはSagra(サーグラ)とよばれる収穫祭が毎週のように各地で行われます。私もさっそくシエナ県中部の小さなボルゴ に秋の味覚をもとめてたずねてきました。  

写真上左C村一番の見晴らしがよい場所 快晴の日にはモンタルチーノやシエナがみえる  写真上右Dトレクアンダ村からの景色

●素朴なトスカーナ地方の旅を十二分に満喫
シエナから電車とバスを乗り継いで約1時間30分、アッソ渓谷とキアーナ渓谷にはさまれた小高い丘の上にたたずむ森にかこまれた村 トレクアンダは、まるで海に浮ぶ小さな島のようです。シエナ県のコムーネの1つで、他に2つの小さな村Petroio(ペトロイオ)とCastelmuzio(カステルムツィオ)を管轄しています。
また隣り合わせのコムーネSan Givanni d'Asso (サンジョバンニ ダッソ)、Montisi(モンティージ)と円を描くようにつづく道、5分から10分おきに丘の上に顔をだすボルゴたちは、絵になるようなトスカーナ独特の風景です。ローマへと続くカッシア街道からは少し外れた場所に位置しているため、このあたりの集落の存在を知る人は意外と少なくツーリストの数もさほど多くはありません。周辺に点在する名の知れた村、たとえばモンタルチーノ、ピエンツァ、サンクイーリコ ドォルチャ、モンテプルチャーノ などはいつも観光客でにぎわっているのですが・・。

写真上左E昼下がりの村の様子  写真上右:Fポルタ・アル・ソーレ: 村に残存する門

素朴なトスカーナ地方の旅とスローフードを楽しみたい人に、ぜひオススメしたいボルゴ、トレクアンダはひっそりとした静かな村ですが、 Touring Club Italiano(イタリア旅行協会)からは「バンディエーラ アランチョーネ」と呼ばれる「オレンジの旗」が授与されています。これは観光と環境の質がその土地で高く保たれていることを認定するもので、いくつかの厳しい審査基準を満たしている町にのみ与えられる名誉ある称号です。リグーリア州で発足された1998年から2012年5月現在までに全国で191の小さな村や町がこのTouring Club Italianoから推奨をうけています。

●トレクアンダ村の歴史
トレクアンダの歴史は大変古く紀元前にさかのぼります。このあたり一帯からはエトゥルリア時代(紀元前3世紀から1世紀頃)の遺跡が発掘されていて 「トレクアンダ Trequanda」 という、どこかふしぎな音の響きもこの民族がこの村を「Tarkonte」 と呼んでいたからなのかという説や、また村の城壁にかつては3つの門が存在していた(現在は2つだけがのこっている)ことから「 Tre Guarda =3つの見張り場」 という説、またラテン語で「Terram Quadram」 = イタリア語で 「Terra particolare」= 「特別な大地」 とまさにトレクアンダのぽつんと孤立した独特の地形を意味しているのでは?など、ボルゴの名の由来ははっきりとしていません。

写真上Gカッチャコンティ城 どっしりした迫力ある城壁    

中世時代の雰囲気が今も色濃く残るこの村の歴史がはじめて書類上に記録されたのは1198年のこと。シエナからローマへとつづくカッシア街道が出来る前の話です。当時の人々はローマからキウージ、そしてキアーナ街道を通りシエナ方面へと続く道を歩いていました。その街道の途中に位置していたのがこのトレクアンダ村です。標高は462m、見晴らしのよいこの土地がもつ条件は当然権力者たちにとっては魅力的なものであったことは言うまでもありません。村の入り口には円筒状のどっしりとした城がにらみを効かせています。もともとはフランク族出身の領主カッチャコンティ伯爵の所有物でしたが、村はその後シエナとフィレンツェの権力争いに何度も巻き込まれ、最終的に1555年トスカーナ大公国に統合されています。

  写真上左Hトレクアンダ村の教会 美しいファザード  写真上右I教会の中央祭壇

●静かな広場の美しい教会
丘の上のトレクアンダをめざしてバスはカーブの多い坂道をゆっくりとのぼっていきます。そしてカッチャコンティ城を通りすぎたら村の中の小さな広場に到着します。バスを降りて一番に先に目を惹くもの・・それはファザードがとても美しい13世紀のロマネスク様式 「サンティ・ピエトロ・アンドレア教会 La chiesa dei Santi Pietro e Andrea」 です。とても明るい印象をうけ夜空にも幻想的に浮かび上がります。教会内部には貴重なシエナ派のルネッサンス時代の絵画やフレスコ画、彫刻などが保存されています(ジョバンニ・ディ・パオロ や ソドマ、ロッビアーナ派のマヨリカ焼きなど)。

中央主祭壇下の1500年代製の豪華な木製棺には、ベアータ・ボニツェッラが眠りいまもこの村を守り続けています。カッチャコンティ家出身の女性で、戦争がつづき苦悩が後を絶たなかった中世の時代、トレクアンダ村の人々を助け励まし、また福音書の道徳律の見直しなどもおこなっていた人物です。彼女は1300年5月に死去していますが、現在でも毎年村をあげての祭典がおこなわれ、コンサートや馬のギャロップなどがおこなわれています。

写真上左Jフラントイオにて 昨年各農家が協力して購入した搾油機はフェラーリが3台買えるお値段とか・・。  
写真上右Kバールでもオルーブオイルが販売されている


●澄んだ空気と緑豊かな環境がつくりだすクオリティ高い食材
トレクアンダとその周辺の小さなボルゴは森に覆われていて、周りに広がる牧草地には羊たちが群がり、質のいい自然の草を食べて育っています。そして羊のミルクからは、こくのある高品質のペコリーノチーズがつくりだされるのです。またワインやオリーブ畑、穀物の栽培、ハーブ園のハチミツなど、小さいながらもトレクアンダは独自のブランドをつくりだしています。先日訪ねたフラント−イオ(オリーブ搾油場共同施設)で代表の方にお話を伺いました。村は標高があるために害虫も少なく殺虫農薬を一切使わない栽培法、また収穫は機械を使用せず、現在もすべて手法で行われているのだそうです。                                        

写真上左L搾りたてのオリーブオイルをつかったアンティパスト  写真上右M価格は農家によって様々 1本18ユーロから30ユーロ

搾油施設をもたない小さな農家の人々はそれぞれに頃合をみはからって自分達の畑の収穫日を決めます。そして朝に摘んだ作物はもうその日の夕方にはフラント−イオへと運び込まれ、新鮮な搾りたてのオリーブオイルはボトルまたは缶につめられ密閉されます。カラーはまるで森の色、香りも新鮮です。味はすこしピリッとしたほろ苦さがあります。塩気のないトスカーナの薄切りパンに スッとひとすじ・・シンプルな田舎の食べ物ですが風味は最高でした!また鯛や海老など魚介類との相性もピッタリなのだそうです。

●村の入り口にある一軒のお肉屋さん
国道から村へ入るところに、親子4世代に渡って経営されている老舗のキアーナ牛を取り扱った大きなお肉屋さんがあります。高品質が保障されていて、トスカーナでもかなり有名なお店なのだとか。遠くからわざわざ足を運び買いに来る人はたくさんいるのだそうです。

写真上Oキアーナ牛を扱う老舗の肉屋さん

肉のお刺身をいただきましたが、やわらかくてまったく臭みのない味わいでした。もちろんオリーブオイルをかけて食べましたが青い香りが鼻から抜けそれは最高の取り合わせだったように思います!村の中のレストランでもいただけます。おススメです!


著者プロフィール
吉川 雅子(Yoshikawa Masako)

大阪出身。クラブ活動だけに身をささげてきた学生時代、プロスポーツ選手としても活躍。また看護師として約10年間の病院勤務経験をもつ。
趣味であったイタリア旅行を 「イタリア暮らし」 というスタイルに変更しVenezia Bologna Firenze Napoliなど生活の場を転々とさせながら各地の食文化やカンパニズモについて学ぶ。現在はSiena在住。シエナの人々が愛するPalio(パリオ)の歴史の深さに感動し、またこの小さな街で大きく花開いたシエナ派ゴシック美術に魅了され本格的に勉強を開始。2012年からは県の公認ガイドとして新たな出発を切った。「イタリアを暮らすように旅する」 というコンセプトをもとにトスカーナ地方を中心とした旅コーディネーターとしても活躍する。
サイト: http://www.kurasutabi.com/



データ
Dati
トレクアンダ  Trequanda 
(Comune di Trequanda)

■トレクアンダ村への交通アクセス
国鉄シエナ駅から乗車し国鉄シナルンガ駅 ( Sinalunga )で下車( 約50 分 )。
乗り換え→ 駅前のバス停からマドンニーノ(Madonnino )行のバスに乗車。トレクアンダ(Trequanda )で下車。(約15分)
※注意 バスは本数が限られています。事前に時刻表を参照してください。

シナルンガ駅からのバス時刻表:http://www.lfi.it/orari_linee_si_mob/F_ST1.pdf
イタリア国鉄サイト:http://www.trenitalia.com/

■トレクアンダ村観光インフォメーション
http://www.trequandaproloco.it/(伊・英)

■トレクアンダ村のおすすめのレストラン
Conte Matto (コンテ・マット) トスカーナ郷土料理 宿泊施設あり http://www.contematto.it/ita/index.php 

■村のお肉屋さん Macelleria Ricci S.n.c.
http://www.macelleriaricci.it/index.html   



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