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シチリアの祭りを訪ねる旅
15 Marzo 2016

第 6 回
カパーチの「サン・ジュゼッペ祭り」 
「勝手に盛り上がる」庶民の祭典   



  文と写真  桜田香織 


●イタリアの「父の日」はサン・ジュゼッペ聖人の日
ほとんど世界中で母の日が共通なのに対して(例外はもちろんあり)、父の日は国によってまちまち、そしてイタリアでは3月19日に設定されています。何故ならばその日はサン・ジュゼッペ聖人の日、そしてジュゼッペさんと言えばキリストのお父上(英語ではヨセフ)、従って父の日となったわけです。聖母マリアと比べるとどうしても影の薄いジュゼッペさんですが、シチリアであちこちでお祭りがあります。

●「勝手に盛り上がる」庶民の祭り
その一つがカパーチCapaci、パレルモから約15Km、空港と市内の間に位置する人口11,000人の町です。町中あげてのお祭りですが、他の町と比べて大きな違いは「町の人の手作り感が大きい」というところでしょう。それも「皆なが力を合わせて」という意味ではなく、ある意味それぞれが勝手に作り上げて、盛り上げていくのです。  

写真トップ@サン・ジュゼッペを祝う祭壇を作り郷土料理をふるまう
写真下ABCD町中で「サン・ジュゼッペのスープ」づくり

●町中で「サン・ジュゼッペのスープ」づくり
シチリアの伝統料理の一つに「サン・ジュゼッペのスープZuppa di San Giuseppe」があり、文字通りこの日に食べるスープですが、実際あまり作られていることはありません。時間がかかる割には地味な料理、少量を作るには適さないというのが理由だと思われます。    

  写真下左EFシチリアの伝統料理「サン・ジュゼッペのスープ」

ところが何故かカパーチでは伝統を守り、町中の人が作って食べるのです。しかも各々野外に大鍋を並べ、ものすごい量を作ります。ありとあらゆる町角、広場、中庭的な所に早朝から火をくべて仕込みが始まります。このスープの素材は質素な物で、豆類、乾燥栗、野菜たっぷりにパスタが入り、煮込み時間も半端でありません。贅沢品を使わずに、しかし充分時間をかけて作る郷土料理は、内容は異なるもののイタリア中に存在しますよね。

●野外で大鍋を並べ、皆に無料で提供
10時頃になると徐々にあちこちから良い香りが漂ってきます。大鍋を長い木ベラで混ぜるのはかなりの重労働ですが、女性も参加していますよ、さすがイタリアです。12時になる頃には「パスタを入れるぞー」という声が聞こえ、これまた大量のショートパスタが投げ込まれまれ、鍋の中身はますます重くなっていきます。その頃になるとどこからともなく人が集まり、出来上がりを待つ姿が見られます。    

  写真上Gスープの出来上がりを待つ人びと   H大鍋からスープを配布 

そう、大量に作られたスープは無料で皆なに配られるのです。予めプラスティック容器が用意されていますが、更に面白いのは片手に普通サイズの鍋を下げた人もいるということでしょうか。これは外での立ち食いではなくお持ち帰りようで、家で待っている家族の分も持ち帰る為に鍋持参で列に並ぶのです。全て無料、なんと太っ腹。   

写真上IJ鍋を持ってくる人も  写真上Kスープを食べる人々

いくつか並べられた大鍋には時間差でパスタが加えられ、出来上がった途端に列は乱れてあちこちから一斉に手が伸びてくる様はかなりの迫力、まるで映画で見た戦時中の配給時のようです。日本人だったらきちんと列を保つのでしょうが、食べ物を目にしたシチリア人はそうはいきません(笑)。あっという間に最初の大鍋は空になり、次の出来上がりを待つことに。

●通りがかりの人に郷土料理もふるまう
カパーチは岩山に近い所から海にかけて広がって出来た町で、山に近い所が最も古い地区になり、お祭りも古い地区の方がより力が入っているのが見受けられます。この地区ではただ単に大鍋を並べるだけではなく、数件の家族が協力して外にサン・ジュゼッペを祝う祭壇を作り、大テーブルに所狭しと郷土料理を並べます。そして顔見知りでない、通りがかりの人達にも食べ物を分けてくれるのです。もちろん私もご相伴に預かりました、有難い、ご馳走様。   

写真上左LMサン・ジュゼッペを祝う祭壇を作り、大テーブルに郷土料理を並べる

●明るさと気前の良さにシチリアの底力
メインの教会前広場では行政区が組織し、職員によって同じスープが作られ、音楽もありご馳走になることは出来ますが、何と言っても見て、そして参加して楽しいのは「勝手に盛り上がる」庶民の祭り。毎年近所の同じメンバーが集まり役割分担も決まっているそうで、手際良く進んでいきます。それぞれのグループは規模も違えばスープの中身も多少変化がありますが、とにかくこの日を楽しみに、そして大切な日を大勢で一緒に過ごすことに喜びを感じていることが伝わってきました。  

  写真上NO大切な日を大勢で一緒に過ごす喜びの時

ちょっとだけ私も仲間に入れて頂き、一般に貧しいと言われている南イタリアの小さい町で、人々の明るさと気前の良さにシチリアの底力を感じました。


著者プロフィール
桜田香織(Sakurada Kaori)

東京都出身。日本航空の国際線客室乗務員として勤務していた頃からイタリアに魅せられ、「いつかイタリアへ・・・」と夢見ながらイタリア語を学ぶ。休職して渡伊、フィレンツェに8年住んだ後縁があってシチリア島へ移り、パレルモ在住。通訳、TVコーディネーターをするかたわら趣味の写真にも力を入れ、2013年にはパレルモ市のイベントで写真展を実現。夫と連名で出版した「Settimana Santa in Sicilia-Cerca di Collesano」(シチリアのイースター週間・コッレザーノの聖金曜日)でも写真を手掛ける。シチリアの料理に深い関心を持ち、レシピだけではなくその歴史のリサーチを続けている。2014年度、NHK TVイタリア語テキストに連載を持ち、シチリアの魅力を伝えている。

シチリアの祭りを訪ねる旅 データ
Dati
■カパーチ
(パレルモ県 カパーチ町 Comune di Capaci)

サン・ジュセッペの祭り  Festa di San Giuseppe a Capaci
http://www.comune.capaci.pa.it/FESTA-DI-SAN-GIUSEPPE-19-MARZO-2015.htm
http://www.japanitalytravel.com
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