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『ローマのスケッチ散歩』 - 鈴木奈月の絵画紀行
 

 15 Luglio  2015

 第8回 
カラカラ浴場
絵と文  鈴木奈月



ながーいながーいイタリアの学校の夏休み。どれだけ長いかというと三ヶ月もあるんです! 子ども達は大喜びでも、働く母親にとっては毎年悩みの種。最近になって、やっと『夏休みをもっと短くしよう』なんて政策が打ち出され始めたけど、いったいどうなることやら。

で、この長い夏休み。少々旅行などしてバカンスを楽しんだとしても、時間はまだまだたっぷり残り、されどお金の方の残りは乏しい。私の住むオスティアは海べの街だから、海水浴ならタダでしょ?と思われるだろうが、ここの海べは、ほぼ90%がスタビリメントという有料海水浴場! まあ、どちらにしても、海にばっかり3ヶ月も行っていられない。

日本には、公共の安い温泉ランドとか、プールとかがあっていいよねえ、などと夫と話しながら、ふと思い出したのがローマ皇帝時代の大浴場!そう、日本ではその名前のユニークさから有名なのか、あの『カラカラ浴場』に代表される数々の浴場=テルメ。
ずいぶん前に読んだ塩野七生さんの「ローマ人の物語」を、最近パラパラと読み返すのだが、つい先日テルメについてのオモシロイ話しを再発見したばかり。

ということで、今回は、カラカラ浴場の遺跡見学に繰り出しましょう。(とはいっても今の時期、遺跡見物は地獄です!暑いのなんのって!)
まあ、とにかく。
この浴場の遺跡を実際に目にすると、本当によくわかるのだが、なんという規模の大きさよ!こんなどっしりとした壁に囲まれている大浴場とは、いったい何ぞや? そう、浴場といっても、ただの銭湯ではなく、温水あり、冷水あり、サウナあり、マッサージあり、アスレチックジムありで、しかも図書館まであって、いわゆる温泉ランドやスパ顔負けの娯楽施設だったのである。 浴場内や周りを囲む庭には、ギリシャやローマ時代の彫像が、あちこちに置かれていたらしい。現在の美術館で見られるそれらのいくつかが、温泉跡から発掘されたもので、かの有名なヴァチカン美術館の『ラオコーン』も、トライアヌス浴場にあったものだというのだから驚きだ。


そして、ここが肝心! この温泉ランド、入場料はものすごく安くて、パン1個とワイン1杯分相当のお値段だったとか。しかも兵隊さんと子どもはタダで、奴隷も入ることができたらしい。
低料金で、温泉につかりながら美術鑑賞、あるいは読書なんて、なんという贅沢!

余談だが、去年の夏、北イタリアのガルダ湖にある有名な遊園地に子どもたちを連れて行ったとき、その近郊に温泉ランドらしきものを発見。大きな緑の敷地内に大小いろいろな温泉があって、これはかなりすばらしかった。こんなのがローマ近郊にできたらいいなあと思うが、料金は、やっぱりパン1コ分というわけにはいかず、そうそう行けはしないでしょうね。


著者プロフィール
鈴木奈月 (Suzuki Natsuki) イラストレーター、エッセイスト
89年渡伊。フィレンツェ、ミラノ、カタンザーロに暮らし、現在はローマ郊外オスティア在住。イラスト&暮らしのエッセーを、本やウエブサイトに掲載する。昨年からは、ナイーヴ系イラストレーションをローマ市内のギャラリーなどで発表し、活動の場を広げている。
Natsuki Suzuki web site: www.natsuki.deseptis.com
blog: http://peperoni.exblog.jp

主な書籍
「南イタリアお料理歳時記 マンマの味12か月」(NHK出版)
「イタリア・小さな街物語」(JTB出版)
「イタリア・パスタおいしい物語」(東京書籍)他多数

近年の主な活動
2011年4月 日本橋三越イタリアフェアー 出展
2011年4月 日伊文化交流サロン「アッティコ」パスクワのお料理教室
2011年8月 『PREMIO MASSIMO DI SOMMA』マッシモ ディ ソンマ賞 入選
2011年9月 GALLERIA DEGAS mostra collettiva
2011年10月 GALLERIA SAMAN mostra collettiva 『 IL COLORE DELL’ACQUA』


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