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シエナの小さな村(ボルゴ)めぐり

15 Ottobre 2011


第1回 
トッリ村
中世の美しい回廊が訪れる人を魅了




 文と写真    吉川 雅子

はじめに
吸い込まれるような青い空。どこまでも続く穏やかな丘陵地帯と糸杉の道。
私が暮らすトスカーナ州シエナ県には本当に言葉では伝えきれない、ため息がでるほどの絵に描いた ような美しい景色が広がっています。そしてそんな風景の中に時々顔をみせてくれる淡い色の家並み。

ここトスカーナ地方にはまるで宇宙に散ばる星のように、中世の時代に築かれたBorgo(ボルゴ)とよばれる小さな村が今もまだ当時の姿のままであちらこちらにひっそりと点在しています。
だれも知らないんじゃないのかな・・
この小さな村は私が見つけたんだぞぉ〜!ってみんなに自慢したくなるような・・
そんな知られざる小さな村を訪れることが私の楽しみの1つでもあります。

写真トップ@村の麓にひまわりの咲き乱れるトッリ村の全景
 写真上Aシエナの南西方面、豊かな自然環境に恵まれたトッリ村  

さてこの度から数回にわたってご紹介させていただくBorgo(ボルゴ)とよばれる小さな村々はすべてバスや電車といった交通機関をつかって訪れることのできる場所を選びました。しかしながら交通が不便な田舎に位置する場合もあるので、街を訪れる際にはぜひ時間に余裕をもたれることをおすすめいたします。
そして次回こちら方面をご旅行なさる際のご参考にしていただければうれしく思います。

かつて商業都市国家として素晴らしい繁栄を見せたシエナ。世界で最も美しい広場とも称賛される緩やかな傾斜をもった貝殻の形をするカンポ広場、そこに堂々とそびえ立つ市庁舎と時計台。その広場で毎年行われるPlaio(パリオ)祭の存在はあまりにも有名です。今もなお世界中の人々を魅了してやまない中世の古都シエナ。一目見ようと年間を通じて街はいつも観光客でにぎわっています。
さてそんな喧騒からはなれて・・・。

記念すべき第1回目となる小さな村のご紹介は、シエナの隣町ソビチッレ(Comune di Sovicille) にあるトッリ村(Torri)です。
ガイドブックにも載っていないようなそんな小さな村トッリ村を知ったきっかけ、それはとある田舎のレストランの壁にかけられていた複数のモノクローム写真でした。stalla(スタッラ)とよばれる昔の家畜小屋をシンプルに改装した飾らないレストラン。そんな雰囲気の中で見た写真にはなんとも美しいノスタルジックな回廊が写っていました。その時の感動を今でも鮮明に覚えています。

写真左Bトッリ村に続く糸杉の並木道  写真中Cトッリ村の中心地

■中世のたたずまいを色濃く残す静かな村
シエナから南西方面に広がるなだらかな平地、そしてこの地域一帯に広がるメルセ渓谷と川、そんな豊かな自然環境に恵まれた地に位置するこの村には、かつてベネディクト派の修道士らが住みつき、この宗派のスタイルでもある自給自足の生活が行われ、その地域周辺で暮らす人々にとっての大きな助けとなっていました。彼らによって築かれた修道院、そしてそれに付属したロマネスク様式の彫刻が施されているなんとも見事な美しい回廊は、今もなお当時の面影をそのままに訪れる観光客たちを魅了しつづけています。

トッリ村の麓には毎年ひまわりが咲き乱れ、ブドウ畑やオリーブ畑が広がりその彼方遠くにはシエナの街を見渡すことができます。小高い森の中腹に顔をのぞかせ、今現在も中世のたたずまいを色濃く残すごく普通のこの静かな村では13世紀当時大きな権力を放っていたお隣の街 シエナに対し修道士らが食糧や水の供給をおこなっていたという記録がのこっています。    

写真上DE趣のあるトッリ村のたたずまい

■糸杉の並木道を抜けると村の入り口
村へと私たちを運ぶ糸杉の並木道を抜ければもうそこが入口です。15分もあれば1周できるくらいの小さなTorri村。そこで暮らす住民はわずか60人程度。村の中にはBar などのお店も何もありません。
ここ数年はアパートをアトリエとして使うアーチストもいるようです。

村にあるメイン広場にはかつて修道士たちが使用していた、古い大きなパン焼きの窯が今も当時の姿を変えずに残っています。そして良質の水が湧いていることでも有名。広場にあるフォンタ−ナには遠くの街から毎日水をくみに来る人が絶えないそうです。
さあvia borgo(ボルゴ通り)からその広場の隅にある中世の時代のアーチをくぐり piazza vescovado (ベスコバード広場)へと入って行きましょう。すぐ右手には11世紀半ばに教皇アレッサンドロ2世の依頼によって建設が開始された、もとはロマネスク様式で後13世紀頃ゴシック様式に建て直された サンティッシマ トリニタ エ サンタ ムスティオーラ マルティーレ教会(La chiesa della Ss.Trinita' e Santa Mustiola martire)があります。この教会はシエナ派の画家として当時名声を博した Luca di Tomme' (ルッカ ディ トンメ)による聖母子像が大切に保管されています。 そして通りのつきあたりに見える緑の扉の向こう、そこが今回ご紹介したかった回廊です。

写真左と右FG12世紀につくられた美しい回廊

■シエナの「小さな宝石」と呼ばれるロマネスク様式の回廊
扉をくぐれば、そこはまるで別世界。言葉を一瞬失う・・と表現しても過言ではないと思います。
素晴らしいの一言に尽きる、ため息がでる美しい風景ってこのことかな・・。
はじめてこの回廊を訪れる人は、必ずと言ってもいいほどドアを入った瞬間に立ち止まってしまうそうです。
なんて平和な空間なんだろう・・。朝の澄みきった空気、まぶしい太陽の光が回廊を照らします。そして聞こえてくるのは森でさえずる鳥たちの声だけ・・。まるで時が止まったかのような静寂が私たちを 優しく包みこみます。

写真左・右HI回廊の見事な彫刻

回廊(L'Abbazia di Torri)は12世紀後半に完成。すぐ後の1189年、修道院とともに教皇から正式な教会として認定をうけました。3階建式正方形スタイルのこの建物は一辺が約11m。1階部分が12世紀後半、つづいて14世紀 15世紀と小アーチを上へ積み重ねる形で建築されています。

1階はこの地域周辺で採石された白・黒の大理石、2階はテラコッタ、そして3階部分は重さを避けるために木材が使用され、それぞれが美しい彫刻で施されています。特に1階の回廊は、円形と六角形の小柱が交互にならび(回廊四角は四角形の柱)、それらの柱頭には花模様などの彫刻、その上に小アーチをささえるためのさらに副柱頭がおかれ、さらにその4面それぞれには聖書を題材とした彫刻がなされています。また宗教のシンボルとしてもあげられてる果物、動物、花、縄模様などなど。それらはすべてにおいて哲学的、道徳的意味合いを持つのだそうです。しかしどれ1つとして同種の図像(柄)は存在していません。手間と時間がかけられたこの素晴らしい回廊、当時の人たちがもっていた、神に対するゆるぎない強い信念が感じられます。

トスカーナ州では稀を見る完成度の高さ、そして保存状態の良さを持ち備えたこのロマネスク時代の 建築物は、今もなおシエナの小さな宝石と称され、知る人ぞ知る隠れた名所の1つとなっています。


著者プロフィール
吉川 雅子(Yoshikawa Masako)

大阪出身。クラブ活動だけに身をささげてきた学生時代、プロスポーツ選手としても活躍。しかし幼い頃からの夢をあきらめきれず医療職をめざし、看護師として約10年間の病院勤務経験をもつ。趣味だったイタリア旅行。そしていつか暮らせたら・・とあこがれつづけた20代後半。でも一度きりの人生、悔いなく生きたい!出会った人たちから学んだこと。大好きな仕事に一旦終止符を打ち渡伊を決意。現在は旅コーディネータをする傍ら中世史を学ぶ。シエナには2009年より在住。
Email : kurasutabi@libero.it



データ
Dati
トッリTorri村(シエナ県 ソヴィチッレ町Comune di Sovicille)

■交通アクセス
<バスでのアクセス>
シエナのグラムシ広場から33番のバス(Rosia方面行)に乗車し、約30分。 BivioTorriで下車。 チケット1.40euro (現地には売店等はありません。必ずグラムシ広場地下のチケット売り場、またはタバコ屋さんで往復チケットを購入してください。また必ず時刻表をご確認ください。
注意:午前出発するバス(6:00-8:00の時間帯のみ)は3便のみですのでご注意ください。  (2011年9月現在)

<車でのアクセス>
シエナからSP73bis (県道73号線)に入り、途中Costalpino(コスタルピーノ)経由し、Rosia(ロジア)方面へ。そしてVia del Pontaccio/SP99 (県道99号線)、Grosseto、Orgia、Stigliano方面へ左折して3分。(右手山の中腹に小さな村が見えてきます)約20分。

■インフォメーション
サンティッシマ トリニタ エ サンタ ムスティオラ マルティーレ教会
La chiesa della Ss.Trinita' e Santa Mustiola martile

開館時間:日曜日のみの午前9:45からミサの終了時間まで。
注意: 日曜日の午前便バスはなし。

回廊(L'Abbazia di Torri)
開館時間:月曜日と金曜日の週2回(午前9:00-12:00まで)
入場料:喜捨
注意:現在教会をのぞいた建築物(回廊とそれを囲む修道院、そして広大な敷地内にある庭・公園・ 畑・森はプライベートの所有となっているため、回廊の1階のみが所有者の厚意で見学可能。

■旅のアドバイス
村の入口にレストラン兼Bar があります。(文中記載したように、トッリ村の中にはバールや売店はありません)
La Serva ubriaca (ラ・セルバ ウブリアーカ)
住所 Piazza dell'Abate 4 Torri - Sovicille - Siena
電話番号 0577343026   携帯  3388313390
休日:火曜日
開店時間 ランチは土日のみ。ディナーは火曜日以外毎日。
午前中(10:00-12:30)はBar のみ営業。
電話で確認されることをオススメします。  



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